自分で「文脈」を作る=自分なりに歴史を解釈することがこれからの時代には重要になる!?





Chanel x colette ( Dj Set By Elisa Sednaoui)

by Karl Hab(画像:Creative Commons)

メディアアーティスト・落合陽一が教える情報洪水に飲まれないためのいくつかの方法

(2017/1/17、NOAH’S ARK)

落合:洪水に流されないためには、方舟に乗ってその中にこもるしか方法はない。その方舟に乗る方法のひとつとして、自分で「文脈」をつくるということがあると思います。自分で歴史を語っていくという作業です。

落合陽一さんとぼくのりりっくぼうよみさんとの対話の中で、落合陽一さんは、情報洪水に飲み込まれないためには、『自分で「文脈」をつくる=歴史を自分流に解釈する必要がある』と言っています。

これをどのように捉えたらよいかわからなかったのですが、これを例えばファッションデザイナーに置き換えるとわかりやすいかもしれません。

ファッションデザイナーの中には、いくつかのブランドを兼任していることがあります。

普通の人が考えると、共通するデザインができてしまいそうですが、そんなことはありませんよね。

なぜ同じデザイナーがデザインしているにもかかわらず、全く違ったブランドになっているのでしょうか。

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カール・ラガーフェルドはシャネル以外にも、フェンディのデザイナーを40年以上にわたって務めている。クロエのデザイナーとしても1963年から1997年まで活躍した。

カールは他にも、自分自身のブランドも手がけている。

近年では著名ブランドのデザイナーを引き受けると自身のコレクションを中止したり、あるいは「自身のブランドに注力したい」と言って契約を更新せずに交代する例も多い中、カールの多忙ぶりは驚異的といえる。

カールの頭の中には、ココ・シャネルのデザインした洋服が全てインプットされていて、シーズンごとにそのインスピレーションに基づいて、シャネルのデザインが生まれるとのことである

カール・ラガーフェルドは「私はシャネルの暗号や言語を学び、すべてをよく混ぜあわせました」

シャネルのデザイナーとなったカール・ラガーフェルドは、ココ・シャネルのデザインした洋服から暗号や言語を学び、シーズンごとにインスピレーションに基づいて、よく混ぜ合わせてデザインを生み出しているのです。

だからこそ、同じデザイナーであっても、ブランドごとに全く違ったものが出来上がっているというわけですよね。

それが『自分で「文脈」を作る=自分なりに歴史を解釈する』ということなのだと思います。

メディアアーティスト・落合陽一が教える情報洪水に飲まれないためのいくつかの方法

(2017/1/17、NOAH’S ARK)

落合:それだと、今の世の中にあるラベルと変わらないので、歴史を自分流に解釈する必要があるんです。例えば、ぼくはメディアアーティストですが、ぼくなりの「メディアアート」の歴史は、エジソンからスタートしているんです。

エジソンは「キネトスコープ」という、リールの回転から映像を生み出す作品をつくったり、円盤の回転を利用して音を再生できる蓄音機を発明したり、人間の視聴覚を運動エネルギーの変換から生み出そうとした。彼がそうやって新しいメディアをつくり、人間の五感をアップデートしたとするならば、そしてそれがメディアの思考についての創作行為だったなら、それはメディアアートであると再解釈できます。ぼくは今まさに、彼のやっていたことを、コンピューターの計算によって再定義しようとしているんです。

自分が尊敬する人物の歴史を自分なりに解釈し、その人物が現代にいたらどうするかと考えてみるとよいかもしれません。