ある研究によれば、コラーゲンペプチドは、毛包の成長期を長く保ち、幹細胞を健康に保つことで、加齢や脱毛症による髪の薄さを防ぐのに役立つ可能性があります。
【参考リンク】
- Karin I. Pappelbaum, Nicolina Virgilio, Lisa Epping, Bastiaan van der Steen, Francisco Jimenez, Wolfgang Funk, Janne Prawitt, Marta Bertolini, Revealing novel insights on how oral supplementation with collagen peptides may prevent hair loss: Lessons from the human hair follicle organ culture, Journal of Functional Foods, Volume 116, 2024, 106124, ISSN 1756-4646, https://doi.org/10.1016/j.jff.2024.106124.
1. どんな研究?
この論文は、コラーゲンペプチド(CP)と呼ばれる栄養補助食品が、髪の毛の成長や脱毛予防にどう影響するかを調べた研究です。特に、ヒトの毛包(髪の毛を生み出す小さな器官)を体外で培養し、海洋由来(魚の皮など)やウシ由来(牛の皮)のコラーゲンペプチドが毛包の機能にどう働くかを詳しく観察しました。わかりやすくポイントをまとめます!
2. 背景:なぜこの研究が大事?髪の健康と脱毛の課題
髪の毛は見た目や自信に影響を与える重要な要素ですが、加齢や男性・女性型脱毛症(AGAやFPHL)によって、髪が薄くなったり抜けたりすることがあります。これは、毛包が正常に機能しなくなるためで、特に「成長期(アナゲン)」が短くなり、「休止期(テロゲン)」が長くなることが原因です。
●コラーゲンペプチドとは?
コラーゲンペプチドは、肌や髪の健康をサポートするサプリメントとして注目されています。消化されるとアミノ酸や小さなペプチドに分解され、体内でコラーゲンやエラスチンの生成を助けたり、細胞の働きを調整したりします。これが髪にも良い影響を与える可能性があると考えられました。
●研究の目的
3.結果
この研究では、海洋由来とウシ由来のコラーゲンペプチドが毛包に異なる効果をもたらすことがわかりました。
(1) 海洋由来コラーゲン(m-コラーゲン)の効果
●成長期を延長
毛包の「成長期」を長く保ち、髪の毛が成長する期間を延ばしました。これにより、髪が抜けにくくなる可能性が示唆されます。
●幹細胞の静止状態をキープ
毛包の幹細胞(K15+細胞)が過剰に増殖するのを抑え、静止状態(休んでいる状態)を維持。これにより、幹細胞が長期間健康に保たれ、髪の成長が安定します。
●子孫細胞を増やす
幹細胞から派生するK19+やCD34+細胞(髪の成長に関わる細胞)の数を増やし、髪の生成をサポート。
(2) ウシ由来コラーゲン(b-コラーゲン)の効果
●幹細胞の数を増やす
毛包のバルジ部(幹細胞が集まる場所)にあるK15+細胞の数を増やし、幹細胞の「貯蔵」を強化。
●細胞の死を抑える
幹細胞やその子孫細胞の「アポトーシス(細胞の死)」を減らし、毛包の健康を保つ。
●子孫細胞の生成を促進
K19+細胞やK15+/K19+二重陽性細胞の数を増やし、髪の成長を支える細胞集団を強化。
(3) 共通のポイント
どちらのコラーゲンも、髪の成長をサポートする効果が確認されました。
特に、毛包幹細胞(eHFSC)の働きを調節することで、脱毛を防ぎ、健康な髪を維持する可能性が示されました。
5. どんな意味があるの?脱毛予防の可能性
コラーゲンペプチドは、毛包の成長期を長く保ち、幹細胞を健康に保つことで、加齢や脱毛症による髪の薄さを防ぐのに役立つ可能性があります。
■まとめ
この研究は、海洋由来とウシ由来のコラーゲンペプチドが、ヒトの毛包の成長をサポートし、脱毛を防ぐ可能性を示しました。具体的には、毛包の成長期を延ばしたり、幹細胞を健康に保ったり、髪の生成に関わる細胞を増やしたりする効果が確認されました。これにより、コラーゲンペプチドは、薄毛や脱毛症の予防に役立つ栄養補助食品として期待されます。将来、もっと研究が進むと、毎日の生活でコラーゲンを取り入れるのが当たり前になるかもしれません!
【補足】
Xの投稿で「コラーゲンペプチドパウダー毎日摂取するようになって、まつ毛すごく長くなった、髪すぐ伸びる、爪すぐ長くなる。ここまで効果あるなら歯茎や血管にもいいはず。」というコメントがあったので、この点についても検討してみたいと思います。
1. 研究と投稿の関連性
先ほどの論文では、海洋由来やウシ由来のコラーゲンペプチドが、ヒトの毛包(髪の毛を生み出す器官)の成長期(アナゲン)を延ばし、毛包の幹細胞(eHFSC)を健康に保つ効果があることがわかりました。
これにより、髪の成長をサポートし、脱毛を予防する可能性が示唆されています。
投稿で「髪がすぐ伸びる」と感じたのは、この成長期が延びたことで、髪の毛が自然に長く育ちやすくなったのかもしれません。
特に、海洋由来のコラーゲンペプチドは、実験で成長期を有意に延長させたことが確認されています。
2. 「髪がすぐ伸びる」効果はあるのか?研究の結果
論文では、コラーゲンペプチドが毛包の成長期を延ばし、幹細胞の働きを調整することで、髪の成長をサポートすることがわかりました。
ただし、「髪がすぐ伸びる」というのは、髪の成長速度そのものが劇的に速くなるというより、成長期が長くなることで結果的に髪が長く育つ時間が増えた可能性が高いです。
自然な髪の成長速度(約1か月で1〜1.5cm程度)は変わらないものの、健康な毛包のおかげで抜けにくくなり、伸びた髪が残りやすくなったと感じるのかもしれません。
個人の体験との一致
投稿者が「髪がすぐ伸びる」と感じたのは、成長期が延びた効果や、毛包が健康になったことで髪の質が改善し、成長が目立ちやすくなった可能性があります。
また、まつ毛や爪の成長も同様に、コラーゲンがケラチン(髪や爪、皮膚の主成分)の生成を助けることで、全体的に成長が促進されたのかもしれません。
限界
ただし、この研究は体外(実験室での毛包培養)で行われたもので、実際に人が毎日コラーゲンを摂取したときの効果を直接証明したわけではありません。個人差や他の栄養素の影響も考えられるので、「すぐ伸びる」という効果が全員に当てはまる保証はないよ。
3. まつ毛や爪への効果
まつ毛や爪が長くなったと感じるのは、コラーゲンがケラチンというタンパク質の合成をサポートするからかもしれません。ケラチンは髪や爪、まつ毛の主成分で、コラーゲンペプチドがこれを強化することで、成長が促進された可能性があります。
論文では髪の毛に焦点を当てていますが、ケラチンの生成が全身で関連しているため、まつ毛や爪にも似た効果が現れるのは自然なことかも。
4. 歯茎や血管への効果はあるか?可能性
投稿者が「歯茎や血管にもいいはず」と考えたのは、面白い視点で、コラーゲンは体内の組織を支える重要な成分で、歯茎や血管の再生にも関わっています。論文では直接触れられていませんが、別の研究ではコラーゲンが歯茎の細胞成長を助けたり、血管の形成をサポートしたりすることが示唆されています(例えば、Frontiersの研究)。
だから、理論的には歯茎や血管の健康にも良い影響がある可能性はあります。
証拠の不足
ただし、この論文では毛包に特化しているため、歯茎や血管への具体的な効果はまだ証明されていません。さらなる研究が必要です。
5. 結論と注意点
効果の可能性
コラーゲンペプチドは、髪の成長期を延ばし、毛包の健康を保つことで「髪がすぐ伸びる」感じをサポートする可能性があります。まつ毛や爪の成長も、ケラチン生成の強化によるものと考えられます。歯茎や血管への効果も期待できるかもしれないけど、現在の研究ではまだ不明です。