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■HLAホモドナーiPS細胞からミニ肝臓作製に必要な3種類の全ての細胞の作製に成功|#横浜市立大学
参考画像:ヒトiPS細胞からミニ肝臓の大量製造に成功 -再生医療への応用を大幅に加速-(2017/12/6、先端医科学研究センター)|スクリーンショット
横浜市立大学 学術院医学群 臓器再生医学 武部貴則准教授、谷口英樹教授らの研究グループの研究によれば、京都大学iPS細胞研究所・山中伸弥教授らの樹立した、日本人への免疫適合性の高いHLA型をもつHLAホモドナーiPS細胞(研究用)から、ミニ肝臓作製に必要な3種類の全ての細胞(肝臓系前駆細胞、血管系前駆細胞、間葉系前駆細胞)および小型化したミニ肝臓(iPSC肝芽)を大量製造する手法の開発に成功し、また、大量製造されたミニ肝臓は、移植により、重篤な肝疾患を発症する免疫不全マウスの生存を大幅に改善することを実証したそうです。
■まとめ
世界初!IPS細胞から“ミニ肝臓”作製に成功!(谷口英樹さん)|夢の扉+によれば、横浜市立大学の谷口英樹教授が開発しているのは、iPS細胞から”ミニ肝臓”を量産する技術です。
これまで多くの研究者はiPS細胞から「肝細胞」を作ることを目標としてきましたが、最終的に出来たものの品質が悪く、また大量生産が難しく、治療法としても臓器移植よりも良い結果が出るかどうかは不明だったそうです。
そこで、谷口教授は発想の転換を図って考えたのが、「ミニ肝臓」です。
ミニ肝臓を大量に作ることで、将来的に肝不全の治療に役立てようとしています。
【参考リンク】
ヒトiPS細胞からミニ肝臓の大量製造に成功 -再生医療への応用を大幅に加速-
(2017/12/6、先端医科学研究センター)
従来の手法では、ヒトのミニ肝臓の作製に必要な血管系前駆細胞や間葉系前駆細胞は、分娩時に得られる臍帯および骨髄より分離することが必要でした。しかし、今後の製造工程の標準化や拡張性という観点を考慮すると、全ての細胞材料(現時点では3種類)をヒトiPS細胞(iPSC)から分化誘導して使用することが最も望ましいと考えられます。そこで、京都大学iPS細胞研究所が樹立した、日本人への免疫適合性の高いHLA型をもつ、HLAホモドナーに由来するヒトiPS細胞(研究用)からの誘導方法を検討し、肝臓系前駆細胞に加えて、血管系前駆細胞および間葉系前駆細胞を作製する最適な手法を確立しました(図1左)。各細胞に特徴的なマーカー発現等を用いて得られた細胞を評価したところ、高い効率で分化誘導が可能であることが確認され、さらに、得られた細胞からヒトミニ肝臓の作製を試みたところ、三次元的なヒトのミニ肝臓(All-iPSCミニ肝臓)の作製が可能であることが確認されました(図1右)。興味深いことに、従来のヒト臍帯由来血管系細胞および間葉系前駆細胞を用いて作製した場合と比べて、高い機能を安定的に示すことが示されました。
【参考リンク】
- Takanori Takebe, Keisuke Sekine, Masaki Kimura, Emi Yoshizawa, Satoru Ayano, Masaru Koido,
Shizuka Funayama, Noriko Nakanishi, Tomoko Hisai, Tatsuya Kobayashi, Toshiharu Kasai, Rina Kitada, Akira Mori,
Hiroaki Ayabe, Yoko Ejiri, Naoki Amimoto, Yosuke Yamazaki, Shimpei Ogawa, Momotaro Ishikawa, Yasujiro Kiyota,
Yasuhiko Sato, Kohei Nozawa, Satoshi Okamoto, Yasuharu Ueno, and Hideki Taniguchi Massive and Reproducible Production of Liver Buds Entirely from Human Pluripotent Stem Cells Cell Reports (2017), https://doi.org/10.1016/j.celrep.2017.11.005
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