フィンランドの 1,207 人を対象としたコホート研究によれば、青年期の心肺機能(CRF)の高さは、筋骨格機能や体格指数(BMI)ではなく、中年期における労働能力の高さや病欠の少なさと関連していることがわかりました。
また、この研究を参考にする若者の体力の低さは将来の労働能力低下のサインとなる可能性があるため、子供の時に心肺機能を高めることが将来の労働能力を高めることにつながると考えられます。
【参考リンク】
- Laakso PTT, Ortega FB, Huotari P, Tolvanen AJ, Kujala UM, Jaakkola TT. Adolescent Cardiorespiratory Fitness and Future Work Ability. JAMA Netw Open. 2024;7(3):e243861. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.3861
■まとめ
成功する人は体力オバケが多い!?体力オバケになる方法とは?なぜ定期的に有酸素運動をすると疲れにくくなるの?では体力オバケの人を次のように定義しました。
1)心肺機能が強い=心臓と肺が効率よく酸素を供給できるために疲労回復が早い人
2)定期的な運動でミトコンドリアが増え、疲労物質(乳酸)の蓄積が少ない人
3)血流改善や免疫系の強化が優れているため免疫力とスタミナが抜群な人
4)酸素摂取の効率が良く、ミトコンドリアの働きが優れているため、エネルギーを無駄なく使い、長時間活動できる、エネルギー効率が高い人
つまり、体力がある人というのは疲労回復が早く、疲れが蓄積しにくく、エネルギー効率が高い人であり、先ほど紹介した研究と合わせて考えると、心肺機能の高さと労働能力の高さ、病欠が少ないと予想できますよね。
心肺持久力と握力の両方が低い中学生は代謝異常リスクが高い!|心肺持久力が低いと血圧やnon-HDLコレステロールは高い!|新潟大学でしょうか舌新潟大学と新潟県阿賀野市による共同研究によれば、体力テストで心肺持久力を測るシャトルランと上肢筋力を測る握力の両方が低い中学生は代謝異常(メタボまたは生活習慣病)リスクが高いことがわかったそうです。
また、血圧および動脈硬化促進性の血中脂質であるnon-HDLコレステロールは、心肺持久力が低いと有意に高くなったそうです。
つまり、子供の時にシャトルランを行って心肺機能が低いということがわかれば、病気のリスクが高いサインと考えて、運動を勧めて心肺機能を高めていくことが将来の病気のリスクを減らすと同時に仕事のパフォーマンスを挙げることにつながるのではないでしょうか?
最近は健康経営に注目が集まっています。
健康と生産性の関係|出勤していても体調不良を感じている社員は労働生産性が下がっているで紹介した「アブセンティーイズム(疾病により欠勤している状態)」と「プレゼンティーイズム(出社こそしているものの、何らかの疾病で業務遂行に障害が起き、労働生産性が下がっている状態)」を参考に考えると、出勤していても体調不良を感じている社員は労働生産性が下がっており、それが企業の生産性損失コストの多くを占めているようです。
体調不良を押してまで頑張ってもパフォーマンスが落ちてしまっているという結果が出ています。
今回の研究は青年期における心肺機能が中年期の労働能力の高さと関連するというものでしたが、中年期でも心肺機能を高められるというものであるならば、心肺機能を労働生産性を見るサインと考えて、健康診断や体力テストなどで心肺機能をチェックし、低い場合には運動を勧めていくということが大事になっていくでしょう。