2025年3月1日放送の「世界一受けたい授業」では「肌に塗るだけで痩せる薬」が紹介されました。
ちなみに、以前2023年6月20日放送の「カズレーザーと学ぶ。」でも「脂を肌から出して痩せる薬」として紹介されています。
米ペンシルベニア大学の上林拓教授は、2型糖尿病の研究の過程で、高脂肪食を与えたマウスに、腸や皮膚で作られる免疫ホルモンで、良い免疫細胞を増やす効果がある「TSLP(胸腺間質性リンパ球新生因子)」を投与する実験を行ったところ、興味深い結果が得られました。
※2型糖尿病は、血中の糖を細胞に取り込む役割を持つホルモン「インスリン」が減少することで発症します。このインスリン減少は、肥満などが原因で体内の悪い免疫物質が増えることによって引き起こされるため、良い免疫細胞を増やす方法として、「TSLP」というホルモンに注目しました。
実験では、TSLPを投与された高脂肪食マウスの体重が減少し、皮膚から脂が分泌されていることが観察されたことから、TSLPが皮脂腺を活性化させ、脂肪を体外に排出することで体重減少につながることが分かったそうです。
■メカニズム
TSLPにより刺激された皮脂腺から脂質が放出
⇒血中の中性脂肪を取り込みさらにそれを補うために皮下脂肪、内臓脂肪が使われる
しかし、TSLPを注射で投与するのはハードルが高いため、「ビタミンD化合物」で肌に塗るだけでやせる(部分痩せではなくまんべんなく痩せる)という「肌に塗るだけで痩せる薬」の開発が行われているそうです。
※ちなみに、ビタミンDとビタミンD化合物は全く違うものなので気を付けましょう。
【参考リンク】
- Choa R, Tohyama J, Wada S, Meng H, Hu J, Okumura M, May RM, Robertson TF, Pai RL, Nace A, Hopkins C, Jacobsen EA, Haldar M, FitzGerald GA, Behrens EM, Minn AJ, Seale P, Cotsarelis G, Kim B, Seykora JT, Li M, Arany Z, Kambayashi T. Thymic stromal lymphopoietin induces adipose loss through sebum hypersecretion. Science. 2021 Jul 30;373(6554):eabd2893. doi: 10.1126/science.abd2893. PMID: 34326208; PMCID: PMC8917823.
胸腺間質性リンパ球形成因子 (TSLP) が T 細胞を刺激して選択的な白色脂肪減少を誘導し、肥満を防ぎ、グルコース代謝を改善