2018年10月11日放送の「クローズアップ現代+」では「乳酸で持久力アップ!意外なトレーニング法▽萩野公介選手」を取り上げます。
■乳酸トレーニングを取り入れた競泳・萩野公介選手の肉体の秘密とは?
【今夜10時】
最新研究により“エネルギーの源”につながることが証明された「乳酸」。いち早く“乳酸トレーニング”を取り入れた #競泳 #萩野公介 選手がその効果をスタジオで語ります。
トレーニングのポイントは、「インターバル」に。
#乳酸革命 #クロ現プラスhttps://t.co/VwEc8dFckh
— NHK「クローズアップ現代+」公式 (@nhk_kurogen) 2018年10月10日
乳酸といえば、昔は「疲労物質」というイメージがありましたが、近年では、乳酸値の高さは「全力を出し切ったかどうか」を示す数値という考え方に変わってきているそうです。
→ 疲れの原因は「乳酸」ではない?|「乳酸」の蓄積と疲労は直接の関係がない!
Jリーグで首位争いを繰り広げるサンフレッチェ広島は、乳酸に精通したコーチを招き、選手全員の乳酸値を測定し、トレーニング方法を一新したところ、スプリント回数(時速24kmのダッシュ回数)が2017年126回→2018年142回で、走行距離は2017年111.2km→2018年113.0kmに上昇し、試合終盤になっても走り負けないサッカーができるようになりました。
2016年9月19日放送の「アスリートの魂」の「水の覇者になる 競泳 萩野公介」では、萩野公介選手の肉体の秘密を取り上げていました。
番組では練習後に萩野選手の乳酸値を測定したところ、その数値は20.5ミリモル(ミリモルは乳酸濃度)で、この数値は他の日本代表選手の2倍に近い数値です。
つまり、萩野選手はそれだけ自分自身を限界まで追い込んでいるということが分かります。
乳酸が一定以上たまると、脳が筋肉の動きを抑制し、10ミリモルを超えるとアスリートでも思うように体を動かせなくなるそうですが、萩野選手は、通常の選手の限界値を超えても体を動かすエネルギーを作り出せるのです。
【参考リンク】
- 報道ステーション 荻野公介選手~前人未到の5冠スイマー(2013/4/18、修三コラム)
- 井上 夏香 レスト時間の変化がインターバルトレーニング泳に与える影響
レスト時間が長ければ、タイムは速くなること、また血中乳酸濃度も高くなることが示唆され、運動強度が高くなることが示唆された。
- 長距離ランナーのための有酸素性能力トレーニング:伝統からの脱却|NSCA JAPAN
最大酸素摂取量と乳酸性作業閾値の適応は同時に起こりうるとみられ、おそらくは、高強度のインターバルトレーニングが最適である。
- 競泳トレーニングの動向高強度インターバルトレーニング(2014/10/4、日本水泳連盟学生委員会)
- 生化夜話 第47回 美しすぎる相関性が生んだ思い込み – 乳酸と筋肉疲労|GEヘルスケアジャパン
1907年、ケンブリッジ大学のウォルター・モリー・フレッチャーとフレデリック・ガウランド・ホプキンズが、乳酸と筋肉の疲労に関する重要な研究成果を発表しました。
■乳酸はエネルギー源である!
by DVIDSHUB(画像:Creative Commons)
番組で解説をされる八田秀雄さん(東京大学大学院教授)の記事によれば、乳酸とは老廃物ではなく”エネルギー源”なのだそうです。
乳酸は糖を利用する途中でできるものですから、老廃物ではなくエネルギー源です。スポーツドリンクなどにも乳酸が入っています。肉、魚、ヨーグルト、ワイン、漬け物等、いろいろな食品にも入っていて、乳酸は食事でも多く摂取されています。そして乳酸を摂ることはエネルギー源を摂ることです。乳酸がエネルギー源ということはミトコンドリアで使われるということです。特に運動中には遅筋線維や心筋で多く使われています。一方運動中には速筋線維から乳酸ができています。そこで速筋線維で乳酸ができて、それが遅筋線維や心筋で使われています。また同じ一つの筋細胞の中でもまず糖から乳酸ができて、それがその細胞にあるミトコンドリアに入って使われるということもいわれています。
【参考リンク(論文・エビデンス)】
- DAVID ALLEN, HÅKAN WESTERBLAD Lactic Acid–The Latest Performance-Enhancing Drug SCIENCE20 AUG 2004 : 1112-1113