明石市立市民病院の看護師確保の試みとは?|学生が若手看護師と話す機会を設ける・離職率を減らす取り組み


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by University of Salford Press Office(画像:Creative Commons)




■明石市立市民病院の看護師確保の試みとは?|学生が若手看護師と話す機会を設ける・離職率を減らす取り組み

看護師確保の試み、徐々に成果 明石市立市民病院

(2015/6/25、神戸新聞NEXT)

明石市立市民病院は、採用試験の受験者数の減少を食い止めようと、各地の説明会に参加したり、学生が若手看護師と話す機会を設けるなどして、看護師の確保への試みが、実を結びつつあるそうです。

実際どのようなことを行っているのでしょうか?

プログラムは約3時間。参加者は希望する病棟などを見学し、勤続3~7年の看護師らとテーブルを囲んだ。年齢が近いこともあり、夜勤や残業の状況、待遇や福利厚生、職場の雰囲気など、幅広い質問が相次いだという。終了後のアンケートには「新人教育がしっかりしていると感じた」「質問以上のことを話してもらい、雰囲気がよく分かった」といった声が寄せられた。

子育てをしながら看護師を目指す30~40代の女性が少なくない!?で紹介したNo.02 いまどきナースの転職事情と理解(生き残る看護・生き残るナース)では、新人看護職の悩みとして次のようなことがかかれています。

新人看護職の悩みと辞めたいと思った理由を調べてみると1)、「看護職になり仕事を続ける上での悩み」の上位は、?専門的な知識・技術の不足、?医療事故への不安、?基本的な看護技術が身に着いていない。「辞めたいと思った理由」の上位としては、?看護職に向いていないのではないか、?医療事故への不安、?ヒヤリ・ハットレポートを書いたこと、となっている。

医療の現場はミスが許されない現場であり、一分一秒を争う現場であるため、時にきつい口調になってしまって、そのことが看護職に向いていないと思ってしまう理由となり、やめてしまうという人がいるようです。

だからこそ、夜勤や残業の状況、待遇や福利厚生、職場の雰囲気などはもちろんのこと、「新人教育がしっかりしていると感じた」という意見は新人看護師にとってはすごく重要な意見なのだと思います。

■離職率を減らす取り組み

一方で、離職率を減らす取り組みも進める。若手を中心に定期的に話し合いを持ち、職場の課題を抽出。13年度には、感謝を伝えるカードを書いたり食事会を開いたりし、成果を上げつつある。

看護師・看護職員の離職理由とは|看護師の離職率を改善するための提案によれば、大きく分けると、2つの理由で離職する看護職員がいることがわかります。

1.妊娠・出産・結婚・子育て・配偶者の転勤といった人生の転機が理由

2.勤務時間が長い・超過勤務が多い・夜勤の負担が大きいといった労働条件が理由

医療に携わる人は我慢する性格の人も多いと思いますので、こうした悩みを抱えていても、打ち明ける機会がなければ、そのまま抱えてしまったままで離職してしまうのではないでしょうか。

お人好しほど収入は少なくなる?で紹介した「だから、男と女はすれ違う」によれば、女性特有の能力として「コミュニケーションを円滑にする能力」が挙げられています。

NASAの男女混成チームを見ると、成功の要因はチームのコミュニケーションがとれていること。

コミュニケーションを円滑にする女性特有の能力。

だからこそ、女性特有の能力として「コミュニケーションを円滑にする能力」を発揮するためにも、話し合う機会を設けるというのは大事なことだと思います。

さらにいえば、人によっては、人目を気にして言いたいことを言えないという人もいるかと思いますので、個別にカウンセリングを行なって、悩みを解消していく方向にもっていくということもこれからは重要なのではないでしょうか。

■まとめ

女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?によれば、患者がどのような悩み・苦労を抱えているのか、患者の声に耳を傾け、それを受け入れることによって、医師と患者間での信頼関係が生まれ、その後のケアやマネジメントが良好になると考えられます。

トーマスジェファーソン大学のM・ホジャット氏によれば、医師による共感が、患者の治療結果に影響を与えるそうです。

患者に対する共感コミュニケーションにおいて看護師の力も大きいと考えられますので、患者さんとよいコミュニケーションを築ける看護師を確保することはとても重要になってくると思います。