■ノーベル賞の期待も!ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)」とは?
参考画像:Genome Editing with CRISPR-Cas9|YouTubeスクリーンショット
遺伝子編集ツール「CRISPR」ついに人間での使用へ? 審議がライブストリーム
(2016/6/21、ギズモード)
米国国立衛生研究所(NIH)のブログによると、同研究所の組み換えDNA諮問委員会(RAC)では、CRISPR/Cas9を使ったがん治療実験の提案について精査する予定です。この実験では、がん患者のT細胞を体から取り出して、遺伝子編集し、また体に戻すことが提案されています。
ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)」を使うことで、多くの病気に関わる変異を、従来の遺伝子編集ツールよりも短時間かつ低コストで修復または削除できる可能性があるそうです。
CRISPR/Cas9に関するニュースを検索すると、現在様々な研究が進んでいるようです。
ゲノム編集で初のがん治療臨床試験へ、米ペンシルベニア大が申請
(2016/6/17、ニュースイッチ)
最先端のゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)を使い、米ペンシルベニア大学ががん治療の臨床試験に向けた適用申請をおこなっていることがわかった。
米ペンシルベニア大学がCRISPR/Cas9を使った初のがん治療臨床試験に向けた申請を行なっているそうです。
【関連記事】
- First CRISPR clinical trial gets green light from US panel(2016/6/22、nature)
これまでにもHIVや白血病に対して、遺伝子を組み換えた免疫細胞による治療が試みられたことがあったそうですが、CRISPRはそうした治療よりも、容易かつ正確に、さらに低コストで行なうことができると考えられているそうです。
(2016/3/25、ギズモード)
テンプル大学の研究チームが、遺伝子編集ツール「CRISPR/Cas9」を使ってHIVに感染した人の免疫細胞からHIV-1ゲノムを取り除くことに成功しました。
テンプル大学では、「CRISPR/Cas9」を使ってHIVに感染した人の免疫細胞からHIV-1ゲノムを取り除くことに成功したそうです。
新しい遺伝子治療法となるか、ゲノム編集でマウスの筋ジストロフィー改善
(2016/1/4、ニュースイッチ)
米国の3つの独立した研究グループによるもので、CRISPRを使ってDMDのマウスの原因遺伝子を修復し、筋肉を作り出すのに不可欠なたんぱく質を生成することに成功したという。
筋ジストロフィーは、骨格筋や心筋などの筋肉が次第に萎縮する遺伝性の難病ですが、その筋ジストロフィーの大半を占めるデュシュエンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療につながる研究成果が報告されたそうです。
■CRISPR/Cas9とはどんな技術なのか?
(2016/4/25、newsweek)
CRISPR-Cas9は、細菌がウイルスから身を守るための仕組みを応用している。
細菌は、侵入してきたウイルスのDNAを細菌自身のゲノムに取り込み、コレクションしていく。再度同じウイルスが細菌に侵入すると、コレクションからコピーされた「ガイドRNA」がウイルスのDNAを照合し、ガイドRNAにくっついている酵素「Cas」がウイルスのDNAを切断して撃退する。
Doudna博士とCharpentier博士は、この仕組みを元に任意のガイドRNAを使える技術を開発。これがCRISPR-Cas9だ。ゲノムを編集したい研究者は、該当箇所のDNA配列と同じ配列のRNAを作りさえすれば、あとはこのRNAがガイドとなって該当箇所を勝手に見つけ、くっついている酵素Cas9がその箇所を切断してくれる。この時、任意の配列のDNAをCas9といっしょに注入しておけば、切断された箇所にそのDNAが挿入される。つまり狙った箇所に対して確実に望みの遺伝子配列を挿入できるわけだ。
CRISPR/Cas9は、遺伝子を改変して病気を取り除いたり、新たな遺伝子を埋め込んだりする遺伝子編集ツールで、細菌がウイルスから身を守るための仕組みであるCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)システムを応用しているそうです。
Genome Editing with CRISPR-Cas9|YouTube
We Can Now Edit Our DNA. But Let’s Do it Wisely | Jennifer Doudna | TED Talks
【参考リンク】
- ノーベル賞候補・ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9システム」(2015/10/5、クマムシ博士のむしブロ)
■ゲノム編集の例
受粉せずに赤いトマト ゲノム編集で成功https://t.co/Dgy23O1Kki
徳島大学の研究グループは「ゲノム編集」で受粉しないでも赤い実ができるトマトを作り出すことに成功。農作業を最大で20%程度削減することが期待できる。— hakuraidou (@hakuraidou) 2016年9月5日
2倍速で育つトラフグ ゲノム編集でhttps://t.co/qq41jbOKI0
京都大学の木下政人助教と、水産研究・教育機構のグループは、筋肉の成長を抑えている「ミオスタチン」を働かなくすることで、ふぐの身の部分が1.4倍ほどある肉付きのよいトラフグを作り出すことができた。— hakuraidou (@hakuraidou) 2016年9月5日
ふぐの食欲を抑えている遺伝子をゲノム編集で操作し、働かなくしたところ、エサを食べる量が増え、骨の成長や体重が増えるスピードがあがって通常の2倍のスピードで成長するようになった。
市場に出荷するまで2年ほど必要なところ、1年ほどで出荷できるまでに成長した。— hakuraidou (@hakuraidou) 2016年9月5日