ダルビッシュ有選手は手術後のリハビリ期間中に体を変えるチャンスだと考えて肉体改造を行なった


Yu Darvish

by Mike LaChance(画像:Creative Commons)

※2014年のダルビッシュ有選手です。




逆境をチャンスに変えたダルビッシュの進化

(2016/5/30、THE PAGE)

「逆にチャンスだと思った。野球選手はオフが2、3か月しかないため、本当に体を変える時間がない。長い時間をかけて、自分のやりたいことができるのは、滅多にないこと」

ダルビッシュ有選手はこれまでにも栄養学を学び、体重増トレーニングを行なっていましたが、今回は大きなケガした今だからこそ、体を変えるチャンスだと考えてトレーニングに取り組んだようです。

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具体的にはどのようにトレーニングに取り組んでいたのでしょうか。

 この間、ダルビッシュは栄養学を学び、肉体のメカニズムを学び、長期ビジョンにのっとった肉体改造に取り組んだ。筋量を増やすには、トレーニングと栄養が重要で、しかもピリオダイゼーション(期分け)と言われるトレーニングの計画性が必要だとされている。1か月に2キロ以上も体重を増やすような急激な増量は、脂肪を同時に増量させ、しなりがなくなり、筋肉が動くための効率が落ちるためだ。

 1か月に1キロ、5か月で5キロを増やして、次に2か月をかけて3キロを減らして、正味の筋肉を2キロ増やすような計画性が理想とされているが、ダルビッシュは1年をかけて体重を6キロ増やした。理想の肉体改造である。

毎日同じ時間、同じ強度のトレーニングを行なっていると、あるところで壁にぶつかってしまいます。

その状態のままトレーニングをし続けると、場合によってはオーバートレーニングになってしまいます。

ピリオダイゼーションとは、トレーニングの量や強度を変えることでより効果的に身体能力を伸ばし、そして、試合当日にピークの状態で臨むことを目指すトレーニング理論と言えます。

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■イチロー選手はウエイトトレーニングを行なって身体を大きくするトレーニングに対して否定的

最近ではウエイトトレーニングを行なって身体を大きくするトレーニングが注目を集めていますが、先日テレビでイチロー選手はウエイトトレーニングを行なって身体を大きくするトレーニングに対して否定的なコメントを出していました。

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なぜイチロー選手は身体を大きくするトレーニングに反対するのでしょうか?

人体を理解してバランスを意識する|身体を大きくするウエイトトレーニングはダメ|イチロー×稲葉篤紀対談によれば、それは、自分自身に持って生まれたバランスがあり、本来のバランスを保っていないと、筋肉が大きくなってもそれを支える関節や腱を鍛えることができないので、重さに耐えられずに(膝の関節が)壊れてしまうからなのだそうです。

ただ、こうしたイチロー選手の考えはこれまで何度も失敗を積み重ねて生み出されてものです。

イチロー選手も以前はウエイトトレーニングを行なっていたそうです。

イチロー選手の場合は、ウエイトトレーニングを行なって身体が大きくなった春先には無駄についた筋肉によって身体が回らなくなり、スイングスピードが落ちてしまったそうで、こうした失敗を6、7年繰り返したそうです。

■まとめ

こうして書くと、イチロー選手の考えからするとダルビッシュ有選手の考えを否定してしまうように思えるかもしれません。

ただ、違っているのは、肉体改造をする期間の違いです。

イチロー選手の場合は、オフシーズン、つまり短期間の間にウエイトトレーニングを行なって、筋肉をつけているため、身体の動きと筋肉のバランスがとれていなかった可能性があります。

1か月に2キロ以上も体重を増やすような急激な増量は、脂肪を同時に増量させ、しなりがなくなり、筋肉が動くための効率が落ちるためだ。

しかし、今回ダルビッシュ有選手は1年をかけて体重を増やして肉体改造をしたそうです。

もちろんイチロー選手がいうように筋肉が大きくなってもそれを支える関節や腱を鍛えることができないので、重さに耐えられずに体を壊してしまう恐れもあるでしょう。

今後のダルビッシュ選手がどんな活躍を見せてくれるかが、その答えの一つになるのではないでしょうか。







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