産後クライシス(出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がる)に出産を経験した女性の約半数が陥っている!





■産後クライシス|出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がる!

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by Ivan(画像:Creative Commons)

愛情、急速に冷えた 「産後クライシス」女性の半数経験

(2017/12/27、朝日新聞)

産後クライシス(出産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況)について「かなり当てはまる」は10・3%、「どちらかといえば当てはまる」は39・6%で計49・9%。このどちらかに当てはまる女性の約6割は回答時点でも続いていると答えた。

岡山大大学院保健学研究科の中塚幹也教授らが行なった調査によれば、出産を経験した女性の約半数が「産後クライシス」に陥り、その始まった時期は出産後3カ月以内が8割近くを占めたそうです。

「産後クライシス」問題はNHK「あさイチ」で取り上げられ、注目を集めました。

「産後クライシス」は新たなトレンドワードか?NHK『あさイチ』の特集に子育て世代騒然

(2012/9/6、MAMAPICKS)

番組ホームページによると、ある民間調査機関による調査で、「出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がる」という実態が明らかになったそうで、具体的には、【夫(妻)への愛情を実感する】という問いに対し、「妊娠期」ではともに74.3%であったものが、出産後の「0歳児期」には、男性が10ポイント、女性にいたっては約30ポイントも急速に下がり、そして「1歳時期」に男女ともさらに10ポイントも下がるというデータである。

さらに、別の研究では、この期間に生じた不仲はその後の夫婦関係に長く影響するというのだ。同番組では、この問題を「産後クライシス」と名付け、その実態に迫った。

なぜこうした結果が起こるかについて、番組では、「夫からのねぎらい」「夫の家事や育児への参加度」が強く関係していると分析している。

記事によれば、出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がるということがわかり、また別の研究によれば、その期間中に生じた不仲はその後の夫婦関係に長く影響するそうです。

「女は人生で三度、生まれ変わる(著:ローアン・ブリゼンディーン)」の中から今回の記事に関連した内容があります。

●母親の攻撃性が発動する。この小さな存在を守り育てようという決意と意欲が脳の回路を完全に支配する。

●自分と赤ん坊のためにもっと安定した家庭を築いてくれない夫に腹がたってたまらなくなった。彼女のニーズと現実が事実上一夜にして激変し、母親の脳の保護本能の矛先が夫の経済力に集中的に向けられたのだ。

●授乳には精神的な集中力の鈍化というマイナスが伴う。出産直後に頭がぼんやりすることはごく普通だが、授乳によってこのとろりとして穏やかな焦点の定まらない状態がひどくなり、長期化することがある。

●的を絞って集中する働きをする脳の部分は、出産後半年くらいは子供を見守り保護することに占領されてしまう。

だいたい新米の母親は睡眠不足だし、そのうえ女性の脳が元の大きさに戻るには産後半年かかる。

簡単に言えば、女性の脳は出産後「ママの脳」へと変化してしまうのです。

ママの脳になることによって、赤ちゃんを守る気持ちから夫に対して攻撃的になったり、集中力がなくなったりします。

このことを知っているのと知らないのでは夫婦関係にも大きく影響するのではないでしょうか。







P.S.

ただひとつ気になるのは、「夫の家事や育児への参加度」が問題になっているということです。

この背景には、今の子育てが「母親一人」もしくは「夫婦」だけで行わなければならないという現状にあるのだと思います。

実際、子育てを母(父)一人に任せきりもしくは夫婦だけで上手くやろうと思ってもできないと思います。

子育てだけをしていても女性の脳は大きく変化しているため、妊娠・出産前と同じようにはいきません。

その上、仕事と子育てを両立することは並大抵のことではないと思います。

昔であれば、どちらかの両親が近くにいることで子育てを支える環境があったのでしょうが、今はそうもいかない家庭が多いのではないでしょうか。

しかし、やはり子育てには母親を支える環境を作る事が大事なのです。

「女は人生で三度、生まれ変わる(著:ローアン・ブリゼンディーン)」ではこのように書かれています。

たとえば野生の霊長類はめったにフルタイムの母親にはならない。多くの母ザルは子育てと不可欠の「仕事」である採集や摂食行動、休息をバランスさせている。さらに必要があれば自分の子以外の子供の面倒も見る-これは「代理親行動」と呼ばれている。事実、食べ物が豊富な時期には、母親はよその子供でも簡単に引き取って面倒を見るし、それが他の集団や種の子供であっても変わらない。哺乳類の多くはよその子供の世話をして育て、親子の絆を作る能力がある。

霊長類学者のサラ・フルディは、人間は母親が常に他の代理親をあてにできるような環境で、協力して子育てするように進化してきたという。したがって家庭の内外で母親が何をし、誰に助けてもらうにしても、予測可能性と-経済的、感情的、社会的-リソースの利用可能性を確保することが、結局は子供の将来の幸せを約束するだろう。

自分にはとくべつなサポートが、子供には良い代理親が必要だと知ることが、母親として成功するカギになるだろう。

責任感の強い人ほど一人で母親業をこなさなければならないと考えてしまうかもしれません。

しかし、それがいろいろな問題(産後うつなど)が起こる原因ともなりかねません。

大事なことは、子育ては一人だけではできず、周りのサポートを借りてもいいということを知るということです。

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