by John Benson(画像:Creative Commons)
(2011/12/9、Wired)
Journal of Personality and Social Psychology誌に掲載されたコーネル大学のベス・A・リビングストン、ノートルダム大学のティモシー・A・ジャッジとウェスタンオンタリオ大学のチャーリス・ハーストが行った研究によると、協調性の高さと収入のレベルは反比例するという。
コーネル大学のベス・A・リビングストン、ノートルダム大学のティモシー・A・ジャッジとウェスタンオンタリオ大学のチャーリス・ハーストが行った研究によれば、いい人(お人好しの人)はそうでない人に比べて、稼ぎが大幅に少ないことが分かったそうです。
協調性と収入がどのような関係にあるのか探るため、リビングストンらはデータの収集を開始した。
対象者は、最近10年間に新たに労働市場に参入した約9,000人。
対象者のキャリアについてインタビューを繰り返し、認知/人格テストを実施した。
協調性のレベルは、例えば、次のような質問で測定される:「5段階評価のうち、1が喧嘩好きで5が協調性があるとすると、自分は何点だと思いますか?」。
または「1が協力的な人間で5が付き合うのが難しい人間だとすると、自分は何点だと思いますか?」。
リビングストンらはこの調査結果と所得データの比較を行った。
その結果は驚くべきものであった。
まず分かったのは新たに労働力となった女性の収入は男性よりもはるかに少ないという悲しい現実だった。
教育、結婚/非婚、週の労働時間、雇用の継続性といった項目を考慮しても、若い女性の収入は同世代の男性よりも4,787ドル、平均で14%近く少ない。
さらに、協調性のある男性の収入はそうでない男性よりも7,000ドル近く少ないことも分かった(女性はそれほど変わらず、わずか1,100ドル少ないだけだった)。
この研究によれば、協調性のある男性の収入はそうでない男性よりも大幅に少ないという結果が出たそうです。
個人の特性や、性格のいい人は比較的儲からない職業を選択する傾向があるといった変数(その数は膨大だ)を考慮しても、だ。
リビングストンらはデータの結論を次のようにまとめている。
最初に行った3つの研究では、協調性が標準以下の人の収入は、標準以上の人を18.31パーセント(9,772ドル)上回ることが分かった。
一方、女性部門ではそれほど差が大きいわけではなく、非協調性という“特権”を持っている収入額はたった5.47パーセント(1,828ドル)高いだけだった。
この“特権”は、女性よりも男性に与える影響が強く、3倍以上も差が付くことが分かった。
悲しいことに非協調性を持っているということが収入を多くするという結論に至ったようです。
リビングストンらは最後の研究として、南部にある巨大な大学の経営学部の学生460人に対し実験を行った。
ある職業に8人の候補者がいるという設定で、いずれの候補者も知的で洞察力があり、良心的な人物である。
しかし、協調性のレベルはまちまちで、信頼でき、利他的かつ謙虚な人もいればそうでない人もいる。
どの男性あるいは女性の候補者が管理職になることができると思うか聞き取りを行った。
またしても残念な結果が出た:協調性の高い候補者は管理職になれない可能性が高く、特に男性の場合はそれが顕著という結果が出た(女性の場合は性格のいかんにかかわらず、昇進の可能性がやや低い傾向にあった)。
この実験結果は、お人好しの男性はモノにならないことを示唆している。
というのも、人々はそういった人物に対して少しばかりの偏見をもっているからだ。
協調性のある人々は解雇されにくいだろうし、人を監督する立場になるだろうが、賃上げ交渉にはあまり役に立たない。
言い換えれば、非協調的な人が経済的な利益を享受するのは、彼/彼女らには自分の望むもののために戦う(たとえ他人を不快にさせるにしても)意欲があるからだ。
さらにリビングストンらが主張するのは、協調性のある男性はジェンダーとしての役割を果たしていないため、損をしているということだ。
男性は自分の関心や利益ばかりを追求すると考えられているので――紋切り型で申し訳ない――自分のために行動しない男性を見下す傾向があり、引いては非独善的かつ利他的な男性への反発に繋がっている。
言い換えれば、我々は最悪な人間に期待し、最高の人間に罰を与えているのだ。
また別の研究においても、協調性の高い候補者は管理職になれない可能性が高く、特に男性の場合はそれが顕著という結果が出たそうです。
ただ、この研究は「協調性」のあるなしという一面からの記事なので、しょうがないところもあります。
協調性がないとあるととても悪い人というイメージが湧いてしまいますが、別の側面から協調性のない人を言い換えてみますと、違った見え方がします。
- 独善的
- 野望を持つ
- 競争を恐れない
- 簡単に妥協しない
- 積極的に意見を主張する
- 争いごとは楽しいことではないが必要なことと考える
などと言い換えることができます。
このように書くと、協調性のない人は、決して悪い人ではなく、企業にとって欠かせない人物となってきます。
この記事の中でも
協調性のない人は、例外なくある特性を示している:彼/彼女らは「争いの際に自分のポジションを積極的に主張する」ことをためらわない。
協調性のある人はグループの利益のためにすぐに妥協する――争いは決して楽しいことではないからだ――が、協調性のない人は態度を変えることはないし、自分が望むもののために戦うことを厭わない。
というように書かれており、協調性のない人は、チームが目的を達成するにあたって必要なものを備えています。
Apple社もスティーブ・ジョブズという人物がいなければ、現在のような復活劇は果たせなかったでしょう。
だからといって、協調性が必要ではないというわけではありません。
「だから、男と女はすれ違う」ではこのようなエピソードが紹介されています。
NASAの男女混成チームを見ると、成功の要因はチームのコミュニケーションがとれていること。
コミュニケーションを円滑にする女性特有の能力。
そして、目標を達成しようという男性が得意な能力。
それらがうまく組み合わさるとき、最強の力を発揮するチームが生まれるのではないか。
男性だけだと、競争が優先されるため、より遠くまで探査できるが、人命救助がおろそかに。
女性だけだと、お互いを気遣うあまり、探査が思うように進まない。
目標を達成しようという気持ちが強いこととコミュニケーションを円滑に取ろうと協調性を持つこと、両方がなければ成功はできないのです。
今回の研究結果では、お人好しはそうでない人に比べて収入が少ないということでしたが、お人好しの人たちがいなければ、チームの成功はなかったのだと思います。
いろんな人がチームの中にいることが大事な要素だと思います。
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P.S.
とはいえ、お人好しの男性にとって悪いことばかりではない。
新たな研究によると、優しさは、女性がパートナーを探す際の最も重要な項目だ(当然のことながら、手軽に恋愛をしたい人にとっては見た目のほうが重要だろうが)。
協調性でお金は儲からないかもしれないが、恋愛には役立つかもしれないし、幸せになることができるかもしれない。
それは少しばかりお金が儲かることより重要なことだろう。
協調性ではお金は儲からなくても、恋愛には役立つかもしれないし、幸せになることができるかもしれないそうです。
大事なのは、「幸せ」を基準に考えることだと思います。
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P.P.S.
「お人好しでは勝てない」とは、大リーグの往年の名監督、レオ・ドローチャーが1948年に残した言葉だ。
ドローチャーはこの含蓄ある言葉を後に撤回するが、彼の人間に対する悲観的な見方をよく表している。
我々は、トップに上り詰めるためには倫理的な面で妥協を強いられると、当然のように考えているが、恐らくはスティーブ・ジョブズのように大声や金切り声を上げたり、または映画『ウォール街』の登場人物ゴードン・ゲッコーのように法律を破ったりしなければならないのだろう。
人生のゲームに勝つ人間は他の人と同じルールに従っていないし、だからこそ勝利者なのかもしれない。
そこが重要な点だ。
人生のゲームに勝つ人間は他の人と同じルールに従っていないというのは、面白い視点ですね。
自分のルールに持ち込む、もしくはいち早く新しいルールを理解することが大事な要素ですね。