「身体を鍛えることは脳も鍛えること」という研究結果





Beach Jogger

by Ozzy Delaney(画像:Creative Commons)

「身体を鍛えることは脳も鍛えること」という研究結果

(2011/10/17、ライフハッカー)

この研究結果は『New York Times』で紹介されていました。ネズミを、一日一時間トレッドミルで運動させるグループと、カゴの中でそのまま放置するグループに分けたところ、以下のような結果が出ました。

運動した動物の脳のさまざまな部位から組織のサンプルを摂取して実験したところ、すべての組織でミトコンドリアの増殖が見られたそうです。脳のある部分は他の部分よりも活動的でしたが、それぞれのサンプルで、脳細胞に新しく生まれたミトコンドリアがありました。2番目のグループのネズミには、脳の細胞に同様の活動は見られませんでした。

これは何を意味しているのでしょうか? J. Mark Davis博士は以下のように見解を語っています。

他の研究結果で、「脳内のミトコンドリアが不足すると、神経変性の病気の進行を助ける可能性がある」という証拠があります。神経変性の病気とは、アルツハイマー病やパーキンソン病などです。脳内細胞のミトコンドリアの保有数が大きくなることは、それらの病気に対する緩衝剤となり得ます。

How Exercise Can Strengthen the Brain | NYT

記事によれば、運動すること(体を鍛えること)によって、脳内に新しいミトコンドリアが生まれ、脳に関連する神経変性の病気への緩衝材になる可能性があるそうです。

坪田一男さんの著書「長寿遺伝子を鍛える カロリーリストリクションのすすめ」によれば、ミトコンドリアを増やす鍵として注目されているのがAMPキナーゼという酵素なのだそうです。

ミトコンドリアの量を増やす鍵として注目されているのが、AMPキナーゼという酵素だ。
AMPキナーゼは、ATPが存在するときには静かに休んでいるが、ATPが少なくなると緊急事態と認識し、活発に活動し始める。まず、脂肪を蓄積する働きをストップさせ、グルコースをミトコンドリアに取り込んで燃料にするよう指令する。
同時にATPをもっと生産するため、ミトコンドリアの数を増やせという司令も出す。つまり、AMPキナーゼを活性化してやれば、内臓脂肪が減ってメタボリックシンドロームを防ぐことが出来、同時に筋肉細胞のミトコンドリアも増やすことができるのである。

AMPキナーゼはATPが不足すると活性化するから、ジョギングなどの有酸素運動でATPを消費し、強制的にATP不足の状況を作るのが一番手っ取り早い。

ただし、脂肪を燃やしてATP不足が解消され始めると、それに比例してAMPキナーゼの活性はどんどん落ちていく。そこで大切なのが、有酸素運動の合間に筋肉トレーニングなどの無酸素運動をはさむということだ。つまり、酸素を活用しないとミトコンドリア内でグルコースを燃料にできないが、一方でATPが十分あるとなれば、AMPキナーゼは満足して働かないのである。
強制的にATP不足のガス欠状態を作れば、AMPキナーゼが活性化し、効率よく脂肪を燃焼して、筋肉のミトコンドリアを増やすことができる。

この本では、筋肉のミトコンドリアを増やすことについて書かれていますが、脳のミトコンドリアにも当てはまるのであれば、運動するとしたら、有酸素運動の合間に無酸素運動を挟むことで、AMPキナーゼが活性化し、ミトコンドリアを増やすことができるかもしれません。

 

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AMPキナーゼを運動で活性化させ、血糖値や中性脂肪を下げる|ためしてガッテン(NHK)5月12日

今回の番組では、なんと3分体を動かすだけでも効果があることが判明し、筋肉の中にある酵素・AMPキナーゼを活性化させることがポイントだということを紹介しました。

宮下政司 次席研究員 (早稲田大学スポーツ科学学術院)が、有酸素運動の効果に関して画期的な研究成果を発表したそうです。

自転車こぎ 3分間の運動を一日に10回をしてもらいます。

翌日、脂肪を多く含んだ食事をとってもらい、血液中の中性脂肪の量を詳しく調べたところ、前日運動しない場合に比べ、中性脂肪値が下がっていることがわかったそうです。

運動後1日たっても筋肉に脂肪がたまりにくくなっていたということです。

脂肪を燃やす有酸素運動は、一般的に長い時間行わなければいけないといわれていますが、3分間細切れに行なった運動でも中性脂肪を低下させる効果が出るということです。

藤井宜晴教授(首都大学東京)

筋肉を動かすと、AMPキナーゼが活性化し、糖や脂肪を効率良くエネルギーに変えてくれることがわかったそうです。

インスリンと同等くらい強力なのだそうです。

宮地元彦 (国立健康・栄養研究所 運動ガイドラインプロジェクトリーダー)

どんな運動でもどんな運動でも筋肉に刺激が入るので、筋肉に刺激が入れば、好ましい結果が得られる。

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