■リツイートはあなたの決断力を疲労させ、誤った決定を行なってしまう原因になる!?
by Maryland GovPics(画像:Creative Commons)
(2016/5/8、Forbes)
コーネル大学人類生態学部の教授によれば、「共有が認知過負荷を引き起こし、それが、その後の課題への取り組みを妨げる」と考えられる。
「共有するか否か」による精神的能力の流出は、メッセージ一件当たりで考えれば小さなものだが、積み重なれば状況が変わる。1日のうちに(あるいは時間の単位で)、私たちがこうした決定を下す回数がどれだけに上るかを考えてみればよい。
リツイートをするかどうかを決定することに対する負担は1件あたりで考えれば小さなものでしょうが、それが積み重なればそれだけ自分自身が持っている「決断メーター」からパワーが減っていくことになります。
今回の記事はリツイートによって脳から力が奪われることによって、成績が悪くなるのではないかということを心配している記事なのですが、デンマーク国立社会研究所の調査によれば、遅い時間帯に受けたテストの方が得点が低いことがわかったそうです。
これには、午前中よりも午後のほうが認知力(特に集中力)が低下していることが関係していると考えられています。
午前と午後、どちらの方が試験でいい点数を取れる?(研究結果)
(2016/2/24、ハフィントンポスト)
午後のテストで点数が低くなった結果は、これまでにわかっている認知的疲労についての研究と合致している。認知的疲労とは、精神的に疲れる作業をしてエネルギーを使い果たした時に、認知力(特に注意力)が減少した状態をいう。
「私たちの集中力や決断力、瞬発力は認知的疲労に左右されます。これまでの研究から休憩が生産性を高めることがわかっていますが、今回の研究は認知的疲労による認知能力が低下することを明らかにしています。これは従来の研究データと一致しています」と研究のリーダー、ハンス・ヘンリック・シーベルトセン博士は説明する。
認知的疲労とは、精神的に疲れる作業をしてエネルギーを使い果たした時に、認知力(特に注意力)が減少した状態であり、私たちの持つ認知力(特に注意力)は筋肉を使えば疲れるように、使えば使うほど消耗してしまうのです。
「決断疲れ」の例を紹介しましょう。
(2014/11/7、ニューズウィーク)
ある研究者グループが表現したように「筋肉を使えば疲れるように、自制心を働かせれば、その後の自制心に短期的な機能障害が起きる」。研究者たちはこれを「自我消耗」と呼んだ。
「選択の科学」(著:シーナ・アイエンガー)で紹介されたジャムの実験によれば、24種類のジャムを展示すると試食する人は多いのですが、購入には至らないことが多く、6種類のジャムを展示した日の方が10倍売れたそうです。
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ジャムの品揃えが多すぎると、購入率が下がることがわかるというこの結果からわかることは、選択肢が多ければ多いほど良いわけではなく、人は比較する対象が多すぎると、意思決定をすることができなくなってしまう(意思決定自体をやめてしまう)ということです。
また、「決断疲労」は決定する際に潜在的リスクの高い行動を嫌うという決定を行ないやすくしてしまうそうです。
"強い意志"を身に付ける なぜダイエットは難しいのか?その秘密は「決断疲れ」にあった
(2012/1/25、クーリエ)
仮釈放が認められたのは全体の約3分の1だった。ただし、仮釈放が認められる確率は一日のなかで時間帯により大きなばらつきがあった。午前中の早い時間に審問を受けた受刑者は約70%が仮釈放を認められたのに対して、午後遅い審問の受刑者が釈放される確率は、なんと10%にも満たなかったのだ。
(2012/2/7、PMI Consulting Column)
つまり、午後の遅い時間になると、判事達は潜在的にリスクの高い仮釈放の決定(仮釈放して再度犯罪を犯すリスク)を嫌う行動としてあらわれた。この行動こそ「決断疲労」時の特徴的行動だとしている。
スタンフォード大学のジョナサン・レバブとベン・グリオン大学のシャイ・ダンジガーが行なったイスラエルの刑務所において下される仮釈放の決定について調査によれば、決断疲労によって、午後の遅い時間になると潜在的にリスクの高い行動を嫌うようになるそうです。
決断疲労によって行なう行動は2つ考えられます。
1.決断疲労によって疲れた脳は考え抜く力がないため、「どうにでもなれ」という決断をしてしまう。
2.潜在的にリスクの高い行動を嫌い、決断することをやめてしまう。
■まとめ
スティーブ・ジョブズさんが黒のタートルネックだけを愛用していたのは、朝から着る服選びによる「決断疲れ」を避けていたのかもしれませんね。
あなたがもし何か重要な決断・決定をする必要があるときには「午前中」にすることをおすすめします。
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P.S.
ただし、創造的なこと・アイデアを考えることと決定することはまた別の話です。
「フォーカス」(著:ダニエル・ゴールマン)によれば、創造的なひらめきと集中力とは関係がないようです。
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創造的なひらめきが浮かぶ直前、マインド・ワンダリングに関係する脳の領域が活発になることがわかっている。そして、興味深いことに、注意欠如障害を持つ人たちの脳を調べてみると、この部分が非常に活発なのである。注意欠如障害を持つ成人の場合、そうでない人に比べて独創的思考のレベルが高く、実際に創造的な成果を達成するケースも多い。ヴァージン・グループを築き上げた実業家リチャード・ブランソンは、自らを注意欠如障害を持ちながらも成功した例であると公表している。
アメリカ疾病予防管理センターの統計では、子どもの10パーセント近くに多動性に関連した何らかの障害がみられるという。成人になると、多動性は消失し、注意欠如障害が残る。成人の4パーセント前後がこうした障害を持つと思われる。レンガの新しい用途を見つける、というような創造的課題を与えられると、注意欠如障害を持つ人たちは、集中力が続かないにもかかわらず(あるいは、集中力が続かないからこそ、というべきかもしれない)、優れた結果を出す。
ひらめきを実現化するためには集中力が必要なのはもちろんですが、創造的なひらめきを得るには、反対のための反対もないし、批判や決めつけもない、ただ頭に浮かんでくることを受け入れる「開かれた意識性」が必要なのだそうです。
人間は一番疲れている時に一番創造的になれる!?によれば、創造力を必要とすることはを、脳の機能の動きがよくない時間である朝一番か昼食後に行なうことをすすめていましたが、このことも関係しているかもしれませんね。