■日本では食道・胃・肺・肝臓のがんの5年生存率が世界と比べると高い|皮膚の黒色腫・成人骨髄性疾患は低い
がん生存率の推移に関する大規模国際共同研究 2000-2014年に診断された3,750万症例の5年生存率を公表
(208/2/20、国立がん研究センター)
日本のがん患者生存率は、従来通り世界的にトップレベルにありますが、皮膚の黒色腫、成人のリンパ性・骨髄性悪性疾患では欧米諸国と比較して低い結果となりました。
国立がん研究センターやロンドン大学衛生熱帯医学大学院など40の国際研究機関と共同で、71の国と地域322の人口ベースのがん登録を用い、2000-2014年の15年間に診断されたがん3750万症例の生存率に関する国際調査(CONCORD-3)でがんの種類ごとにA~Eの5段階で評価した結果によれば、日本で最高の「A」だったのは、食道・胃・肝臓・肺・女性乳房・子宮頸部・成人脳腫瘍・小児リンパ腫という結果が出ました。
一方で、皮膚の黒色腫・成人骨髄性疾患は「D」という結果が出ています。
参考画像:がん生存率の推移に関する大規模国際共同研究 2000-2014年に診断された3,750万症例の5年生存率を公表(208/2/20、国立がん研究センター)|スクリーンショット
日本は、消化器のがんの生存率が世界で最も高い国の一つであり、肺がん、肝がんでも良好な予後を示しています。これは、医療水準のみならず、検診の実施状況や、罹患が多いことによる一般的な関心の高さが早期発見につながり、良好な生存率に貢献していると考えられます。一方、皮膚の黒色腫、成人のリンパ性・骨髄性悪性疾患の生存率は、他の地域より低い結果となりました。理由は、皮膚の黒色腫および成人のリンパ性・骨髄性悪性疾患で、日本人に発生しやすいがんの構成が違うためと考えられ、日本人の状況を踏まえたがん対策が望まれます。
日本での消化器系がんの生存率が高い理由としては、医療水準の高さ、検診の実施状況、一般的な関心の高さが早期発見につながっていることが生存率の高さにつながっていると考えられ、一方で皮膚の黒色腫や成人性骨髄性疾患の生存率の低さは日本人に発生しやすいがんの構成が違うためであると考えられるそうです。
【参考リンク】
- Allemani C, Matsuda T, Di Carlo V, Harewood R, Matz M, Nikšić M, Bonaventure A, Valkov M, Johnson CJ, Estève J, Ogunbiyi OJ, Azevedo E Silva G, Chen WQ, Eser S, Engholm G, Stiller CA, Monnereau A, Woods RR, Visser O, Lim GH, Aitken J, Weir HK, Coleman MP; CONCORD Working Group. Global surveillance of trends in cancer survival: analysis of individual records for 37,513,025 patients diagnosed with one of 18 cancers during 2000-2014 from 322 population-based registries in 71 countries (CONCORD-3) The Lancet doi:10.1016/S0140-6736(17)33326-3
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