> 健康・美容チェック > 胃の病気 > 胃がん > 胃がんの発症を抑える酵素の発見|ピロリ菌とウイルスの連携による胃がん発症の仕組み解明|東大大学院
【目次】
■胃がんの発症を抑える酵素を発見|東大大学院
参考画像:胃がん発症における発がん細菌と発がんウイルスの連携(2016/3/15、東京大学)|スクリーンショット
(2016/3/14、朝日新聞)
日本人の胃がん患者のほとんどはピロリ菌に感染している。ピロリ菌がつくるたんぱく質が胃の細胞に侵入して「SHP2」という酵素と結びつくと、胃がんの発症を促すことが知られている。だが、このたんぱく質が別の酵素「SHP1」と結びつくと、がんの発症が抑えられることがわかった。
<中略>
胃がん患者の1割はピロリ菌だけでなく、リンパ腫などの原因として知られるEBウイルスにも感染している。畠山さんによると、このウイルスに感染した細胞ではSHP1の量が減り、ピロリ菌がつくるたんぱく質の働きが強まることもチームが確認した。
ピロリ菌とウイルスの連携による胃がん発症の仕組み解明、世界初 東京大学など
(2016/3/21、大学ジャーナルオンライン)
東京大学大学院医学系研究科の畠山昌則教授らは、タンパク質チロシンホスファターゼ(SHP1)が、ピロリ菌が産生するタンパク質CagAの発がん活性を抑制する酵素であることを突き止めました。さらに、エプスタイン・バール(EB)ウイルスが感染した胃の細胞内ではSHP1の発現が抑制され、ピロリ菌CagAタンパク質の発がん活性が増強することを見出しました。
(2016/3/15、東京大学)
胃の細胞内に侵入したピロリ菌タンパク質 CagA はチロシンリン酸化を受けることで SHP2と結合する能力を獲得し、SHP2 を異常活性化して胃がんの発症を促します。
畠山昌則教授(東京大大学院)のチームによれば、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が作るたんぱく質が「SHP1」という酵素と結びつくと胃がんの発症を抑えられることがわかったそうです。
ポイントをまとめてみます。
- 胃がん患者のほとんどがピロリ菌に感染している。
- ピロリ菌タンパク質 CagA はチロシンリン酸化を受けることで SHP2と結合する能力を得る。
- ピロリ菌が作るたんぱく質CagA がチロシン脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)「SHP2」と結びつくと胃がんの発症を促していることがわかっている。
- ピロリ菌が作るたんぱく質CagAが「SHP1(タンパク質チロシンホスファターゼ) 」という酵素と結びつくと胃がんの発症を抑えられる。
- 胃がん患者の1割はピロリ菌だけでなく、リンパ腫などの原因として知られるEB(エプスタイン・バール)ウイルスにも感染している。
- EBウイルスに感染した細胞では胃がんの発症を抑える「SHP1」の量が減少し、ピロリ菌が作るたんぱく質の働きが強まる。
- ピロリ菌とEBウイルスが連携することによって、胃がんの発症を進行させることがわかった。
■胃がんとピロリ菌について
by Ed Uthman(画像:Creative Commons)
胃がんの原因として有名なのは「ピロリ菌」です。
ピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどを引き起こすことがわかっています。
胃がんの8割がピロリ菌が原因 胃がん対策はピロリ菌除菌を中心に|国際がん研究機関によれば、ピロリ菌が胃がんの原因の一つであり、ピロリ菌を除菌することが胃がん予防につながるといわれています。
→ 胃がん|胃がんの症状・原因・手術・食事 について詳しくはこちら
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