by David Dennis(画像:Creative Commons)
日本とアフリカでは、どちらが医療が進んでいるのでしょうか。
今回紹介する本を読むまでは、考えるまでもなく、「日本」と答えていたことでしょう。
しかし、「アフリカ 動き出す9億人市場」を読むと、もしかするとある面ではアフリカが日本よりも進んでいる点があるのではないかと考えさせられます。
アフリカ 動き出す9億人市場(著:ヴィジャイ・マハジャン、英治出版、2009)
ルワンダでは、携帯電話は医療に活用されている。
アメリカの企業ボクシーバが構築したシステムを使い、僻村の医療従事者は現場から携帯電話を使って診断書を直接送信できる。
このシステムにより、HIV/エイズの患者の経過観察を行い、国内340箇所の診療所のうち75%をつないで合計3万2000人の患者を見ることが可能になっている。※
ショートメール、音声メッセージ、インターネットからの入力にも対応可能だ。
診療所はシステム経由で検査結果や薬品のリコール警告などを受信することもできる。
※Neil Ford, “Record FDI for Africa,” African Business, January 2008, 24
そして、比較する意味で、日本での医療にインターネットを活用するケースをご紹介します。
(2011/7/21、読売新聞)
横浜市南区の診療所「睦町クリニック」(朝比奈完院長)を中心に在宅医療を行っている医師や看護師、ケアマネジャーらが、インターネットの情報共有サービスを使って、患者の病状を共有する試みに取り組んでいる。
同じ患者宅を訪問する別々の事業所のスタッフが、常に情報を共有できるようにするのが狙い。
日本の医療システムは最先端なんだろうなと漠然と思っていましたが、2つの文章を比べても、アフリカが遅れているという印象は受けないどころか、かえってアフリカから医療システムにおいて学ぶところも多いように感じます。
なぜこれほどアフリカが進んでいるように感じるのでしょうか。
この答えは、『アフリカ 動き出す9億人市場』を読むと、次のように考えられます。
「何か新しいことを始めるにあたってこの大陸が持つ利点の一つが、跳躍力です。
アフリカは世界中のどこかで生まれた最優良事例を活用し、さらにその上の段階へと進むことができる。
二番手に甘んずることはないのです。」
アフリカはいろんな国々が徐々に進んできた道を飛び越えて、その上の段階に進むことができるのです。
アフリカでは、インフラが日本のように整っていなかったからこそ、携帯電話のようなツールを活用して飛躍しているのです。