ある研究によれば、地中海式ダイエット(野菜、果物、全粒穀物、魚、オリーブオイル、ナッツを多く含む健康的な食事スタイルで、特にエクストラバージンオリーブオイルを多く含むもの)が乳がんのリスクを下げる可能性があるそうです。
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【参考リンク】
- Toledo E, Salas-Salvadó J, Donat-Vargas C, Buil-Cosiales P, Estruch R, Ros E, Corella D, Fitó M, Hu FB, Arós F, Gómez-Gracia E, Romaguera D, Ortega-Calvo M, Serra-Majem L, Pintó X, Schröder H, Basora J, Sorlí JV, Bulló M, Serra-Mir M, Martínez-González MA. Mediterranean Diet and Invasive Breast Cancer Risk Among Women at High Cardiovascular Risk in the PREDIMED Trial: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2015 Nov;175(11):1752-1760. doi: 10.1001/jamainternmed.2015.4838. Erratum in: JAMA Intern Med. 2018 Dec 1;178(12):1731-1732. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.6460. PMID: 26365989.
■研究の背景
乳がんは女性にとって最も多いがんの一つで、2008年以降、世界中でその発生率が20%以上増加しています。
観察研究では、地中海式ダイエット(野菜、果物、魚、オリーブオイル、ナッツなどを豊富に含む食事)が乳がんのリスクを下げる可能性が示唆されてきました。
この研究(PREDIMED試験)は、その効果を科学的に検証するために行われたものです。
■研究の方法
スペインのプライマリヘルスケアセンターで、2003年から2009年にかけて、心血管疾患のリスクが高い60~80歳の女性4,282人(乳がんの既往歴がある人は除外)を1)エクストラバージンオリーブオイルを補充した地中海式ダイエット、2)ミックスナッツを補充した地中海式ダイエット、3)対照群(低脂肪ダイエットを推奨)の3つのグループに分けて約4.8年間追跡調査したそうです。
■結果
追跡期間中に、35人の女性が乳がんと診断されました。
発生率(1000人年あたり):オリーブオイル群:1.1
ナッツ群:1.8
対照群(低脂肪ダイエット):2.9
オリーブオイルを補充した地中海式ダイエット群は、対照群に比べて乳がんのリスクが約68%低い(ハザード比0.32)。
ナッツを補充した地中海式ダイエット群は、対照群に比べてリスクが約41%低い(ハザード比0.59)ものの、統計的には明確な差とは言えない。
特に、オリーブオイルからのカロリー摂取量が5%増えるごとに、乳がんのリスクが28%低下(ハザード比0.72)。
■まとめ
この研究では、地中海式ダイエット(特にエクストラバージンオリーブオイルを多く含むもの)が乳がんのリスクを下げる可能性が示されました。
今回は乳がんの症例数が少なかったため、今後はさらに大規模で長期的な研究が必要になりますが、普段の食事によって病気のリスクがわかる可能性があるという点が興味深いです。
野菜、果物、全粒穀物、魚、オリーブオイル、ナッツを多く含む健康的な食事スタイルを取り入れてみませんか?
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