鶏卵の早期摂取推奨後も、鶏卵アレルギーの大きな減少は認められず~食物アレルギーの最も多い原因食物が鶏卵からナッツ類に変化~(2026年1月21日、国立成育医療研究センター)によれば、卵を早いうちから離乳食で食べさせることによるアレルギー予防を推奨してきましたが、現在のところ卵アレルギーを大きく減らすことはできていないそうです。
■より詳しく
日本では2017〜2021年頃から「離乳食で鶏卵を早めに(特に全卵微量で)始める」ことをアレルギー予防として推奨してきた(特にアトピー持ちの赤ちゃんに有効とされた研究に基づく)。
しかし、2022年以降も救急外来で鶏卵アレルギーの受診数は有意に減っていません。
全体の食物アレルギーによる救急受診数も10年間(2015〜2024年)ほぼ横ばいです。
そして、最近はアレルギー原因食物のトップがナッツ類に変わってきました。
昔(2015年頃):卵・小麦・牛乳が主犯
最近(2022〜2024年):ナッツ類(特にクルミ、カシューナッツ、アーモンドなど)が急増して最多に(オッズ約4倍)。
牛乳アレルギーは減ったが、卵は全体として大きく減らず(年長児でやや減少傾向はある)。
つまり、卵の早期摂取のガイドラインは理論上は有効でも、現実社会では十分に浸透しておらず、また摂取していても、「卵黄からゆっくり」と思っている人が多く、本来のアレルゲン主成分の卵白の導入が遅れていることも考えられます。
そして、食生活の欧米化(ナッツ入りお菓子・パンなどの増加)、乳幼児期のナッツ摂取機会が少ないまま突然食べる、環境中のナッツ抗原暴露などが原因となってナッツ類のアレルギーが急増していることからも対策を考えて啓発していくことが必要です。
■【家庭料理の視点から】
先日子育て中のママさんから卵アレルギーに対してどのように取り組んでいるのか聞いたところ、まず卵黄を食べる、そして、卵黄の近くの卵白を食べる、そして卵白へと移行するそうです。
今回のプレスリリースでも慎重にすることで卵白を食べさせるのが遅れている可能性があるようですね。
国立成育医療研究センターのFAQでも「まずゆで「卵黄」少量から試したほうがよいのでしょうか?」という質問の回答には、
鶏卵の卵白、卵黄のうち、即時型の鶏卵アレルギーのアレルゲンがたくさん含まれているのは卵白なので、卵黄からゆっくり与え始めると、卵白の摂取開始が遅くなってしまいます。
PETIT研究では最初から「全卵(卵黄+卵白)」の微量の早期摂取を行い、卵白も早期から摂取を開始していました。
当アレルギーセンターでは、医師が問題ないと判断すれば卵白を微量から摂取することを推奨しており、卵黄から開始することにこだわらず、外来指導をしています。
とあり、医師の指導の下、問題ないと判断すれば、最初から全卵または卵白を微量から摂取することを推奨しており、卵黄から開始することにこだわらないでいいと書かれていることから、ガイドラインの内容が社会(家庭・保育園・医師)にうまく伝わっていないことがわかります。
【参考リンク】
- 離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見
成育医療研究センターでは、生後4~5か月時点でアトピー性皮膚炎を発症している食物アレルギーのハイリスク児を対象に、生後5~6か月から少量の加熱全卵(卵黄+卵白)を摂取すると1歳時点の即時型鶏卵アレルギー発症を8~9割予防できることを臨床試験で実証しました(PETIT研究 Lancet. 2017 Jan 21;389(10066):276-286. )
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■まとめ
卵の早期摂取は間違っていないのですが、ガイドラインがうまく社会に伝わらず、思ったほどの効果が出ていないこと、そして、今度はナッツ類のアレルギーの方が問題になっているので、そちらの対策が急務になってきているということですね。
どんなに正しい知識があっても、それをうまく伝えるのが難しいという一例ですね。
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