■約1,300万人が過活動膀胱
20歳以上の約1,300万人が過活動膀胱に罹患していることが判明! 尿に関する様々な症状の有病率や生活の質(QOL)への影響を調査(2024/4/17、日本排尿機能学会)によれば、20歳以上の約1,300万人が過活動膀胱にかかっていることがわかったそうです。
過活動膀胱とは、急に尿がしたくなって我慢できないといった尿意切迫感を伴って「尿が近い」「トイレに間に合わない」といった症状の病気のこと。
今回の調査によれば、有病率は加齢とともに上昇し、50歳以降急激に伸びてくることがわかりました。
■過活動膀胱とは?
頻尿の原因となる病気|男性の前立腺肥大症や過活動膀胱・女性のぼうこう瘤や慢性ぼうこう炎・糖尿病・腎機能低下・更年期障害
糖尿病が原因の頻尿と通常の頻尿(トイレが近い)の見分け方|糖尿病の症状チェック
過活動膀胱は、蓄尿(尿を溜める)という膀胱機能の障害です。
過活動膀胱になると、膀胱の柔軟性が低下し、膀胱が過敏に反応して、少量の尿でも尿意を感じ、我慢できなくなります。
「急に尿意をもよおす(尿意切迫感)」、「ひんぱんにトイレに行く(頻尿)」、「我慢ができず漏れてしまう」といった症状があります。
■みんなが一番困っている尿は「夜間頻尿」
一番困っている症状を挙げていただくと、夜間頻尿が男女とも高い傾向にありました。
夜間頻尿(夜にトイレに行きたくなり頻繁に目が覚める)の問題は良い睡眠が得られないこと。
室温を2.5度上げると頻尿・過活動膀胱4割減!によれば、頻尿になると、夜寝ていても尿意を感じて目を覚ましてしまい眠れなくなったり(睡眠の質が悪くなる)、何度もトイレに行く必要があるなど生活の質が低下します。
睡眠の質を向上させることは生活の質の向上が期待されるため、夜間頻尿を予防させる方法として室温を高くする方法を採用することは非常に重要になってきます。
また、この記事によれば、世界保健機関(WHO)が18年に出した「住宅と健康に関するガイドライン」に、冬季の最低室温は18度以上とするよう勧告しているそうですが、今回の調査で、国内では九州に冬季18度以下の家屋が多いということが確認されているそうです。
健康的なライフスタイルをおくるためにも、家屋に対する考え方を今一度見直すことが必要ですね。
■男性は「チョイ漏れ」、女性は「力み漏れ」、高齢者は「腹圧性尿失禁」に悩み
男性は「チョイ漏れ(排尿後尿滴下;排尿が終わった後に、尿で下着を濡らしてしまう)」、女性は「力み漏れ(腹圧性尿失禁;くしゃみをしたり、重いものを持ったりした際に、尿が漏れてしまう)、高齢者では半分近くの方が腹圧性尿失禁を経験していることがわかりました。
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■まとめ
今回のポイントは下部尿路症状のQOLへの影響について、12.4%が日常生活に影響があると回答していたものの、「下部尿路症状は加齢に伴うもので病気ではない」と考えている人が多いと考えているためか、医療機関への受診率は極めて低かったことです。
更年期の症状を経験したと答えた40代・50代の女性のうち病院を受診した人は31%!65%の人は更年期症状があっても医療機関を受診していない!で紹介したNHKがインターネットで行ったアンケート(「更年期と仕事に関する調査2021」)によれば、更年期の症状を経験したと答えた40代と50代の女性のうち病院を受診した人は31%で、65%の人は更年期症状があっても医療機関を受診していないそうです。
日本の女性はアメリカに比べて更年期症状やPMSなどの女性特有の症状に対しての自覚率が低い!によれば、日本とアメリカの20~50代の有職女性それぞれ300名ずつを対象にインターネットで調査したところ、アメリカの女性の方が日本の女性よりも更年期症状やPMS(月経前症候群)、月経痛、子宮内膜症といった自覚している女性特有の症状に対しての自覚率が高かったそうです。
これらに共通するのは夜間頻尿や尿漏れ、更年期症状、PMS・月経痛・子宮内膜症のような女性特有の症状はQOLの質を低下させているとわかっていても、実際には病気であるという自覚はなく、医療機関への受診率が低い傾向にあること。
このような症状に関することへの関心の低さであったり、恥ずかしさというものが背景に隠されているのではないでしょうか?
日本の女子中高生の8割超が無月経などに陥る「フィーメール・アスリート・トライアド(FAT)」のリスクを抱えている!|順天堂大学女性スポーツ研究センターによれば、日本の女子中高生の8割超が「フィーメール・アスリート・トライアド(FAT:運動量に対するエネルギー不足から、女性が無月経や骨粗しょう症などに陥る)」のリスクを抱えているそうです。
女子アスリートの5人に一人が疲労骨折を経験、「無月経」の状態の人も多いで紹介した女性アスリートを対象としたアンケート調査|日本産科婦人科学会によれば、次のような特徴があることがわかります。
●競技レベル別の無月経の頻度は、トップを目指して頑張る、全国・地方大会出場レベルのアスリートに、無月経が多い
●年齢別に見た疲労骨折の件数によれば、16~17 歳の件数が(全体の 40.2%)が最も多い
●競技系列別での無月経の頻度は、持久系(21.7%)と審美系(12.2%)が多い
●競技系列別での既往疲労骨折の頻度は、持久系で(49.1%)が高い
●BMI 低値群で無月経頻度や既往疲労骨折頻度が有意に高い
女性アスリートが陥る3つの障害は「栄養不足」「月経(月経不順や無月経)」「骨」で紹介した順天堂大学付属浦安病院の「女性アスリート外来」で婦人科を担当する窪麻由美さんと中尾聡子さんによれば、陸上選手は貧血症状で診察を受けたところ、月経不順や無月経と診断される人が多いそうです。
泌尿器系の症状であったり、女性特有の症状に関して理解が深まれば、医療機関で受診する人が増えて、QOLの質が向上していくようになるのではないでしょうか?