国際宇宙ステーション(ISS)を模した閉鎖施設に2週間滞在する実験に2000人以上の応募


U.S. Eastern Seaboard at Night from the ISS

by NASA’s Earth Observatory(画像:Creative Commons)




「密室2週間」実験、応募5日で2000人

(2016/1/6、読売新聞)

宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は、国際宇宙ステーション(ISS)を模した閉鎖施設に2週間滞在する実験の被験者8人を年末に公募したところ、2000人以上の応募があったことを明らかにした。

国際宇宙ステーション(ISS)を模した閉鎖施設に2週間滞在する実験に2000人以上の応募があったそうです。

衣食住が満たされた1週間の引きこもり体験を経験した結果、人はどうなるのか?という記事を以前お伝えしましたが、肉体面・精神面に次のような影響が出ていました。

■肉体面の結果

1週間で体重は3.8キロ増え、体脂肪率は15.6%から19.7%にアップした。

1週間の引きこもり生活の時間配分を見ても、ほとんど運動をしていないので、基礎代謝だけのカロリーが消費され、活動代謝がないと思われますので、このような結果になったものと思われます。

それにしても、食事だけを与えられて、一歩も外に出ないとこれほど太ってしまうとは驚きです。

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■精神面の結果

就職活動に疲れて参加したというユウトさんは、「最初は楽しかったが、始まって3日目で急激にキツくなった」と振り返る。外に出られず誰ともコミュニケーションが取れないことが辛く、「5日目くらいからは今が夢か現実かわからないくらいフワフワしてきて、あんまりよく覚えていない」という。

「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)によれば、何の刺激もない部屋に2から3日放置されると、脳は幻覚や幻聴を生み出してしまうそうです。

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今回の実験では、コンテンツ見放題ということでしたが、それでも人とコミュニケーションをとったり、どこかに出かけるという刺激がないと脳が耐えられなくなるのではないでしょうか?

■まとめ

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所有物を意味する”belonging”と帰属を意味する”belonging”。

幸せで健康的な生活を送るために欠かせない最も基本的なものは、食料、水、そして住居。
しかし、豊かな社会のために必要な要素は別にある。それは、属しているということ。

グローバリゼーションによって世界が狭くなり、情報を即座にシェアすることができ、スピーディな技術が存在し、世界のどこにいても仕事をすることができる。とはいえ、こうしたことは、必ずしも帰属意識を生み出さない。関係性や様々な情報、多様な意見をもたらすが、そこから繋がりが生まれることはない。感情的に、精神的に、心理的に、仲間である場に満ちた安心感を得られるような、絆を生み出すことはない。

衣食住が全て満たされていても、人は何か足らないのです。

それは、属しているということやつながっているということなのでしょう。

属するということは、自分が誰かとつながっているということであり、自分が存在しているということでもあるのです。

そのことが精神的に安心感をもたらしてくれるのです。

今回の実験は、ISSに長期滞在する宇宙飛行士のストレスの検査方法を開発するという目的があるため、先ほどの実験のような精神的な不安は少ないかもしれませんが、つながりが感じられるようなことは必要だと思います。