■そもそもハム・ソーセージは添加物なしで作れるの?
ハムやソーセージは添加物がないと作れないと思われています(そもそも意識していない人のほうが多いかもしれません)が、実はハムやソーセージは添加物なしでも作れるんです。
添加物には一般的に保存料、調味料、着色料、増量剤、発色剤などそれぞれ役割があり、その中にはおいしいハム・ソーセージを作るうえで必要最低限の添加物(食品素材、例えば「食塩」「砂糖」「醤油」は厳密にいえば添加物ですが、それ自体が食品ですので、無添加食品として理解されています)も含まれています。
しかし、薄利多売の大量生産、低価格化が進んできて、本来のハム・ソーセージ作りとは大きく違った添加物を多用したものが製造されるようになっています。
無添加ソーセージ作りで重要なポイントとなるのが「肉の結着(肉同士をくっつけること)」です。
よくソーセージ作りに使用されている冷凍豚肉では、肉の結着性を持たせる成分の「ミオシン」は「アクチン」と結合し「アクトミオシン」になっており、「ミオシン」を分離、抽出し結着性を高めるために「リン酸塩」を添加する必要があるのです。
「それじゃハム・ソーセージは添加物なしでは作れないってことじゃない?」
ここでポイントとなるのは冷凍豚肉を使わない製法があるということ。
それが「温屠体(おんとたい)製法」です。
温屠体(おんとたい)とは、食肉処理直後およそ6時間以内のまだ温かい豚肉のこと。
通常、ハムやソーセージには結着剤やつなぎ、保水材などの添加物をよく使用しますが、処理したばかりの新鮮な豚肉には筋肉中の「ミオシン」が多く含まれているため、肉自体に結着性があり(文献によると約6時間以内)、肉同士が自然にくっつく性質を持っているため、ミオシンが多く含まれている状態の短い時間にソーセージに加工することで、結着剤としての「リン酸塩」を添加すること無く、結着剤不要のソーセージを作ることができるのです。
これが無添加のソーセージが作れる秘密なんです。
「それならどこの工場でも温屠体製法で作ればいいんじゃないの?」
それが難しいんです。
温屠体は、食肉処理直後およそ6時間以内のまだ温かい豚肉であり、通常お肉は、少なくとも1日以上経ったものしか出回っておりません。
通常のソーセージ作りで使用される冷凍豚肉では完全無添加は不可能なんです。
なぜ今回取材したシャルキュティエ田嶋さんでは温屠体製法で作れるかと言えば、およそ車で3分の距離に豚専用の食肉センターがあるからこそ作れる、まさに地の利を活かした方法です。
【シャルキュティエ田嶋さんの強み】
1.シャルキュティエ田嶋がある太良町は、九州の北部、佐賀県の有明海に面し、長崎県との県境に位置する小さな田舎町ですが、県境に豚専用の食肉センターがあるからこそ、佐賀県と長崎県の2つの県の新鮮な豚肉が集まること
2.長年国産豚肉の卸売業を営んでおり、目利きのプロがお肉を選んでいること
3.ドイツ国際食肉加工品コンテストSUFFA(ズーファ)2006 8品目金賞受賞した確かなハム・ソーセージ作りの技術があること
「恵まれた立地条件があり、新鮮な原材料があり、高い技術力があったとしても、、薄利多売の大量生産、低価格化が進んでいる中で、なぜ完全無添加を作ろうと思ったの?」
シャルキュティエ田嶋さんの社長さんによれば、「生協組合に加入している知人がいて、その方からアレルギーを持っている子供達は添加物の入ったハムソーセージは食べたくても食べられない、と言う話を聞いて、その子供達に安心して食べられるハムソーセージを食べてもらいたい」と言う願いから、完全無添加ハム・ソーセージを作り始めたそうです。
つまり、温屠体製法で作る『完全無添加ハム・ソーセージ』は、恵まれた立地条件があること、新鮮な原材料があること、高い技術力があること、そして安心・安全への強い思い入れがあるからこそ生まれたものだったんですね。
田嶋社長によれば、最近は添加物が気になる消費者も段々増えてきているそうで、一般的な手造りハムソーセージと比べ競争率が少なく、大手が参入しにくく、製法も特殊で、これからの市場が広がると考えているそうです。
そういう思いから生まれた完全無添加ハム・ソーセージを応援していきたいですね。
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