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ハリル監督「Jは遅い!CL見ろ」“改善要求3か条”突きつけ
(2015/5/14、スポーツ報知)
ハリル監督が日本代表候補の選手に突きつけた“改善要求3か条”をNHK奇跡のレッスン 世界の最強コーチと子どもたち サッカー指導編でフットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴが少年サッカーチームを一週間指導した内容は通じるものがあるように感じます。
(1)スピード不足
前線から3、4人が一気に連動し、スピードあふれる守備を行う場面に触れ「Jリーグは遅い。これぐらいをスタンダードにしていかないと」と強調した。DF森重は「(自分たちは)どれだけスピードが遅いのか。速くしないとダメだと感じた」と真摯(しんし)に受け止めた。
スピードが遅いというのは、考えるスピードと身体を動かすスピードの2つがあります。
●考えるスピード
フットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴはこういっていました。
「頭の中に2秒先が見えるタイムマシーンを作る」
常に2秒先を予測して動くということ。
もう1つは、ミスを恐れるあまり、スピードを遅くしているのではないかということ。
「中は危険。外側から。安全第一」というコーチの考え方がチームの考え方になってしまう。
ゴール近くでボールを持っていても怖がらない。
ミスをしてもいい。ミスはつきもの。
次しないようにするにはどうしたらよいかを考える。
●体を動かすスピード
バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」によれば、チームのパフォーマンスが低下する理由として2つ挙げられていました。
一つは、「疲労で選手が動けない」ということ、もう一つは「体力をセーブして選手が動かない」ということ。
■どうすれば90分間を通してハイテンポなプレーができるのか?
サッカーの試合において、チームのパフォーマンスが低下してしまうのには、大きく分けて2つの理由がある。
ひとつは「疲労で選手が動けない」ということ。試合の終盤によく見られる現象で、攻撃から守備の切り替えの場面で戻れなくなったり、プレスをかけに行くべきときに足が止まってしまうということが起こる。こういう選手が増えると、もはやチームの組織はズタズタだ。
もうひとつは「体力をセーブして選手が動かない」。試合の前半によく見られ、90分間のペース配分を重視しすぎるがゆえに、立ち上がりのテンポが遅くなってしまう。
1.疲労で選手が動けない
試合の序盤からハイプレスをかけると、試合の終盤になり、疲労で選手が動けないということが起こります。
例:「2002年W杯の韓国代表」
ヒディンクは韓国代表の選手が、試合の60分をすぎたあたりからガクっと動きの質が落ちることに気がついた。
W杯で驚くような結果を残すには、何としても前半の激しさを90分間保ちたい。
そこでヒディンクはオランダからレイモンドを呼び寄せ、肉体改造を依頼。
レイモンドは意図的に練習の量を減らし、さらに“特定の条件”を満たす11対11のトレーニングをすることで、選手たちに90分間戦える能力を身につけさせた。
ベスト4という結果が、この理論の正しさを証明した。
2.体力をセーブして選手が動かない
90分間のペース配分を重視するあまり、力を出し切れずに終わったり、立ち上がりのテンポが遅くなったりしてしまいます。
例:ユーロ2008のロシア代表
ヒディンク就任当初、ロシア代表は90分間の中で波はあまりなかったが、それは前半のペースをセーブしているからだった。レイモンドはヒディンクにこんな冗談を言った。
「これなら3日間サッカーを続けても疲れない」
“特殊”な少人数のトレーニングによって、ロシアの選手たちは立ち上がりから激しくプレーできるようになり、ベスト4という好成績を残した。
現在の世界のサッカーはハイテンポなサッカーですが、こうしてハリル監督が指摘しているところを見ると、世界標準のトレーニング・コンディショニングができていない可能性があります。
(2)体脂肪率の改善
日本代表のハリルホジッチ監督、選手の体脂肪率の高さ(フィジカルの準備ができていない)に警鐘によれば、日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は選手の体脂肪率が高く、フィジカルの準備ができていないことに警鐘を鳴らしています。
体脂肪が高い(12%以上)だとケガが増え、また、体脂肪率の傾向と総走行距離はリンクしているそうです。
バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」によれば、サッカーは持久力のスポーツではなく、瞬間的なアクションが多いスポーツであるため、サッカー選手に対して、長く持久的なトレーニングをさせることは意味がないそうです。
つまり、サッカーでのパフォーマンスを向上させるためには、体脂肪を落として、体に負担がかからないようにし、速筋の疲労回復のスピードを向上させるほうがいいということになります。
本気で世界を目指すのであれば、世界標準のフィジカルを手に入れるためのフィジカルトレーニングが必要なのではないでしょうか。
(3)基本の徹底
MF今野は「今まではやっているつもりでも、一つ一つ意識の低さがあったのかもしれない」と振り返った。
柿谷曜一朗の「神トラップ」に必要な要素とは?でも書きましたが、例えば、トラップとは、単にボールを止めることではなく、次のプレーをやりやすい位置にボールをコントロールすることなのです。
ゴールから逆算して常にゴールを狙う選択肢を考えながらボールをコントロールをする技術こそがトラップなのです。
そして、自分が最もやりやすい位置(シュートもパスもドリブルも出来る位置)にボールをコントロールすることができれば、相手はいろんなことを考えてしまいます。
相手を混乱に陥らせることが出来れば、あなたは次のプレーの判断をする余裕ができます。
基本が徹底されていれば、それが一つ一つのプレーの正確さにもつながりますし、余裕にもつながるはずです。
■まとめ
今回の記事で一番気になったのはこの部分。
そんな指揮官のスタイルに、初招集のFW大久保は「日本人は自分で考えろと言われるとできないけど、言われたことはできる。要求してくれるハリルのやり方は日本人に合う」とうなずいた。
NHK奇跡のレッスン 世界の最強コーチと子どもたち サッカー指導編であったように、日本でのトレーニングは、型にはまったトレーニングで、子どもが考えないそうです。
代表選手自身が「自分で考えろと言われるとできない」といっているわけですから、これは問題ですよね。
もっと自分たちで考えるという習慣を付けなければ今以上のレベルアップは難しいです。
子どもの指導しているコーチはぜひ考えさせるトレーニングを取り入れて欲しいですね。
例えば、チームの目標を全員で考える。
その目標を達成するためにはどんなこと(トレーニングメニュー・まわりのサポート)が必要かを考える。
トレーニングの内容も飽きないように、少しずつ変えていく。
そうしたことを一つ一つやることで自主性を持つことにもつながるのではないでしょうか。
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