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【農業に役立つ画期的な技術】シルクフィブロインを使ったシルクコーティングでイチゴやバナナ、みかんなどの果物の鮮度を保つ方法で食品ロスを減らし、輸送・保管コストが下がる可能性!




これからの農業に役立つ面白い研究を見つけました!

それが「シルクフィブロインを使った生鮮食品の保存技術」です。

【参考リンク】

論文の概要

この論文(B. Marelliら、2016年)は、シルクフィブロインというシルク(絹)由来のタンパク質を使って、イチゴやバナナなどの生鮮食品を長持ちさせる「食用コーティング」の技術を紹介しています。

シルクフィブロインを水に溶かして果物の表面に薄い膜を作ることで、酸素や水蒸気の通り方をコントロールし、食品の鮮度を保つ方法を研究したものです。

結果として、このコーティングは果物の呼吸を抑え、水分が蒸発するのを防ぐことで、常温でも保存期間を延ばせる可能性が示されました。

なぜこの研究が大事なのか?

世界では、生産される食品の約3分の1が廃棄されています。

特に果物や野菜は、収穫後に傷みやすく、半分近くが消費されずに捨てられているのが現状です(国連食糧農業機関のデータ)。

その原因は、果物が呼吸を続けて熟しすぎたり、カビが生えたりすること。

これを防ぐために、冷凍や化学薬品を使った方法が使われてきましたが、もっと自然で安全な方法として「食用コーティング」が注目されています。

シルクフィブロインは、食べても安全で自然に分解される素材なので、食品保存の新しい選択肢として有望なんです。

シルクフィブロインって何?

シルクフィブロインは、カイコが作る絹の主成分で、タンパク質の一種です。

このタンパク質は、水に溶かして「懸濁液(けんだくえき)」にすると、果物の表面に薄い膜を作れます。

この膜のすごいところは、構造を少し変えるだけで、酸素や二酸化炭素、水蒸気の通りやすさを調整できる点。

例えば、「ベータシート」という構造を増やすと、酸素が通りにくくなり、果物の呼吸がゆっくりになります。

これが鮮度を保つカギなんです。

どうやって使うの?

研究では、イチゴやバナナをシルクフィブロインの水溶液に浸して(ディップコーティング)、表面にマイクロメートル(1000分の1ミリ)レベルの薄い膜を貼りました。

その後、水蒸気で膜を処理して、硬さや通気性を調整。

すると、コーティングした果物は、呼吸が抑えられて水分も逃げにくくなり、普通の果物より長く新鮮な状態をキープできました。

特にイチゴは傷みやすい果物の代表格なので、この技術の効果を試すのにぴったりだったんです。

何がすごいの?

安全性: シルクフィブロインは食べられるし、アレルギーの心配も少ない。

自然派: 水だけで作れるから、化学薬品を使わなくて済む。

調整可能: 膜の構造を変えることで、果物の種類や保存条件に合わせられる。

効果: 常温でも果物の鮮度を長持ちさせられる。

専門的なポイント(ちょっと深掘り)

シルクフィブロインの膜は、酸素や水蒸気の「拡散(かくさん)」をコントロールできるのがポイント。

具体的には、膜の中の「ベータシート」の量を増やすと、酸素が通りにくくなり、果物の呼吸速度が落ちます。

呼吸が遅くなると、果物が熟しすぎたり傷んだりするスピードも遅くなるわけです。

実験では、イチゴに1~4回コーティングを重ねて、どのくらい効果があるかテスト。

結果、コーティングが厚いほど鮮度保持効果が上がることがわかりました。

■まとめ

この技術のすごいところは、自然素材で安全に食品の鮮度を保つことができるため、食品ロスを減らすだけでなく、輸送や保管コストを下げられる可能性があることです。

農業にかかわる人にとって画期的な技術と言えるのではないでしょうか!

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