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■献血の廃棄基準、肝機能の値「ALT(GPT)」を大幅に緩和|日本赤十字
by Thirteen Of Clubs(画像:Creative Commons)
(2016/2/25、朝日新聞)
日本赤十字社は、献血された血液を廃棄する際の基準に使われている肝機能の値「ALT(GPT)」を大幅に緩和することを決めた。現在は採血後に廃棄されている年間約10万人分の血液(献血全体の約2%)が早ければ4月から使えるようになる。
献血された血液を廃棄する際の基準に使われていた肝機能の値「ALT(GPT)」を大幅に緩和することにより、現在廃棄されていた年間10万人分の血液が使えるようになったそうです。
この背景には2つのポイントが隠されています。
1.少子高齢化により献血量が減少している
献血者数は1994年の662万人から2013年は516万人へと減少傾向
少子高齢化は「献血」にも影響を与えているで紹介した東京都の年代別輸血状況調査によると、輸血用血液製剤の約85%は50歳以上の方々に使われています。
一方、献血に協力している方の年齢層を見ると約78%が50歳未満(その内の約27%が16-29歳)と、健康な若い世代が高齢者医療の多くを支えている現状があります。
医学・技術進歩で非開腹手術が普及し、また輸血必要量の予測が適正化されたため、血液自体の需要は低下しているそうですが、現在の献血者比率がこのまま推移していくと仮定すると、供給量の低下を十分に補えるかは厳しいようです。
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2.肝炎ウイルスの感染自体を検査できるようになった
ALTは主として肝臓で働く酵素の一種で、脂肪肝などの肝機能障害があると数値が上昇する。日赤によると、現在は血清1リットル当たり61IU(国際単位)以上になるとC型肝炎などのウイルス感染が疑われるとして廃棄されている。一方、現在は肝炎ウイルスの感染自体を検査できるようになり、欧米のほとんどの国では基準から外されている。
ALT(GPT)の数値が高いと脂肪肝などの肝機能障害の疑いがあり、日本赤十字社によれば、現在血清1リットル当たり61IU(国際単位)以上になるとC型肝炎などのウイルス感染が疑われるとして廃棄しているそうです。
【補足】
ALT(GPT)の基準値|ALTが高い原因|肝臓(肝機能)の血液検査
●ALT(GPT)・AST(GOT)が100以下(40IU/L単位以上で)の場合には、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝などが考えられます。
●ALT(GPT)・AST(GOT)が100以上と数値が高い場合は、ウイルス性肝炎の疑いがあります。
しかし、肝炎ウイルス自体を検査することができるようになったことから、ALTの値が高くても感染していなければ輸血することができるという判断になったようです。
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■まとめ
少子高齢化に伴い、献血量が減少しています。
現在の献血者比率がこのまま推移していくと仮定すると、輸血に必要な供給量を満たすことができなくなるため、将来的には人工血液のような医学・技術進歩が求められるかもしれません。
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P.S.
日本赤十字社では、平成21年3月15日より献血者全員に糖尿病関連検査を開始しているそうです。
また、献血時に申し込めば、肝炎ウイルス感染の有無を検査することができるそうです。
その他にも肝障害、飲酒の肝臓への影響、栄養状態、コレステロール、糖尿病について検査することができるそうです。
肝炎ウイルス検査を一度もしたことがないという方は、肝硬変や肝臓がんなどの肝臓の病気の予防のためにも、一度献血を受けてみてもいいかもしれませんね。
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