職業性座位時間とがん罹患リスクとの関連(国立がん研究センター)によれば、男性は職業性座位時間が長いほど膵がんの罹患リスクが高いという関連がみられ、女性では、職業性座位時間が長いほど、肺がんの罹患リスクが高いという関連がみられたそうです。
座る時間が長くなるとなぜすい臓がんや肺がんなどがんのリスクが高くなるのでしょうか?
長時間座り続けることで血流や筋肉の代謝が低下し、健康への悪影響があるといわれていますよね。
1)インスリン抵抗性
肥満のリスク・デメリット 太る原因と関連する病気(糖尿病・がんなど)(NHK)によれば、食べ過ぎや運動不足によって、大量に余った等を処理するために大量のインスリンが分泌されるのですが、インスリンの過剰分泌が、がん細胞を増殖しやすくするといわれています。
インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪などでのインスリンが効きにくくなった状態(血糖値を正常範囲に戻すために過剰なインスリンを必要とする状態)で、インスリン抵抗性が強い状態が続くと、糖尿病・脂肪肝・メタボリックシンドローム・高血圧・脂質異常症(高脂血症)・動脈硬化を招く原因となります。
がん・糖尿病への罹患と軽度認知障害・認知症との関連(国立がん研究センター)によれば、糖尿病はインスリン抵抗性を高めることでがんのリスク要因となることが知られており、また、がんの罹患後にインスリン抵抗性が高くなることも報告されているそうです。
つまり、長時間座ると代謝が低下してインスリン抵抗性が高まりがんリスクを高めると考えられます。
2)慢性炎症
日米連携研究プロジェクト 「慢性炎症の制御によるがん発症ゼロ社会の実現」 ムーンショット型研究開発事業で始動(名古屋大学)
これまでに、20-30% 程度のがんの発症に、ウィルス(肝がん、子宮頸がんなど)、ヘリコバクター・ピロリ等の細菌(胃がん、悪性リンパ腫)、炎症性腸疾患(大腸がん)等の慢性感染および慢性炎症が関わることが解明され、その一部に対しては抗微生物薬・抗ウィルスワクチン等による発がん予防が進められています。さらに近年では、慢性炎症が加齢や肥満、糖尿病によっても引き起こされ、発がんに寄与することが明らかになりつつあります。
20-30% 程度のがんの発症に慢性炎症がかかわっていること、慢性炎症が加齢や肥満、糖尿病によっても引き起こされ、発がんに寄与することがわかっているのですが、同じ慢性炎症でも発がんに至る場合と至らない場合があり、そのメカニズムは解明されていないそうです。
食べ過ぎ・運動不足によって余分なエネルギーを摂取し、体内に脂肪が蓄積される
→脂肪細胞が大きくなる
→脂肪細胞から脂肪分解によって放出された飽和脂肪酸に惹かれて白血球が集まることで炎症が生じ、炎症性サイトカインが放出される
→慢性炎症
また炎症性サイトカインの働きで、脂肪細胞に含まれる遊離脂肪酸が放出され、遊離脂肪酸は、血流に乗って全身に運ばれ、他の臓器や組織でも慢性炎症が影響し、動脈硬化や糖尿病の発症につながります。
どういった慢性炎症が発がんと関係しているかわかっていないものの、慢性炎症を起こすような生活習慣はがんリスクを高めてしまうため、今回の話でいえば長時間座ることは避けたいところですね。
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■まとめ
長時間イスに座っているのは、健康に良くないらしいによれば、デスクワーク(長時間椅子に座ったままでの仕事など)は、大腸がんのリスクを増加させる可能性があるそうです。
【#ガッテン】1時間座り続けると22分寿命が縮む!?耳石が動かないと自律神経や筋肉の働きが衰えてしまう!30分ごとに立ち上がってアンチエイジング!によれば、耳石は、全身の筋肉や内臓・血管をコントロールしている自律神経とつながっています。
耳石が動いている状態だと、全身の筋肉や自律神経の働きが良くなることによって、心臓などの働きが良くなって血流がよくなったり、コレステロールや糖の代謝も良くなるそうです。
しかし、耳石があまり動かないと状態だと、全身の筋肉や自律神経の働きが衰え、免疫力低下、筋力の低下、循環機能低下、代謝の異常などが起きてしまうそうです。
長時間座ることはどのくらい健康に悪いのか?によれば、長時間座ることの健康への影響は次のようなものが挙げられています。
- 脂肪を分解する酵素が90%減少
- インスリン値は下がる
- 善玉コレステロール減少
- 血圧は上がる(高血圧)
- 脚の筋肉で支えていた体重は首と背骨にかかり、座ることで脳の血栓ができやすくなる
- 肥満、糖尿病、心循環系の病のリスクも高まり、心臓病のリスクも2倍になる
- 乳がんにも悪影響を与える
長時間イスに座っているのは、健康に良くないらしいによれば、座っているときは、体の代謝に必要な仕組みがストップされているそうです。
普段からよく歩く人達に歩く量を減らしてもらう実験を行うと、糖分や脂肪の代謝機能が低下し、体脂肪率が増加したそうです。
定期的に運動していれば、「座る」と「立つ」に健康リスクへの差はない!?で紹介したエクセター大スポーツ健康科学部のメルビン・ヒルズドン(Melvyn Hillsdon)さんによれば、「座っていようが立っていようが、同じ姿勢で動かないことは、エネルギー消費が低く、健康に有害である可能性がある」そうです。
つまり、座る姿勢に問題があるということではなく、同じ姿勢で動かないことが健康にとっては良くないということなのです。
耳石を効率よく動かす方法は「立ち上がること」なのだそうです。
立ち上がるという動作は、頭が前後左右上下に動くため、耳石を効率よく動かすことができるそうです。
研究によれば、32回立ち上がる動作をするとよいそうで、それを一日の中で計算をすると、30分に1回立ち上がるとよいそうです。
※(一日(24時間)-睡眠時間(8時間))÷32回=30分
今回番組では、座る時間が長い方に30分に1度立ち上がることを2週間続ける実験を行なったところ、中性脂肪が15%減少・悪玉コレステロールが5%減少、善玉コレステロールが11%増加するという結果が出たそうです。
座る時間が長い人は30分に1回立ち上がるようにするといいのではないでしょうか?
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