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■高齢者の急性腎障害(AKI)が治りにくい原因を解明 ステロイドによる治療の可能性|京大グループ
参考画像:高齢者腎臓病の新たな病態メカニズムの発見・新規治療戦略の可能性を拓く|京都大学スクリーンショット
(2016/7/22、京都新聞)
グループは、AKIを引き起こした高齢のマウスで実験。腎臓の組織を観察すると、障害が強いほどリンパ球がたくさん集まっていた。リンパ組織が大きくなると、周囲を破壊して炎症がひどくなる傾向が強かった。またより高齢になると、腎臓の障害がないにもかかわらずリンパ組織が生じることも分かった。
リンパ組織の形成を防ぐためグループは、AKIを起こしたマウスに免疫を抑制する作用を持つ「ステロイド」を投与した。結果、リンパ組織の形成を抑え、障害や炎症が改善した。
血液透析患者の4分の3を占める60歳以上では、多くの場合、急性腎障害(AKI)の発症が関わって透析導入に至っているそうですが、高齢者のAKIが治りにくい原因はわかっていなかったそうです。
京都大医学研究科の柳田素子教授や佐藤有紀助教の研究によれば、高齢者は腎臓の中に「3次リンパ組織」(リンパ節のような組織)を形成しやすいため、急性腎障害(AKI)が治りにくいとみられることがわかったそうです。
ポイントをまとめます。
- 腎臓の組織を観察すると、障害が強いほどリンパ球がたくさん集まっていた。
- リンパ組織が大きくなると、周囲を破壊して炎症がひどくなる傾向が強かった。
- より高齢になると、腎臓の障害がないにもかかわらずリンパ組織が生じている。
- AKIを起こしたマウスに免疫を抑制する作用を持つ「ステロイド」を投与した結果、リンパ組織の形成を抑え、障害や炎症が改善
今回の研究では、ヒトの高齢者でも、腎臓にリンパ組織が生じやすいことも確認したということで、AKIの治療にステロイドを用いることで高齢者のAKIが治りやすくなるかもしれません。
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【参考リンク】
- 高齢者腎臓病の新たな病態メカニズムの発見・新規治療戦略の可能性を拓く(2016/7/22、京都大学)
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