ある動画で「グルテンが腸にへばりつくというのは嘘で、小腸には絨毛があって構造的につかないようになっている」という解説がありましたが、どうなの?




Q. ある動画で「グルテンが腸にへばりつくというのは嘘で、小腸には絨毛があって構造的につかないようになっている」という解説がありましたが、どうなのでしょうか?

A.グルテンが腸に「へばりつく」という表現は、一般的には誤解を招く可能性があります。

科学的には、グルテンそのものが腸の壁に物理的に「くっつく」わけではありませんが、特定の条件下で腸に影響を与える可能性があります。

以下に詳しく解説します。

1. グルテンと腸の関係

グルテンは、小麦や大麦などに含まれるタンパク質(グリアジンとグルテニン)です。

通常、消化酵素によって分解され、腸で吸収されるか、便として排出されます。

健康な人の場合、グルテンが腸の壁に「へばりつく」ことはありません。

小腸の絨毛(じゅうもう)は、栄養吸収のために表面積を増やす構造であり、粘液層や腸の蠕動運動により、食べ物の残渣が滞留しないようになっています。

2. セリアック病やグルテン過敏症の場合

セリアック病や非セリアックグルテン過敏症(NCGS)の場合、グルテンが小腸に炎症や損傷を引き起こすことがあります。

セリアック病では、グルテンに対する免疫反応により小腸の絨毛が平坦化(萎縮)し、栄養吸収が妨げられることがあります。

ただし、これも「へばりつく」というよりは、免疫系の過剰反応による組織のダメージです。

非セリアックグルテン過敏症では、グルテンが腸の透過性を高める(いわゆる「リーキーガット」)可能性が議論されていますが、科学的証拠はまだ不十分です。

3. 「へばりつく」という誤解の背景

「グルテンが腸にへばりつく」という表現は、グルテンを含む食品(特に加工食品や粘り気のあるパン類)が消化しにくい、または腸内で「重い」感覚を与えることからくる誤解かもしれません。

また、グルテンが粘性のある生地を形成するため、腸内で同様に「粘着質」になると想像されることがあります。

しかし、実際には腸の粘液層や蠕動運動により、こうした物質が長期間滞留することはありません。

4. 小腸の絨毛と構造

小腸の絨毛は、表面を覆う粘液層と腸の運動により、食べ物の残渣が付着しにくい構造になっています。

絨毛の役割は栄養吸収であり、異物や不要な物質は便として排出されます。

健康な腸では、グルテンが特別に「へばりつく」メカニズムは存在しません。

ただし、腸の健康状態(例:腸内細菌叢の乱れや炎症)が悪い場合、消化がスムーズに進まないことがあり、グルテンが不快感を引き起こす可能性はあります。

5. 結論

健康な人:グルテンが腸に「へばりつく」ことはなく、小腸の構造(絨毛や粘液層)や蠕動運動により、適切に処理・排出されます。

セリアック病やグルテン過敏症:グルテンが腸に直接「へばりつく」わけではありませんが、免疫反応や炎症により腸にダメージを与える可能性があります。

誤解の解消:「へばりつく」という表現は、消化の遅さや不快感を誇張したものと考えられます。科学的には、グルテンが物理的に腸壁に付着して残るという証拠はありません。

つまり、「グルテンが腸にへばりつくというのは嘘で、小腸には絨毛があって構造的につかないようになっている」という解説には正しいものもありながら、十分な解説はできておらず、健康な人の場合には小腸の構造や蠕動運動によりグルテンが腸にへばりつくことはありませんが、セリアック病やグルテン過敏症の場合はへばりつくことはないものの、免疫反応や炎症によって小腸の絨毛が平たん化し、腸にダメージを与えるということはないんですね。

これって実はすごく解説が難しい文章だったというわけなんです。

「へばりつく」という部分は嘘なのですが、セリアック病やグルテン過敏症の方の場合にはグルテンが炎症の原因となって腸にダメージを与えることがあるときちんと伝えないと誤解を生んでしまうからです。

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