1)ノンレム睡眠が睡眠の初期段階で重要な「回復プロセス」を担う
2)ノンレム睡眠の後でレム睡眠が「選択プロセス」を担うと仮説される。レム睡眠は、NREM睡眠で回復した脳ネットワークを評価し、覚醒に最適な状態を準備する役割を持つとされる。
3)睡眠不足が続くとレム睡眠が増加する傾向がある https://t.co/VDrSvktuRd— 健康美容ブログ「HAKUR」|女性の知りたいがココにある! (@4050health) September 8, 2025
”睡眠は、「最初の4時間が緊急メンテで、次の3時間で心身の回復をする」”というXの投稿が気になったので調べてみました。
【参考リンク】
- 1. Vyazovskiy VV, Delogu A. NREM and REM Sleep: Complementary Roles in Recovery after Wakefulness. The Neuroscientist. 2014;20(3):203-219. doi:10.1177/1073858413518152
■最初の4時間が「緊急メンテナンス」に相当する可能性
論文では、ノンレム睡眠(NREM睡眠)が睡眠の初期段階で特に重要な「回復プロセス」を担うとされています(Abstractおよび「Sleep, Recovery, and Selection」節)。
具体的には、NREM睡眠中の「緩やかな振動(slow oscillations)」が、シナプス可塑性、細胞の維持・修復、エネルギー補充などの回復プロセスを可能にすると提唱されています(p. 3-4)。
「最初の4時間が緊急メンテナンス」という考えは、論文がNREM睡眠の初期に集中する回復機能(特に深い睡眠であるステージ3や4)に焦点を当てている点と一致します。
論文の図1や図3では、睡眠開始時に皮質の徐波活動(SWA)が強く、回復が必要なネットワークが優先的に動員されると説明されており、これが「緊急メンテナンス」に近い役割を果たすと解釈できます。
■次の3時間が心身の回復に寄与
論文では、NREM睡眠の後でREM睡眠が「選択プロセス」を担うと仮説されています(p. 7-9)。
REM睡眠は、NREM睡眠で回復した脳ネットワークを評価し、覚醒に最適な状態を準備する役割を持つとされています。
このプロセスは、睡眠の後半(例えば残りの3時間)に顕著になる可能性があり、Xの投稿で述べられている「次の3時間で心身の回復をする」という記述と関連します。
特に、論文ではREM睡眠が「オフラインでパフォーマンステスト」を実行し、回復が完了したネットワークを特定するとされています(図6)。
このメカニズムは、心身のストレスを軽減し、全体的な回復を促進するプロセスとして解釈でき、7時間睡眠の重要性を裏付けています。
■7時間睡眠の重要性
論文は、NREMとREM睡眠が交互に繰り返され、すべてのネットワークが回復するまで睡眠が続くことを示唆しています(p. 10-11)。
一般的に、1回の睡眠サイクルは約90~120分で、4~5サイクル(合計7~8時間)が健康な睡眠に必要とされています(図1C)。
Xの投稿が「7時間寝た方がよい」と結論づけるのは、NREM睡眠で回復を始め、REM睡眠でそれを補完するサイクルが十分に確保される時間と一致します。
論文の仮説では、睡眠不足が続くとREM睡眠が増加する傾向があると指摘されており(p. 13)、4時間睡眠ではこのプロセスが不十分で心身の回復が追いつかないという投稿の内容とも合致します。
■まとめ
「最初の4時間が緊急メンテ、次に3時間で回復」という分割を直接的に証明するものではありませんが、NREM睡眠の初期が回復の主要な段階であり、REM睡眠がそれを補完するプロセスとして機能するという仮説を支持しています。
したがって、7時間睡眠が推奨される理由も、NREMとREMの両方のサイクルが十分に機能する時間が必要であるという論文の主張と一致します。