試合に向けた練習量の減少による免疫機能の応答

「免疫力を上げる」のではなく、「免疫力の最適化(免疫機能のリカバリーや免疫低下に備える)」にシフトしている!?




■免疫力の考え方が変わってきてる?

「免疫力を向上させよう」というのはよく言われることですけど、最近の研究によれば、「免疫力を上げる」というより、「バランスを整える」ことが大事だってことが分かってきているそうです。

例えば、適度な運動が免疫機能を高めるといわれていますが、やりすぎると免疫が下がります。

免疫コンディショニングガイドによれば、次のように書かれています。

● 免疫機能は高強度運動で低下し、長時間になるほど回復が遅くなる(清水和弘 スポーツ医学(内科),化学同人,pp-143-155, 2014.)

● 高強度・長時間の運動が毎日続くと免疫機能が徐々に低下(花岡裕吉ら 体力科学,64: 315-322, 2015.)

● 持久性トレーニングはウェイトトレーニングよりも免疫機能を下げやすい

そのため、免疫機能のリカバリーするために、運動メニューの調整やマッサージ、入浴、鍼治療、免疫低下に備えるためにバランスよい食事(特にビタミンA、ビタミンD、乳酸菌)が提案されています。

【運動メニューの調整】

● 運動強度や継続時間を減らすと免疫機能の低下は抑えられる(Papacosta E et al. J. Strength Cond. Res. 27: 2569-2580, 2013.)

● 高強度でも短時間・間欠的にすれば、免疫機能は低下するが、回復は早まる

● 持久性運動からウェイトに変更する手もあり

試合に向けた練習量の減少による免疫機能の応答
試合に向けた練習量の減少による免疫機能の応答

【マッサージ】

● 多少痛くても選手が受け入れるような全身性のマッサージ(Arroyo-Morales M et al. J. Strength Cond. Res. 23: 638-644, 2009.)。30分から40分

【ビタミンAとビタミンD】

ビタミンAとビタミンDは免疫調節に関わるので、不足に気をつける
(Scrimshaw NS and SanGiovanni JP. Am. J. Nutr. 66: 464S-477S, 1997.)
(Ranchordas MK et al. Int. J. Sport Nutr. Exerc. Metab. 26: 185-191, 2016)

● ビタミンA
レバー、ウナギ、卵、牛乳、チーズ、ニンジンなど

● ビタミンD
サケ、イワシ、サンマ、卵、キクラゲ、マイタケなど

【乳酸菌】

● 続けて摂取することで免疫機能が高まる(清水和弘ら 第73回日本体力医学会大会,福井2018. 9.)

● 最大限の効果を得るには1ヶ月は続ける

乳酸菌が運動・減量による免疫低下に及ぼす効果
乳酸菌が運動・減量による免疫低下に及ぼす効果

免疫コンディショニングの考え方でいえば、免疫力を上げるのではなく、免疫力を回復(リカバリー)させたり、免疫低下に備える、というように最適化する方向にシフトしていっているのではないでしょうか?

→ 明治ヨーグルト「R1」やヤクルト「Yakult1000」とアンダーアーマー、ベネクス、リライブといったリカバリーウェアが注目されるのには理由がある!?現代人に必要なのは「リカバリー」という考え方 について詳しくはこちら