ニュージーランドで行われた研究(Elliott ML et al., 2021)によれば、老化の速度は人によって大きく異なり、老化を「生物学的年齢」(体の実際の衰え具合)を測定したところ、1年間で老化する速度が、0.4年分(ゆっくり老化)から2.4年分(急速に老化)と、最大で約6倍の差があることを発見しました。
老化速度は、遺伝(一部)、幼少期の健康、ストレス、経済状況、喫煙、運動不足、食習慣などが関与しています。
急速に老化する人は、認知機能や身体能力の低下も早く、将来の病気リスクが高い傾向にありました。
ゆっくり老化する人は、見た目や健康状態が若く保たれ、45歳でも30代のような体力を維持している一方、急速に老化する人は、疲れやすさや慢性疾患の兆候が早く現れました。
つまり、この研究のポイントは老化は生活習慣などでコントロールできるということです。
加齢は特定の年齢(34歳、60歳、78歳)で急激に変化する!で紹介したスタンフォード大学が行った研究によれば、加齢は「少しずつゆっくり進む」ものではなく、特定の年齢で急激に変化する「急変点」があることがわかりました。
つまり、加齢とは単なる時間の積み重ねではなく、段階的に「シフト」しているといえるのではないかという考え方です。
急速に老化する人は将来の病気リスクが高いということですので、34歳をめどに生活習慣を改善することが老化をゆっくり進める秘訣と言えるのではないでしょうか?
【参考リンク】
- Elliott ML, Caspi A, Houts RM, Ambler A, Broadbent JM, Hancox RJ, Harrington H, Hogan S, Keenan R, Knodt A, Leung JH, Melzer TR, Purdy SC, Ramrakha S, Richmond-Rakerd LS, Righarts A, Sugden K, Thomson WM, Thorne PR, Williams BS, Wilson G, Hariri AR, Poulton R, Moffitt TE. Disparities in the pace of biological aging among midlife adults of the same chronological age have implications for future frailty risk and policy. Nat Aging. 2021 Mar;1(3):295-308. doi: 10.1038/s43587-021-00044-4. Epub 2021 Mar 15. PMID: 33796868; PMCID: PMC8009092.