【目次】
- NEC、人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術を開発|なりすまし防止、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、スマートイヤホンへの応用に期待
- 耳の穴で反響した音の違いによって個人認証
- まとめ
■NEC、人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術を開発|なりすまし防止、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、スマートイヤホンへの応用に期待
参考画像:NEC、人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術を開発(2018/2/27、NEC)
NEC、人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術を開発
(2018/2/27、NEC)
今回開発した技術は、マイク一体型イヤホン(以下、イヤホン)から送出する高周波の非可聴音により、耳穴の形状を表す音響特性を正確かつ安定的に測定することを可能にしました。
本技術は、重要インフラ施設の保守・管理や警備などでの安全・安心に関わる業務でのなりすまし防止や、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、さらに人々の生活に密着したスマートイヤホン領域などへの応用を視野に、2018年度の実用化を目指します。
NECは、長岡工業高等専門学校の協力により、耳穴の形状の個人差を音で測定する独自のバイオメトリクス認証「耳音響認証」の強化技術として、人間の耳には聴こえない音(非可聴音)で個人を認証する技術を開発したそうです。
この技術によって、ユーザの行動や作業の妨げにならない常時認証によるセキュリティの向上を実現できることで、例えば、インフラ施設の保守・管理や警備などでの安全・安心に関わる業務でのなりすまし防止や、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、スマートイヤホン領域などへの応用ができる可能性があるそうです。
参考画像:NEC、人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術を開発(2018/2/27、NEC)
人間の耳では聞こえない高周波(18~48 kHz)の音を耳穴(外耳道)に送出し、その反射音を分析して個人の特徴を抽出します(図1および図2)。反射音としてとらえた30kHzから40kHzの周波数帯は、個人差が現れやすく、個人に特有の特徴を抽出できます(図3)。しかし、高周波の音は、周囲の電気機器やイヤホン自体が発する高周波ノイズの影響を受けやすく、また外耳道の内壁に当たっても反射せず壁面に吸収されやすい性質があるため、反射音の取得は容易ではありません。
非可聴音を反復的に送出して複数回の特徴抽出を行い、それらを平均することにより、ノイズを低減して本来の外耳道の音響特性を強調する「短時間同期加算法」と個々の周波数ごとに取得された音響特性はノイズの影響で安定しないため、隣接する周波数をまとめた上で音響特性を平滑化することで、ノイズの影響をさらに低減する「対数フィルタバンク法」という2つの手法を開発したことで、高周波の音響特性の正確かつ安定的な測定を実現することができ、また、イヤホンの設計についても、マイクやスピーカーの形状や配置、構造などを工夫することで、高周波の反射音の効率的な取得を実現したそうです。
■耳の穴で反響した音の違いによって個人認証
参考画像:NEC、人によって異なる耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を開発(2016/3/7、NEC)|スクリーンショット
NEC、人によって異なる耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を開発
(2016/3/7、NEC)
耳の各部のサイズや形状は人によって異なるため、個人の判別に有効です。一般に音響信号は外耳道から鼓膜に達し、さらに中耳、内耳へと進みます。特に、外耳道を通って鼓膜で反射して返ってくる信号成分と、鼓膜を通過してさらに奥で反射して返ってくる信号成分が重要であることが実験の結果分かりました。本技術は、これら2種類の信号成分に対応する周波数帯を含む少数の特徴量を抽出します。本特徴量により、少ない計算量での動作が可能になるとともに、外的環境の影響を排除することで、安定して高精度な認証(99%以上)を実現します。
NECは、長岡技術科学大学と協力して、耳の穴で反響した音の違いによって、個人を判別する生体認証技術を開発したそうです。
【参考リンク】
- NEC、ヒアラブルデバイスのプロトタイプを開発(2017/5/23、NEC)
■まとめ
【ピースサインに要注意!?】ネット上に投稿された手の画像から指紋が読み取られてしまう!?によれば、生体認証として、指紋認証や虹彩認証(目)、歩容認証(歩き方)などの個人認証システムが開発されていますが、耳の穴の形状で生体認証する技術や人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術も今後注目を集めるのではないでしょうか。
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