by Michael Chen(画像:Creative Commons)
ワシントン大学で男性用ピルの研究15年も行っているジョン・アモリー(John Amory)教授へのインタビュー記事です。
(2012/4/4、GIZMODE)
■なぜ、男性用のピルを開発するのに時間がかかっているのですか?
女性は月に1つの卵子を作るのに対し、男性は毎秒1000もの精子を作ります。
思春期から死ぬまで、毎日常に何千という精子を作っているのですから、その機能をオフにするのは大変難しいことです。
男性用ピルを開発するのは大変難しいそうです。
そのため、もしかすると、避妊しない女性たち 調査の6割「大丈夫な気がした」の中でも紹介した「睾丸に超音波」(AFPBB)という方法が男性向けの避妊法となる可能性があるかもしれません。
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■ホルモン不妊法
PS:ホルモン不妊法はそもそもどのような仕組みなのですか?
JA:男性がテストステロンという男性ホルモンを多く摂取すると、生殖腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンが分泌されます。このゴナドトロピンは、精巣に精子を作るのをやめなさいと命令する働きを持っています。ボディビルダーなんかは、テストステロンを多く摂取するので子供ができにくい人が多いと言われています。が、これがどの男性にも同じように効き目があるかと言うとそうでもないのです。
PS:というとどのくらいの割合なのですか?
JA:95パーセント以上という結果をだせたことがありません。誰はテストステロンで効き目がある、誰はないというのを調べることは可能ですが、そのためには非常にたくさんの精子をテストしなければなりません。テストなしで、これを飲めば大丈夫と簡単に言えるものではないのです。女性用ピルとの大きな違いはここですね。
PS:WHOは8カ国でのホルモン不妊方法の研究に投資をしていましたが、それが昨年ストップされました。その理由とはなんですか?
JA:鬱病等の副作用が原因です。ホルモンの変化にうまく対応できない男性もいるからです。
テストステロンを多く摂取するとゴナドトロピンという精巣に精子を作るのをやめなさいと命令するホルモンが分泌されるそうです。
しかし、この方法はどの男性にも同じような効き目があるとは言い切れないそうです。
また、この方法はホルモンバランスが変化するため、うつ病等の副作用がある場合もあるそうです。
■その他の方法
例えば、ある研究では実験用のサルにEppinというタンパク質を投与して、精子をEppinでコーティングして泳げなくしてしまうというのもあります。
精子がエネルギーを作る過程を邪魔することで精子を疲れさせるというのもあります。
睾丸が精子を作るのにはビタミンAが必要としており、酵素の働きでビタミンAをレチノイン酸に変化させ精子を作成しています。
つまりレチノイン酸がなければ精子はできません。
私が今開発している薬は、このレチノイン酸を止める作用を持つものです。
5年後には、なんらかの結果がでるのではないかと見ています。
いろいろな方法で男性用ピルを作ることが研究されているようです。
- Eppinというタンパク質を投与して、精子をEppinでコーティングして泳げなくしてしまう
- 精子がエネルギーを作る過程を邪魔することで精子を疲れさせる
- 睾丸が精子を作るのにはビタミンAが必要としており、酵素の働きでビタミンAをレチノイン酸に変化させ精子を作成しているのですが、そのレチノイン酸を止める作用を持つもの薬
■男性用ピルの需要は大きいと思いますか?
JA:もちろんです。男性はセックスに大きな興味があります。
が、その多くの場合は、父親になりたいという意志を伴わない興味ですからね。
避妊しない女性たち 調査の6割「大丈夫な気がした」によれば、「大丈夫な気がしたから」という根拠のない自信、安全日への過信、雰囲気を悪くしてはいけないという気持ち、男性主導による避妊(膣外射精・精子がないなど)といった理由から効果的な避妊をしてこなかったようです。
女性主導による避妊が難しいのであれば、男性主導で男性用ピルによる避妊をしていくことが大事なのではないでしょうか。
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