性別にみた有訴者率の上位5症状|平成28年国民生活基礎調査の概況

テクノロジーの進化と健康のジレンマ:AI時代に浮かぶ肩こり、睡眠、免疫の課題




パソコンが登場し、次にスマホが普及して、今ではAIの時代が到来するなど、テクノロジーの進化は目覚ましいものがありますよね。

情報処理能力が飛躍的に向上し、日常生活や仕事の効率が上がる一方で、現代人の生活スタイルも大きく変化してきました。

でも、その裏側で気になるのが健康面の問題です。

例えば、長時間デスクに座ってパソコンをつかったり、スマホの画面を見つめることが増えたことで、肩こりや腰痛を訴える人がどんどん増えていますよね。

厚生労働省の調査によると、日本人の約3人に1人が慢性的な肩こり腰痛に悩まされているというデータもあるくらいです。

日本人の自覚症状の第一位は「腰痛」|人口の約9%が腰痛症状を持っている!?で取り上げた国民生活基礎調査(2013年)によれば、日本人の自覚症状の第一位は「腰痛」なのだそうで、人口の約9%が腰痛症状を持っているそうです。

参考画像:平成28年国民生活基礎調査の概況|スクリーンショット

平成28年国民生活基礎調査によれば、男性の有訴者率(病気やけが等で自覚症状のある者の割合)は、1位「腰痛」、2位「肩こり」、3位「せきやたんが出る」となっており、女性では、1位「肩こり」、2位「腰痛」、3位「手足の関節が痛む」となっています。

それに、免疫力を気にする人も増えていて、コンビニやスーパーで「R-1」ヨーグルトを手に取る人が目立っています。

特に冬場やストレスが多い時期には、「少しでも体調を整えたい」という思いから、そうした商品に頼る傾向が強まっているようです。

一方で、睡眠の質が落ちていると感じる人も多くて、最近では「Yakult1000(Y1000)」みたいな睡眠サポート系のドリンクを飲む人が急増中です。

SNSでも「Y1000のおかげで眠りが深くなった!」なんて声が飛び交う一方、ヤクルトの関係者の方に伺ったところ「悪夢を見るようになった」という意見もあったようで、個人差が大きいのも面白いところです。

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こうしてみると、AIやテクノロジーは頭脳のサポートにはめちゃくちゃ貢献してるんですよね。

たとえば、文章の作成からデータ分析まで、AIが手助けできる領域は広がるばかりです。

しかし、健康面のサポートとなると、まだまだ課題が多いのが現状。

肩こりや腰痛を根本的に解決するような技術はまだできていませんし、免疫力や睡眠の質を管理できる方法もわかっていません。

テクノロジーが進んだ先に見えてきたのが、実は人間の体にあるアナログな部分であり、これからはこの課題をどう解決していくかが重要になっていくのではないでしょうか?

■免疫力の考え方が変わってきてる?

ちなみに、「免疫力を向上させよう」というのはよく言われることですけど、最近の研究によれば、「免疫力を上げる」というより、「バランスを整える」ことが大事だってことが分かってきているそうです。

例えば、適度な運動が免疫機能を高めるといわれていますが、やりすぎると免疫が下がります。

免疫コンディショニングガイドによれば、次のように書かれています。

● 免疫機能は高強度運動で低下し、長時間になるほど回復が遅くなる(清水和弘 スポーツ医学(内科),化学同人,pp-143-155, 2014.)

● 高強度・長時間の運動が毎日続くと免疫機能が徐々に低下(花岡裕吉ら 体力科学,64: 315-322, 2015.)

● 持久性トレーニングはウェイトトレーニングよりも免疫機能を下げやすい

そのため、免疫機能のリカバリーするために、運動メニューの調整やマッサージ、入浴、鍼治療、免疫低下に備えるためにバランスよい食事(特にビタミンA、ビタミンD、乳酸菌)が提案されています。

【運動メニューの調整】

● 運動強度や継続時間を減らすと免疫機能の低下は抑えられる(Papacosta E et al. J. Strength Cond. Res. 27: 2569-2580, 2013.)
● 高強度でも短時間・間欠的にすれば、免疫機能は低下するが、回復は早まる
● 持久性運動からウェイトに変更する手もあり

試合に向けた練習量の減少による免疫機能の応答
試合に向けた練習量の減少による免疫機能の応答

【マッサージ】

● 多少痛くても選手が受け入れるような全身性のマッサージ(Arroyo-Morales M et al. J. Strength Cond. Res. 23: 638-644, 2009.)。30分から40分

【ビタミンAとビタミンD】

● 免疫調節に関わり、不足に気をつける
(Scrimshaw NS and SanGiovanni JP. Am. J. Nutr. 66: 464S-477S, 1997.)
(Ranchordas MK et al. Int. J. Sport Nutr. Exerc. Metab. 26: 185-191, 2016)

● ビタミンA
レバー、ウナギ、卵、牛乳、チーズ、ニンジンなど

● ビタミンD
サケ、イワシ、サンマ、卵、キクラゲ、マイタケなど

【乳酸菌】

● 続けて摂取することで免疫機能が高まる(清水和弘ら 第73回日本体力医学会大会,福井2018. 9.)
● 最大限の効果を得るには1ヶ月は続ける

乳酸菌が運動・減量による免疫低下に及ぼす効果
乳酸菌が運動・減量による免疫低下に及ぼす効果

免疫コンディショニングの考え方でいえば、免疫力を上げるのではなく、免疫力を回復(リカバリー)させたり、免疫低下に備える、というように最適化する方向にシフトしていっているのではないでしょうか?