ベン・スティラーが語る映画『LIFE!』を通じて学ぶこと


Ben Stiller - The Secret Life of Walter Mitty closes Mill Valley

by Steve Rhodes(画像:Creative Commons)




ベン・スティラーが語る最新作『LIFE!』

(2014/3/19、ぴあ)

興味深いのは、彼はどこにいても携帯電話で会話をしていること。本作はネットが普及し、モバイル通信の網が世界中に張り巡らされた現代で“冒険”の意味を問い直す。

スティラーは「確かに! 僕がアフリカの奥地にいても、ハリウッドのサンセット大通りから電話がかかってきたりするからね。どんな場所にいても、いつでも、誰とでもつながれるのは常識になってしまった」と前置きした上で、ふたつの考えを示す。ひとつは「だからこそ、携帯の電源を切ったり、ネットから離れたりして、意識的につながりを“切断”することが重要になっている」というもの。そしてもうひとつは“冒険は自分の心の中で起こる”という考えだ。「確かにインターネットの出現で世界はとても狭くなった。だからこそ、アドベンチャーはまず自分のイマジネーションから始まるものだと思うよ。と同時に、僕はまだ実際にどこかに出かけていくことは大切だと思うんだ。見たことのない風景を目にしたら、自分の考えに変化が起こるだろうし、旅行しやすくない不便な場所に行くことで初めて自分自身について考えたり、振り返ったりするからね」。

LIFE!/ライフ オリジナル版 (字幕版)

新品価格
¥100から
(2017/3/29 21:06時点)

記事を読むと、今回の映画は、冒険を通じて、自身を見つめなし、本当に大切なものに気づくという内容なのだそうです。

本来、旅や冒険というのは、意識的につながりを断つ作業だと思います。

しかし、インターネットが普及し、スマホを持つようになることで、いつでもどこでもつながることが出来るようになりました。

旅や冒険にいつでもどこでもつながることが出来るツールを持っていくということは、それまでの旅や冒険が本来持っていた意味からすれば外れているのです。

今回の作品は、ネットが普及し、どこにいてもつながることができる現代社会での「冒険」の意味を問い直す作品なのだそうです。

すぐに検索することが出来るインターネットの出現によって、人々は知ったかぶりや知ったつもりになっていることが増えているかもしれません。

また、本当はもっとその先におもしろいものがあるかもしれないのに、わかったつもりになって、その先にあるもっと面白いものが発見できないでいるのかもしれません。

大事なのは、想像力。

そして、考えること。

これは、一人にならないと出来ないことだと思います。

だからこそ、意識的につながりを「切断」することが必要なのです。

いつでもどこでも「つながる」ことができるようになっているからこそ、「つながり」を断つことや孤独になることの価値が高まっているように感じます。

子供の頃は、となり街まで歩くのでさえも「冒険」でした。

不安と期待が混じり合って、少しのことで動揺し、歩いていく中で、新たな発見をしていきます。

大人になれば、それはただの道なのですが、今思えば、そんなに興奮していたのは、自身の想像力がかき立てられていたからでしょう。

知らないところに行って、自身の五感を研ぎ澄ませて、いろんなものに触れていく。

そうすることで想像力が鍛えられていくのです。

何でも検索できる今の時代、まったく知らない場所というのはないかもしれません。

ただ、それを「冒険」にすることができるのは、自身の想像力があるかどうかなのです。

もっと想像して、考えましょう。

きっとあなた自身の新たな一面を発見するに違いありません。







P.S.

「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

新品価格
¥680から
(2017/3/29 21:07時点)

海馬にとって一番の刺激になるのが、「空間の情報」。

少し動くだけでも空間的な概念が海馬に刺激を与える。

実際に動かなくても頭の中で移動を想像するだけでも刺激になる。

インターネットを見ていても海馬の刺激にはなる。

しかし、インターネットの欠点は、人間には五感があるけれども、インターネットでは眼と耳だけの刺激の世界になってしまう。

創造に限界が生じてしまうのがそこ。

インターネットを見ているだけでも、海馬は刺激されます。

ただ、インターネットの限界は、眼と耳の刺激だけに限られていることです。

自分の持つ五感すべてで感じることで、今までの創造の限界を超えることになるのです。

【追記(2014/4/6)】

平凡な毎日を過ごす主人公は、たびたび妄想の世界に浸っていく。

しかし、物語が進むにつれ、妄想ではなく現実がまるで妄想のような冒険に変化していく。

彼自身に元々備わっていた好奇心や冒険心があることをきっかけに目覚めていくのだ。

一歩を踏み出すのは簡単そうで難しい。

でもその一歩を踏み出したとたん、まるでエスカレーターに乗ったかのように、次々とハプニングを乗り越えていく。

見た後はきっと何かしたくなる、そんな映画だ。

そして、きっと「今を楽しもう」と思いたくなるはず。

【関連記事】

【追記(2014/4/8)】

「シャーロック・ホームズの思考術」(著:マリア・コニコヴァ)にはこのように書かれている文章がある。

シャーロック・ホームズの思考術 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

新品価格
¥994から
(2017/3/29 21:07時点)

場所は思考に作用する。言うなれば、場所の変化が違う考え方へのきっかけになるのだ。深く染み込んだ関連を消してわたしたちを開放し、新しい関係を作ったり、以前には抱かなかった考え方や思考経路を探求できるようにする。

主人公は行動することによって、本来の自分を取り戻す・変わっていくように見えた。

しかし、実は、それは「場所の変化」が影響しているのかもしれない。

場所が変化したことによって、想像力が開放され、精神的は変化をもたらしたのではないか。

だからこそ、もし、非生産的な思考パターンに陥っていると感じたら、一度その場所から離れて違う場所に行ってみるといいのかもしれない。