育児食の生産・販売終了のお知らせ約1年後の2026年8月末をもって生産を終了し、順次販売も終了します(2025年6月12日、キューピー)によれば、約1年後の2026年8月末をもって育児食(ベビーフード・幼児食)の生産を終了し、順次販売も終了するそうです。
このニュースを受けて、SNSではキューピーのベビーフードにお世話になった方から悲しみの声、二人目のお子さんには何を食べさせればいいんだという嘆きの声が挙がっています。
■販売終了の背景:厳しい市場環境と戦略転換
キューピーによると、近年は自社の育児食販売数量の低迷に加え、原材料価格やエネルギー費の高騰が続いています。
特に、2022年以降のウクライナ情勢による小麦や油脂類の価格上昇、鳥インフルエンザによる鶏卵コストの増加が、食品業界全体の利益を圧迫。
キューピーも設備投資や販売促進など、あらゆる立て直し策を検討しましたが、育児食事業の継続は難しいと判断したようです。

キューピーの2025-2028年度中期経営計画説明資料によると、コロナ禍や地政学リスクを乗り越え、再成長を目指すため、主力商品であるマヨネーズやドレッシングなどの「世界戦略商品」に経営資源を集中し、グローバル展開を加速させる方針です。
育児食は国内需要が中心だったため、グローバル戦略の優先順位から外れた形です。
一方で、例えば中国や東南アジアでは子育て需要が拡大しており、キューピーが今後こうした市場で新たな商品展開を模索する可能性もあります。
■子育て家庭への影響と代替案
キューピーのベビーフードは、「国産野菜使用」や「無添加」にこだわった商品(例:『キユーピーベビーフード 7か月頃からのやわらかうどん』など)が、忙しい親の強い味方でした。
販売終了により、子育て世代は他社製品や手作り食への移行を迫られます。
しかし、他社製品はキューピーほどのブランド信頼感が得られにくい場合もあり、手作り食には時間や知識のハードルが存在します。
最近では、冷凍離乳食やオーガニック系のベビーフードも増えており、こうした選択肢が代替案となるかもしれません。
■人口減少と企業の厳しい選択

厚生労働白書のデータによると、日本の出生数は減少傾向にあり、2024年の合計特殊出生率は1.20程度と推定されます。
今後も子どもの人口が増える見込みは薄く、ベビーフード市場の縮小は避けられない課題です。
こうした環境下で、キューピーが育児食事業から撤退し、グローバルで成長が見込める分野にシフトするのは、企業として合理的な判断といえるでしょう。
■まとめ
キューピーの2025-2028年度中期経営計画説明資料には「未来への投資」という言葉があります。
それはこれからのキューピーを支える高収益ビジネスのための投資という意味合いでしょうが、キューピーの育児食というのはキューピーブランドを愛する親御さんにとってのお子さん=未来を支えてきたものだったのではないでしょうか?
きっと離乳食を始めたばかりの親にとって、子育てに大変だった時期を支えてくれたブランドというのは思いだに刻まれるものなのではないでしょうか?
ブランドへの愛着があることで簡単に他のブランドにシフトすることなく大人になっても愛用していったのだろうと思います。
小さいころからあったブランドというのは忘れないものですからね。
ブランドへの愛着が離れるきっかけとならなければよいのですが。