中高年こそ脳の「転換点」 / 40〜60歳の生活習慣が将来の認知症リスクを決める




ある論文によれば、「中高年こそが脳の老化の重要な『転換点』かもしれない」と意識して、中高年で生活習慣を改善することが将来の認知症リスクを下げることが期待できます。

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■背景

これまで高齢期(60歳以上)の脳の老化や認知低下はたくさん研究されてきましたが、中高年期(だいたい40〜60歳くらい)はあまり注目されていませんでした。

■老化は「直線的」ではなく「非線形(段階的)」に進む

年を取るにつれて脳や体は徐々に変化しますが、すべてが同じスピードで進むわけではありません。

ある変化はゆっくり直線的に進みますがが、中高年で急に加速したり、急変したりするものがあります。

例:記憶力、反応時間、歩行時の認知負荷への対応、白質のintegrity(白質の健全性)、機能的つながり、炎症関連の変化など。

■中高年で特に目立つ脳の変化

●エピソード記憶(日常の出来事の記憶)が不安定になりやすい。練習効果(何度もテストすると良くなる現象)が60歳頃から減る人も出てくる。
●海馬(記憶に関わる部位)の体積減少が加速。白質(神経繊維の束)の減少も中高年で目立つ。
●シナプス関連遺伝子、炎症、mTOR(老化に関わる経路)などの発現が中高年で急変。
●中高年で神経炎症が増加傾向。

これらの変化の個人差が大きく、将来の認知症リスクを予測するサインになる可能性が高いです。

■女性特有のポイント

閉経(平均50歳前後)は中高年の大きなイベントで、ホルモン変化が脳に非線形な影響を与え、認知や脳構造に影響する可能性があります。

■脳以外の体(末梢)の影響が大きい

●血流中の分子や全身の炎症、血管の健康などが脳の老化を加速させる。
●中高年の生活習慣(運動、食事、飲酒、喫煙、肥満、高血圧など)が将来の脳の健康に特に重要。

■まとめ

●老化は「直線的」ではなく「非線形(段階的)」に進む
●女性は閉経(平均50歳前後)によるホルモン変化が脳に非線形な影響を与える
●中高年の生活習慣が将来の脳の健康に影響を与える

脳ではなく老化の研究においても、人によって急速に老化する人とゆっくり老化する人に分かれ、急速に老化する人は認知機能の低下も早いことがわかっています。

またスタンフォード大学が行った研究によれば、加齢は線形に進むのではなく、非線形で、特定の年齢で急激にシフトすることから、今回紹介した研究と共通しています。

【補足】

1年で老化する速度はゆっくり老化する人と急速に老化する人では最大6倍の差がある!によれば、老化の速度は人によって大きく異なり、老化を「生物学的年齢」(体の実際の衰え具合)を測定したところ、1年間で老化する速度が、0.4年分(ゆっくり老化)から2.4年分(急速に老化)と、最大で約6倍の差があることを発見しました。

急速に老化する人は、認知機能や身体能力の低下も早く、将来の病気リスクが高い傾向にありました。

ゆっくり老化する人は、見た目や健康状態が若く保たれ、45歳でも30代のような体力を維持している一方、急速に老化する人は、疲れやすさや慢性疾患の兆候が早く現れました。

つまり、この研究のポイントは老化は生活習慣などでコントロールできるということです。

加齢は特定の年齢(34歳、60歳、78歳)で急激に変化する!で紹介したスタンフォード大学が行った研究によれば、加齢は「少しずつゆっくり進む」ものではなく、特定の年齢で急激に変化する「急変点」があることがわかりました。

つまり、加齢とは単なる時間の積み重ねではなく、段階的に「シフト」しているといえるのではないかという考え方です。

以上を踏まえると、中高年は「まだ大丈夫」な時期ではなく、「今が一番効く」予防の黄金期と言えます。

運動(特に有酸素運動)を習慣づけ、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理を心がけることで、脳の健康寿命を延ばせる可能性があります。

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【参考文献】

  • Dohm-Hansen S, English JA, Lavelle A, Fitzsimons CP, Lucassen PJ, Nolan YM. The ‘middle-aging’ brain. Trends Neurosci. 2024 Apr;47(4):259-272. doi: 10.1016/j.tins.2024.02.001. Epub 2024 Mar 19. PMID: 38508906.







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