ハリルホジッチ監督(当時)が日本のGK事情に危機感!世界最高のGK(ゴールキーパー)を育てるためには何が必要なのだろうか?




■ドイツでは次々と優秀なGKが生まれている!?

Manchester United Goal Keeper

by Paul(画像:Creative Commons)

キーパー大国ドイツのハイレベルすぎる選手層…CL優勝GKがU-21代表でも控えに

(2015/6/16、Soccer King)

記事によれば、ドイツには、FIFAバロンドール最終候補にも名を連ねたマヌエル・ノイアー、ドイツU-21代表の守護神の座を争っているマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンとベルント・レノ、ティモ・ホルン、ロリス・カリウスと、次々と優秀なGKが生まれているそうです。

ところで、どのように育成すれば良いGKが生まれるのでしょうか?

■苦手なプレーを消していく

「良いGKを育成するためにはどうすればいいか~ドイツでGK指導を学んだ日本人コーチが語る、世界基準のGK育成法」(後編)松本山雅FCアカデミーGKコーチ 川原元樹インタビュー

(2014/8/22、COACH United)

トップレベルでプレーすることを考えると、苦手なプレー、弱点がひとつでもあれば、良いGKにはなることができません。

相手チームの分析が進んだことで、弱点があるとその弱点を突いた作戦をとられてしまうため、トレーニングによって、一つ一つ苦手なプレーをなくしていく必要があります。

■自信をつけさせる

自信と長友佑都とザック監督でも紹介しましたが、自信を持つことは非常に重要で、自分には能力があると自信があると勇気を持って相手に立ち向かうことができます。

GKが自信を持ってプレーをしていると、味方は安心してプレーができますし、また、相手チームからも恐れられるはずです。

では、どのようにすれば、GKに自信を付けさせることができるのでしょうか?

ひとつは、数多くの成功体験をさせること。それと、プレーの振り返りも大切です

成功体験をさせることと、チームでゴールを奪われた場面での議論を行い、チームでの共通理解を高めることが重要なようです。

そして、GKが成長すると、さらなるメリットがあります。

GKが成長すると、練習では味方GKと対戦することも増えるでしょうから、そのGKからゴールを奪うためには工夫が必要になってくるため、攻撃陣の能力が上がることも期待されます。

■ライバルの存在

ドイツU-21代では、マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンとベルント・レノが守護神の座を争っているそうです。

同時代に優れたライバルがいるというのは、素晴らしいプレーヤーが生まれる要素の一つだと思います。

そのためには、GKを目指す選手が多くいる必要があります。

【追記(2017/2/17)】

川口能活が語る韓流GKブーム。「日本人との差は跳躍力と……」

(2017/2/17、Number Web)

ジュビロ磐田のカミンスキーを含めれば、J1の18クラブ中6クラブの正GKを外国人選手が務めることになる。

1990年代、Kリーグではソ連(タジキスタン)出身のGKヴァレリー・サリチェフが大活躍したことで、多くのクラブがロシア人選手に正GKの座を託すようになった。結果、韓国人GKのレベルが低下。この状況に危機感を抱いたリーグ側は、1999年から外国人GKの選手登録を禁止するレギュレーションに変更した。この環境下で育った韓国人GKが現在、Jリーグに大量流入しているというわけだ。

中国クラブはなぜ欧州からGKだけは”爆買い”しないのか? その背景には”ある狙い”が…

(2016/12/25、Football ZONE web)

2001年、中国リーグは外国人GKの獲得を禁ずる方針を表明。その狙いは自国選手の育成にある。優秀なGKを保有することがどれほど重要なことかを考慮した際、リーグのすべてのクラブが欧州からのGK獲得に動くと判断。GKはピッチに1人しか立てないことから、自国選手の出場機会の激減を懸念し、この方針を打ち出したとされている。

韓国・中国では外国人GKの獲得を禁止する方針となっていますが、日本ではそうした規則とはなっていないため、JリーグのトップカテゴリーであるJ1のクラブの正GKの3割を外国人選手が務めています。

ライバルの存在によって、お互いの能力を高めていくことができると思いますが、GKというのはチームで一人しか出場することができないため、出場できなければ、経験値に大きな差がついてしまいます。

■サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が挙げる理想のGKの要素とは?

【追記(2016/10/18)】

サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が理想のGKについて聞かれたときのコメントを参考にしてみたいと思います。

●身長は190cm以上

「190cmないと良いGKとは言えない」ハリルの言葉に183cmの西川は…「ないものはない」

(2016/10/18、ゲキサカ)

「現代フットボールでは(身長が)190cmないと、良いGKとは言えない。強豪クラブも強豪国も、そういう統計になっている」。

「PKを含めて、すべてセットプレー。それが(日本の)弱点と思われている。そこは向上させるか、隠していかないといけない。180cm台のいいGKでも、190cmの選手にFKで対抗するのは難しい」。

反応が良ければ180センチ台のGKであってもハイレベルな争いができるのでしょうが、セットプレーの際に身長が低いGKの場合には、そこが弱点と思われてしまいます。

育成の段階から身長が高くなりそうな選手を見つけることが重要なのかもしれません。

●現代サッカーにおけるGKに求められる要素

ドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(バイエルン)が評価される点からGKに求められる要素を考えてみたいと思います。

「最もレボリューション(革命)を起こしたGKを挙げるとすればノイアーだ。リベロのようなポジションを取って、DFラインの背後のボールをすべて彼がコントロールし、さらに組み立てにも参加する。反応もコミュニケーションも良い。チームにメンタルをもたらす存在だ」

  • 高身長190cm以上
  • DFラインをコントロール
  • 組み立て(ボールを相手陣に向けて運び、シュートにまでつなげること)に参加できる
  • 反応がいい
  • 選手間のコミュニケーションがとれる
  • メンタルが安定している

■まとめ

ビルドアップへの参加、DFラインの背後をカバーするプレー、クロスに対するプレーの強さなどは重要視されると思いますが、やはりGKの原点は得点機会を阻止すること。

昔のGKのイメージといえば、味方DFに指示をして、ゴールマウスで相手の得点を阻止することを行うイメージでした。

しかし、近年GKにはビルドアップに参加するなどフィールドプレーヤーとしての能力までも求められるようになっています。

つまり、世界最高レベルのGKを育てるには、フィジカルにも優れ、コーチングにも優れ、足元にも優れ、空中戦にも強く、味方からの信頼も厚いというような万能な能力が求められているのです。

そのためには、いかにGKがすごいポジションであるかというのを子供の時に教えていく必要があるのではないでしょうか。

「キャプテン翼」が流行した後、みんながMFをやりたがったように、GKが主人公にした漫画・アニメが出てくるといいかもしれませんね。