生成AIで脳が退化してしまう!?AIで人の思考力が低下するというMITやMicrosoftの研究




生成AIを使って何かをするということが日常的になっていますね。

それによる社会への影響が少しずつ出てきていますが、私たち自身への影響はどのくらいあるのでしょうか?

そう思ったのはこの投稿がきっかけ。

自身が行うタスクをAIに決めてもらってそれを実行する、これは方向性としてはあってるんだけど、AIが決めたことを実行することにおいて脳は使われていないんじゃないか、もしAIに不具合が起きた時に何も決められなくなるんじゃないか、と考えたからです。

より効率的に物事を進めていく、つらいことを手放すという意味でAIの活用はいいことなのだと思うのですが、例えば実行するタスクを決めるという作業において、それを脳でどうすべきかを考えることこそがそもそも重要なのではないかと思ったりするのです。

例えば、MITの研究によれば、ChatGPTを使用してエッセイを書いたグループは、自力で書いたグループに比べ、脳の神経接続性が最大で55%も低下したそうです。

自身が書いたエッセイから一文を引用してもらうテストで「書いたはずなのに思い出せない」現象が起きているのですが、何かを考えるうえでLLMにその部分をお願いしてしまうと、自分で考えることを手放ししてしまって、思考がつながらないというか、ひとかたまりの記憶(チャンク)として残らないということが起こっているのではないでしょうか?

マイクロソフトとカーネギーメロン大学が「ChatGPT(チャットGPT)」のような生成AIを使う人の間で批判的思考能力が低下しているとの調査論文を発表したという記事もありました。

【参考リンク】

こうしたことを「認知負債(Cognitive Debt)」で説明できるという記事がありました。

認知負債とは、

目先の認知的な負荷をAIに肩代わりさせることで、短期的には「楽」ができるものの、長期的には批判的思考力、記憶力、創造性といった知的資本を失っていく状態

を指す。

自身の脳の負担をAIに「肩代わり」してもらうことで、短期的には楽ができたようでも、長期的には知的資本が失われていくというのは怖い話です。

「AIを使うと簡単にブログが自動的にできるんですよね」という投稿を見たのですが、人間が書いたのかAIが書いたのか、という議論もありますが、AIを活用すると脳が使われなくなっていくのであれば、将来の認知症リスクが高くなる可能性があるとも言えます。

認知症になる人とならない人の差とは?で紹介したアメリカやヨーロッパで認知症の発症率が低下している理由の仮説としては2つとして、1つは、心血管疾患のリスク要因がコントロールされていること、もう1つは、良い教育を受けていることがあるそうです。

良質な教育は、たとえば過去に忘れたことのある言葉の同義語を増やした記憶領域など、脳により多くの容量を付与することで保護効果が得られると考えられているそうです。

若い時によく勉強した人はアルツハイマー型認知症になりにくい?で紹介したジョンズ・ホプキンス医科大学の研究によれば、高齢になっても認知機能にまったく問題がない修道女は、脳にアルツハイマー型認知症と同じ変化が確認されているにも関わらず、病気の症状が表れにくいことが分かったそうです。

なぜ高い言語技能を習得していることが認知機能の低下を防いでくれるのかはわかっていないものの、結果として認知症を防ぐことにつながっているというのはすごいことです。

苦労しながらも自分自身で考え抜いたものとAIが考えたものを比べた際に、結果としてAIが考えたものの方が良いものであったとしても、自分自身で苦労して考えた末出した答えというのはその思考のプロセスを含めて自分の知的資本になっているのだと思います。

専門家の方々にはこういう視点の論議をもっとしてほしいなぁと思います。

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