【目次】
■太陽を見るとくしゃみが出る!?日本人の4人に1人に症状が現れる「光くしゃみ反射」とは?
by Alexander Mueller(画像:Creative Commons)
2017年1月31日放送の「ビビット」で「寒暖差アレルギー」について取り上げられました。
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そのコーナーの中で、パックンが「太陽の光を見た時にくしゃみがでることがあるのですが、それは関係あるのですか?」という質問がありました。(解説されていた池袋大谷クリニック・大谷義夫院長によれば、関係ないとのことでした)
このコメントを聞いた際に、先日別々に会ったお二人から「太陽を見るとくしゃみが出る」という同じ話題について話したことを思い出しました。
「太陽の光を見るとくしゃみが出てしまうので、外に出るときにはマスクを着けています。」
「太陽(光)を見るとくしゃみが止まらない症状というものがあって、一度くしゃみが出ると止まらないんです。昔調べたら、日本人の4分の1がその症状が現れて、その症状は子供にも遺伝するそうです。」
その時には「そんなこと本当にあるの?」と笑いながら話していたのですが、3度同じ話を耳にしたので、調べてみることにしました。
■「太陽を見るとくしゃみが止まらない」という症状は本当にあるのか?
「太陽を見るとくしゃみが出る」で検索すると、「光くしゃみ反射」という気になるワードが出てきました。
「光くしゃみ反射」とはいったいどんな症状なのでしょうか?
光くしゃみ反射|鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 形態化学(旧神経解剖学)口岩聡
光くしゃみ反射とは、光刺激が誘因となって反射的にくしゃみが起こる現象です。屋内から晴天下の屋外に出た時や太陽の光が直接目に入った時など、まぶしさを感じた瞬間に起こります。
<中略>
私たちの749名を対象にした調査において、日本人の約25%の人がこの反射をもっていることがわかりました(医学と生物学、1992年、第125巻 第6号 215-219頁)。
「光くしゃみ反射」とは、文字通り光が刺激の原因となって反射的にくしゃみが起こる現象なので、日本人の約25%の人がこの反射をもっているそうです。
さらに検索してみると、「光くしゃみ反射」には正式名称があるそうです。
太陽を見るとくしゃみが出るのはなぜ?約4人に1人に症状がでる「光くしゃみ反射」とは?
(2015/11/5、カラパイア)
「光くしゃみ反射」の正式名称はものすごく長い。「染色体上にある優性遺伝子が引き起こす突発性太陽視覚症候群(Autosomal dominant Compelling Helio-Ophthalmic Outburst syndrome)」といい、あまり長いのでその頭文字をとって「ACHOO(ハクション!)」と呼ばれている。
光くしゃみ反射の正式名称(「染色体上にある優性遺伝子が引き起こす突発性太陽視覚症候群(ACHOO:Autosomal dominant Compelling Helio-Ophthalmic Outburst syndrome)」、 ACHOOはくしゃみの擬音語なので、それに合わせて名称を付けたのかもしれません)にもあるように、「光くしゃみ反射」は遺伝が関係しているようで、興味深いのは、この「光くしゃみ反射」を日本人の約4分の1の人が持っていることです。
なぜ「太陽の光を見るとくしゃみが出てしまう」のでしょうか?
太陽を見るとくしゃみが出るのはなぜ?約4人に1人に症状がでる「光くしゃみ反射」とは?
(2015/11/5、カラパイア)
その結果、明るい光に照らされた時、光くしゃみ反応のある人は興奮性が強化され、視覚野の特に楔状葉の部分が活性化した。また、ムズムズ感を強く感じた人ほど、島と二次体性感覚野が活性化していた。
このことから、光くしゃみ刺激は、視覚野の視覚刺激に対する高い感受性とそれに伴う体性感覚野の活性化が原因である可能性があると結論付けられている。
スイスのチューリッヒ大学の研究によれば、光くしゃみ反射をする人は、明るい光に照らされると、視覚野と体性感覚野が活性化していることがわかったそうです。
光くしゃみ反射|鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 形態化学(旧神経解剖学)口岩聡
私たち研究グループは、鼻汁を分泌させる翼口蓋神経節は、顔面神経だけではなく、動眼神経系と結合していることを解剖学的に明らかにしました(The Journal of Comparative Neurology, vol. 300: p301-308, 1990)。目に入ったまぶしい光情報は、中脳の視蓋前域オリーブ核に伝えられたあとに動眼神経副核(Edinger-Westphal核:EW核)に伝えられ、さらに眼窩内の毛様体神経節を介して瞳孔括約筋に伝えられ、対光反射(眩しい時に瞳が小さくなる反射)が起こります。私たちは、「EW核を起始した神経軸索を含む動眼神経の小枝(細い神経)が翼口蓋神経節の鼻粘膜支配細胞領域に到達し、EW核は対光反射を起こすのと同時に翼口蓋神経節の鼻汁分泌細胞群を刺激する」と推論しています。
光刺激によって、対光反射(眩しい時に瞳が小さくなる反射)が起こると同時に、鼻汁を分泌させる翼口蓋神経節を刺激することによって、くしゃみが出るという仮説が立てられています。
「光くしゃみ反射」が日本人の4分の1に起こるということなのですが、そうなると気になることがあります。
それは、運転中にそうした症状が起きてしまう可能性が高いということはないのかということです。
例えば、トンネルのように暗いところから突然光による刺激を受けてしまい、くしゃみがでることによって、運転への影響が出てしまうという可能性はないのでしょうか?
「光くしゃみ反射」によって運転に支障はないということがわかれば何の問題もありませんが、そうした問題があるのであれば、例えば、サングラスの着用をお願いする(サングラスを着用することで「光くしゃみ反射」が出ないということがわかっているわけではありませんが)などの予防策を考える必要もあるかもしれませんね。