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■「ナノばんそうこう」とは?
(2009/7/10、AFPBB)
透明で密着性の高いこのナノシートは、カニの甲羅から採取した物質と海草から採取した粘性物質を原料としており、厚さはわずか75ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)。
早稲田大学と防衛医科大学校の共同研究グループが開発に成功したしたのは、サランラップの1000分の一程度の薄さの高分子超薄膜(ナノシート)を応用した外科手術用の世界一薄い医療用創傷被覆シート「ナノばんそうこう」です。
早稲田大学理工学術院、先進理工学研究科研究助手の藤枝俊宣博士によれば、この「ナノばんそうこう」は「ものすごく薄いので、膜が非常に柔らかくて、のりがなくてもピタッとくっつく」という性質があるそうです。
この「ナノばんそうこう」にはどのようなことが期待できるのでしょうか?
外科手術では通常、傷口を縫合するか、たんぱく質の1種フィブリンを塗布した厚さ数ミリメートルの創傷被覆材を使用する。フィブリンは血液凝固を活性化し、のりのような効果を果たす一方で、周辺組織に癒着を引き起こす面もある。
イヌの肺に空いた6ミリ大の穴をふさぐ実験によれば、シートは呼吸による負荷にも耐え、傷は1か月以内に痕を残さず、きれいに治ったそうです。
「ナノばんそうこう」を使って治療した臓器は、縫合後のミミズ腫れができないので、次のステップとしては、皮膚への応用を行ない、乳がんの治療や床ずれの治療、美容分野への応用も期待できそうです。
【参考リンク】
【追記(2016/7/7)】
ナノ絆創膏を使い、大静脈の損傷部閉鎖による止血治療に成功 防衛医大・早稲田大(理工・武岡研)などが共同研究
(2013/6/10、読売新聞)
ナノ絆創膏はあらゆる臓器や皮膚の表面に接着剤なしで強固に接着し、かつ癒着を全く起こしません。透明なため止血の具合を明瞭に把握でき、しかも止血が不十分な時は重ね貼りが可能です。ウサギの下大静脈を7mm切開すると死に至る大出血となりますが、ナノ絆創膏を出血部位に貼ることですべてのウサギの止血救命に成功しました(肺や消化管、脳のクモ膜などの損傷もナノ絆創膏を貼るだけで簡単に被覆することができます)。血管縫合などの複雑な手技を用いなくても簡単に大血管の止血ができるナノ絆創膏は、大きな手術だけでなく大怪我で大量出血を来たした患者さんの止血治療にも大いに役立つと期待しています。
ナノばんそうこうによる治療のポイントは、次の通り。
- 接着剤なしに接着ができること
- 癒着を起こさないこと
- 透明であるため、止血の確認が容易なこと
- 止血が不十分な場合は重ね貼りが可能なこと
ナノばんそうこうは大量出血を起こした患者さんへの止血治療に役立つことが期待できます。
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