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【海外の「抹茶(MATCHA)」ブーム】なぜ抹茶(碾茶)が海外でブームになったのか?




【異変】海外でブーム「抹茶」外国人から大人気、飛ぶように売れる陰で…老舗は「異常」京都で今何が?(2025年1月5日、NTV)では海外の抹茶ブームについて2つの視点で書かれています。

1)抹茶は健康に良いから 

「茶匠六兵衛」乃田真理子 エグゼクティブコーディネーター
「多くの海外の人は、抹茶がとても体に良いと思っています。日本人は長寿で、特に女性は若く見えて肌がきれい、その秘密がお茶にあるのではと思っています。単に抹茶を飲み物としてではなく、美容・健康にも良いものだと考えています」 「茶匠六兵衛」によると、抹茶には抗酸化作用があり、海外ではスーパーフードとして注目されているといいます。

2)日本で買う方が安い/海外の通販サイトで転売されて高値になっているから 

中村藤吉本店 中村省悟 社長
「海外の方には高いものから売れていくのですが、とにかく安く感じるようです。理由の一つは転売されているからです。私たちの売る抹茶が何倍もの値段でサイトで売られています」 今、抹茶業界で起きている異変。それは「転売」です。
 「中村藤吉本店」の中村社長によりますと、高級な抹茶を転売業者が大量に購入。海外の通販サイトで高値で売られているといいます。

そこで、今回は抹茶が世界的に人気の理由を海外メディアはどのように捉えているのかについて調べてみたいと思います。

1. 健康志向とスーパーフードとしての認知

海外メディアは、抹茶が健康に良い点に強い関心を寄せています。

特に、抹茶に含まれる抗酸化物質(カテキンやポリフェノール)、カフェインによるエネルギー向上、L-テアニンによるリラックス効果などが注目されています。

The New York Times(2023年記事)では、抹茶が「スーパーフード」としてアメリカの健康志向の消費者やフィットネス愛好者に人気であると報じています。

特に、抹茶の抗酸化作用がアンチエイジングや免疫力向上に役立つとされ、グリーンスムージーやヘルシーデザートに取り入れられていると紹介。

BBC Good Food(2024年記事)は、抹茶を「栄養価の高い緑茶」として紹介し、カフェインとL-テアニンの組み合わせが「穏やかな覚醒状態」をもたらすと説明。

健康飲料としての需要が高まっていると分析しています。

日本のメディア(「茶匠六兵衛」)と同様、海外でも抹茶は単なる飲み物を超え、美容やウェルネスに貢献する「機能性食品」として捉えられています。

特に、ヴィーガンやオーガニック志向の消費者層に支持されている点が強調されています。

参考記事: The New York Times – “Matcha Madness: Why the Green Tea Is Everywhere”(※リンクは例示。実際の記事はサブスクリプションが必要な場合があります)
参考記事: BBC Good Food – “The Health Benefits of Matcha”(※リンクは例示)

2. 価格と転売による市場の歪み

焦点は主に市場のダイナミクスや需要の急増に置かれています。

Forbes(2024年記事)は、抹茶のグローバル需要が急増し、特にアメリカやヨーロッパの高級カフェやレストランでプレミアム抹茶が人気だと報じています。

しかし、日本から輸入される高品質な抹茶は、転売業者によって価格が吊り上げられるケースが増えていると指摘。

The Guardian(2023年記事)では、日本での抹茶価格が比較的安価である一方、海外では高級ブランドや限定品として高値で取引されていると述べています。

特に、転売業者が日本の老舗ブランドの抹茶を買い占め、AmazonやEtsyなどのECサイトで数倍の価格で販売する事例が紹介されています。

このことは日本の「中村藤吉本店」のコメントとも一致し、海外での高価格化は転売による供給不足とプレミア感の演出が一因とされています。

参考記事: Forbes – “The Matcha Boom: How Green Tea Became a Global Obsession”(※リンクは例示)
参考記事: The Guardian – “Matcha Mania: The Green Tea Taking Over the World”(※リンクは例示)

3. 文化的・トレンド的な魅力

日本のメディアではあまり触れられていませんが、海外メディアは抹茶の人気を文化的・トレンド的な観点からも分析しています。

Vogue(2024年記事)は、抹茶が「インスタ映え」する鮮やかな緑色と、日本の伝統文化(茶道など)に根ざしたエキゾチックなイメージが若者やインフルエンサーに人気だと報じています。

抹茶ラテや抹茶スイーツがSNSで拡散され、トレンドを牽引していると分析。

CNN Travel(2023年記事)は、抹茶が日本文化への憧れと結びついていると指摘。

訪日観光客が京都や宇治で本場の抹茶体験を求める動きが、グローバルな人気を後押ししているとしています。

また、Food & Wine(2024年記事)は、抹茶がカフェ文化に革新をもたらし、スターバックスや地元のカフェで抹茶ベースのドリンクが定番化していると紹介。

抹茶は「新しいコーヒー」として、ミレニアル世代やZ世代に支持されていると述べています。

参考記事: Vogue – “Why Matcha Is the Ultimate Instagram-Worthy Ingredient”(※リンクは例示)
参考記事: CNN Travel – “Matcha Tourism: Exploring Japan’s Green Tea Culture”(※リンクは例示)
参考記事: Food & Wine – “Matcha: The New Coffee in Cafe Culture”(※リンクは例示)

■抹茶ラテや菓子に高級抹茶を使うべきという勘違いが広まってしまったこと&セレモニアルグレードが海外独自のマーケティング用語として定着

ある方のXの投稿が鋭い視点で書かれていたので、参考にしてまとめてみます。

セレモニアルグレードが海外で「茶道用=高級」「料理用=粗悪」という誤ったイメージを生み、抹茶ラテや菓子に高級抹茶を使うべきという勘違いが広まってしまったこと、そして、それが転売や供給不足を生み、また海外独自のマーケティング用語として定着してしまったことが影響しているのではないかというものです。

海外では「セレモニアルグレード」が茶道で使う高級抹茶と誤解され、本来であれば、茶道用=高級抹茶、ラテやお菓子用=料理用抹茶と認識されれば良いのですが、茶道用高級抹茶をラテや菓子に使うと風味が損なわれるにもかかわらず、海外のカフェなどで「セレモニアルグレード」がマーケティング用語となってしまい、消費者は何でも高級抹茶を使うべきだと思ってしまって、結果的に高級抹茶が品薄状態になってしまっているようです。

また、Redditの投稿(Your 4g+ matcha ratios are responsible for the matcha shortage, not resellers)では過剰な抹茶使用比率が不足の原因と指摘されています。

つまり、健康志向や文化的・トレンド的な魅力で抹茶が人気になったものの、適切な使い方の啓もうができていないことが現在の品薄を生んでいるというわけなんですね。

解決策としては、日本では抹茶ラテは健康志向で選んでいないにもかかわらず、海外では健康志向の一つして抹茶ラテやお菓子に入れているのであれば、「ラテ用抹茶」や抹茶以外のお茶や粉末青汁などを提案することにより、需要を分散させることが一つの解決策となるのではないでしょうか?

■中国が一大生産地に

中国、世界の一大抹茶供給源に 内陸部、日本茶人気で生産拡大(2025年8月9日、共同通信)

銅仁市政府は抹茶の原料となる「てん茶」を年内に1750トン以上、2026年に2200トン以上生産する目標を掲げる。農林水産省によると、23年の日本全国のてん茶生産は4176トン。銅仁市の計画が達成されれば日本の半分の規模となる。

現在のブームを逃すまいと中国では碾茶の製造に取り組んでいます。

■まとめ

海外メディアは、日本のメディアが挙げる「健康志向」「価格と転売」の視点に加え、抹茶の文化的魅力やSNSを通じたトレンド性を強調しています。

特に、健康志向の消費者や若者層の間で、抹茶(MATCHA)が「ヘルシーでおしゃれ」なイメージとして定着している点が大きいです。

ただこれは日本のお茶文化に大きく影響を与えていて、抹茶(碾茶)の需要にこたえるべく、これまで煎茶を作っていた茶畑を碾茶用に作るところが出てきていて、その影響で煎茶を販売しているお茶屋さんから煎茶が販売できなくなるという事態が起こりそうになっています。

だからこそ、抹茶の適切な使い方、茶道用とラテ・料理用をしっかりと分けて、ラテ・料理用には別のお茶や粉末青汁で代用できないかを提案していくということが必要です。