Nature Biomedical Engineering誌に掲載された論文によれば、デンタルフロスを用いた、歯肉溝(歯と歯茎の溝)にワクチンを送り、粘膜免疫(体表面の免疫)と全身免疫を効果的に誘導する方法を提案しています。
マウスの実験によれば、フロスで送達したワクチンがリンパ節、肺、脾臓でCD4+ T細胞(免疫細胞)を増加させ、抗体を産生する骨髄細胞を強化しました。
【参考リンク】
- Ingrole, R.S.J., Shakya, A.K., Joshi, G. et al. Floss-based vaccination targets the gingival sulcus for mucosal and systemic immunization. Nat. Biomed. Eng (2025). https://doi.org/10.1038/s41551-025-01451-3
■まとめ
もしかすると針を使わない簡単で効果的な方法として、従来の舌下や鼻腔内の粘膜免疫法ではなく、デンタルフロスを用いたワクチン接種というアイデアを使って、インフルエンザのような感染症の予防だけでなく、将来的には他の病気(がんや慢性疾患)の治療にも応用できる可能性があるのではないでしょうか?
この治療法のメリットとしては、針を使わないため、痛みや恐怖がなく、患者の負担が少ないこと、自宅で簡単にできる可能性があることから医療機関の負担が軽減されることです。
今後の課題としては、歯周病などによって歯肉溝の状態が変化すると吸収効率に違いがあるのかなど歯肉溝の特性をもっと深く知ることが必要になりそうです。
歯医者さんでまたは自分でデンタルフロスを使っていろんな病気の予防をする時代が来るかも?