【目次】
■青い光(青色LED)には殺虫効果がある!?|東北大学
by Walter(画像:Creative Commons)
(2014/12/15、FUTURUS)
東北大学大学院農学研究科の堀雅敏准教授の研究グループは、青色光を当てることで昆虫が死ぬことを発見したと12月9日の英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」で発表したのだ。
東北大学大学院農学研究科の堀雅敏准教授の研究グループによれば、青色光を当てると昆虫が死ぬ、つまり、青い光に殺虫効果があることが発見されたそうです。
■なぜ光で昆虫が死ぬのか?
参考画像:青色光を当てると昆虫が死ぬことを発見(新たな害虫防除技術の開発に期待) | 東北大学大学院農学研究科|スクリーンショット
青色光を当てると昆虫が死ぬことを発見(新たな害虫防除技術の開発に期待)(2014/12/9、東北大学大学院農学研究科)
昆虫の種により有効波長が異なることから、その殺虫効果はヒトの目に対する傷害メカニズムに似ていると推測しています。すなわち、種によって吸収しやすい光の波長が異なり、これによって、種により異なる波長の光が昆虫の内部組織に吸収され、活性酸素が生じ、細胞や組織が傷害を受け死亡すると推測していいます(図 3)。
殺虫効果はブルーライトによるヒトの目に対する傷害を受けるメカニズムと似ていると考えられ、特定の波長の光が昆虫の内部組織に吸収されると、活性酸素が生じて、細胞や組織が傷害を受けると推測されるそうです。
【追記(2017/9/27)】
(2017/9/27、朝日新聞)
平田さんはショウジョウバエを使い1年半がかりで実験。青い光を当てると、体内の活性酸素が細胞を傷つける「酸化ストレス」が強まり、細胞が自ら死ぬ「アポトーシス」を促すらしいことを突き止めた。
山梨県の韮崎高校生物研究部が青い光による殺虫効果の仕組みを調べた成果を発表し、青い光を当てると酸化ストレスが強まり、「アポトーシス(細胞死)」を促すらしいということを突き止め、文部大臣賞(最優秀賞)を受賞したそうです。
■まとめ
害虫に悩んでいる人からすれば、青い光の殺虫効果は素晴らしい発見でしょうが、青い光が人間の目に影響を与えているメカニズムと同じだとしたら少々心配になってきますね。
なぜブルーライトが目に悪いのか?|青い光が目に悪影響の仕組み解明ー岐阜薬科大で紹介した岐阜薬科大学の原英彰教授などの研究グループによれば、マウスの目の細胞にLEDの光を当てたところ、緑の光をあてた細胞はあまり変化がなかった一方、白は約70%、青は約80%の細胞が死滅したそうです。
青色発光ダイオード(LED)の開発で、赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんがノーベル物理学賞を受賞したことで、青色の光が注目されていますが、今回の記事を合わせて読むと、今後ますますブルーライトの影響を防ぐ対策を行う必要性が増しそうですね。
【参考リンク】
- Masatoshi Hori, Kazuki Shibuya, Mitsunari Sato & Yoshino Saito 昆虫に対する短波長可視光の致死効果(Lethal effects of short-wavelength visible light on insects) Scientific Reports 4 : 7383 doi: 10.1038/srep07383 (2014)
今回我々は、短波長可視(青色)光の照射で、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の卵、幼虫、蛹、および成虫が死ぬことを明らかにした。青色光は蚊(チカイエカ)およびヒラタコクヌストモドキにも致死作用を示したが、殺虫に有効な波長は昆虫種ごとに異なっていた。
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