紹介状なしで大病院を受診した患者には初診料(初診時選定療養費)の負担がかかる|なぜ軽症にもかかわらず大病院に行く患者が多いのか?





■なぜ軽症にもかかわらず大病院に行く患者が多いのか?

Stethoscope

by Walt Stoneburner(画像:Creative Commons)

紹介状なしの大病院受診、初診料を患者の全額負担案

(2014/5/9、朝日新聞デジタル)

厚生労働省は、紹介状を持たずに大病院を受診した患者に新たな負担金を求める制度を、2016年4月をめどに導入する方針を固めた。初診時には現在の初診料にあたる2820円を、再診時には再診料720円を、それぞれ患者に全額負担してもらう案を軸に検討する。

厚生労働省は、紹介状なしで大病院を受診した患者に初診料を全額負担する案を導入することにより、受診のハードルを上げ、軽症で大病院に行く患者を減らすことで、大病院の多忙さを軽減し、かつ本来の目的である重症者への高度な治療に専念することを考えているそうです。

ただ、なぜ軽症にもかかわらず大病院に行く患者が多いのか、その原因をしっかりと把握しておく必要はありそうです。

  • 「自分の病気はさぞかし大変な病気だろう」という自分の病気・症状に対する過度の評価
  • 大病院だからという安心感(ブランド信仰)・期待
  • 話を聞いてもらいたい
  • アクセスの便利さ
  • かかりつけ医がいない
  • どの病院に行ったらわからないから、とりあえず大病院に行くという考え

このようにまず大病院へ行こうとすることへの患者側の考えはいろいろとありそうです。

本来であれば、地域のかかりつけ医で診断してもらい、どうしても治療できない患者を大病院が治療をするというのが地域医療の考えなのですが、その仕組み・ネットワークがうまくいっていないのかもしれません。

今回のように受診のハードルを上げることも必要だったかもしれませんが、まずは、一人ひとりがかかりつけ医を持つことを促すようなキャンペーンを行ない、診断後重症だとわかった場合には、安心して大病院を紹介しますという流れを作っていく必要があるのではないでしょうか。




■紹介状なしで大病院を受診した患者には初診料(初診時選定療養費)の負担がかかる

【追記(2017/6/6)】

初診時・再診時の「選定療養費」について|北海道大学病院

平成28年4月の診療報酬等改定により、「初期の治療は地域の医院・診療所(かかりつけ医)で、高度・専門治療は病院で行う」という医療機関相互の役割分担及び業務連携の推進を目的として、厚生労働省により制定された制度です。

平成28年4月に実施された健康保険法の改正により、一般病床500床以上の地域医療支援病院については、保険外併用療養費の定額負担が義務化されました。

そこで、患者が他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)を持たずに大病院(特定機能病院)を初診で受診される場合には、通常の医療費に加えて別途「初診時選定療養費」を負担することになりました。







【参考リンク】