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「性教育で興味がわき、子供の性環境が悪化」と保護者クレーム

先日、避妊しない女性たち 調査の6割「大丈夫な気がした」という記事で、妊娠を望んでいないにもかかわらず、約6割の女性が効果的な避妊をしていなかったことがわかったということをご紹介しましたが、現在の性教育はどのようになっているのでしょうか?

 

「性教育増進で興味がわき、性環境が悪化」と保護者クレーム

(2012/2/13、NEWSポストセブン)

ある日の中学校の保健体育の授業。性感染症の種類や、その恐ろしさが教えられていた。例えばエイズ。その予防法は「コンドームを使うこと」が大切だと先生がいう。しかし、実は今の日本では、いつ、どのようにコンドームを使えばいいか──つまり性交そのものに関わる直接的なことは教えることができないのだ。

その理由は、1999年に改訂された中学の学習指導要領に、性教育において「妊娠の経過は取り扱わない」と明記されたことにある。「妊娠の経過」には「性交」が含まれるので、日本の性教育では性交については教えていない。つまり、性交を教えずにコンドームを使うことを教えるという、ねじれが生じているのである。

「性器の名前や、セックスについて教える必要はまったくない」

「性教育を増進することによって、かえって性への興味がわき、子供の性環境が悪化する」

このような、保護者からの批判によって、実際には性教育が全く行なわれていない学校もあるほどだ。

性教育を行うことによって、性への興味が湧くと考えている保護者からの批判により、性教育の自粛ムードが広がっているそうです。

しかし、本当に性教育を行うことで性への興味が湧くのでしょうか。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)にこのことに関連したことが紹介されています。

性的に積極的な方が仲間に好かれると信じている若者は、愛情を伴わない気軽なセックスをしがちである。

ネットワーク内で他人とつながる経路が多ければ多いほど、ネットワーク内を流れるものの影響を受けやすくなるのである。

パートナーの多い白人はパートナーの多い白人とセックスし、パートナーの少ない白人はパートナーの少ない白人とセックスする傾向があるのだ。

結果として、性感染症は性行動の活発な白人からなる中核部にとどまる。

また、今回紹介した本によれば、避妊具の使用といったさまざまな恋愛行動や性行為は、自分が属するネットワーク内でそうした行為がなされているかどうかに強い影響を受けるそうです。

大事なのは、仲間・ネットワークだと思うのです。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」には、より効果的に性感染症を防ぐためには、どうしたらよいかということも書かれています。

セーフセックスのキャンペーンを展開する場合、コミュニティの全メンバーに平等にメッセージを送るよりも、性行動の活発なメンバー(ネットワークの中核部、すなわちハブ)に直接伝えれば最も効果があがるという結論も得られた。

人々がリスクにさらされるかどうかは、その人がどんな人であるかより、誰と知り合いであるかで決まるのだ。

ネットワークの全体図を描き、社会的ネットワークのハブを見つけ出し、そのハブであるメンバーに対して、メッセージを伝えるというのが最も効果的なのだそうです。

 

【関連記事】

避妊しない女性たち 調査の6割「大丈夫な気がした」

避妊しない女性たち 調査の6割「大丈夫な気がした」

(2012/2/11、msn産経West)

妊娠を望んでいないにもかかわらず、約6割の女性が効果的な避妊をしていなかったことが、製薬企業「バイエル薬品」(大阪市)が行ったインターネット調査で明らかになった。

<中略>

過去1年以内のセックスについて避妊状況を聞いたところ、44・5%が「避妊しないことがあった」と回答した。

残り55・5%は「必ず避妊した」と答えたものの、問題はその方法。

このうち実に約2割の人が「膣(ちつ)外射精」を選択していた。

妊娠を望んでいないにもかかわらず、約6割の女性が効果的な避妊をしていなかったことがわかったそうです。

なぜこのようなことになっているのでしょうか?

「大丈夫な気がしたから」という根拠のない自信、安全日への過信、雰囲気を悪くしてはいけないという気持ち、男性主導による避妊(膣外射精・精子がないなど)と言った理由から効果的な避妊をしてこなかったようです。

以前紹介したスウェーデンのニュースでも同じように効果的な避妊をしていないということが取り上げられていました。

スウェーデンの女子大生のセックスパートナーの数が10年前に比べ2倍に増加。性感染症患者も比例して上昇。

新しいパートナーとのセックスの際にコンドームを使用するかという質問に対し、すると答えた女子大生の数は半分以下の49パーセントという結果となり、10年前に比べて激減している。

妊娠を望んでいないのであれば、女性主導で避妊をしないといけないという教育がされているはずですが、全く行き渡っていないようです。

こうした性の実態について「三宅婦人科内科医院」(大阪市)の三宅侃(あきら)院長は「妊娠を望んでいないのであれば、女性主導で避妊をするべきだと常々言ってきたが、まったく行き渡っていない。特定のパートナーがいるのに漫然と避妊していないとすれば、無知としかいいようがない」と指摘する。

全く行き渡っていないということは、この方法が成功しておらず、違う方法を検討しなければならないということです。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)にこのことに関連したことが紹介されています。

性的に積極的な方が仲間に好かれると信じている若者は、愛情を伴わない気軽なセックスをしがちである。

ネットワーク内で他人とつながる経路が多ければ多いほど、ネットワーク内を流れるものの影響を受けやすくなるのである。

パートナーの多い白人はパートナーの多い白人とセックスし、パートナーの少ない白人はパートナーの少ない白人とセックスする傾向があるのだ。

結果として、性感染症は性行動の活発な白人からなる中核部にとどまる。

避妊具の使用といったさまざまな恋愛行動や性行為は、自分が属するネットワーク内でそうした行為がなされているかどうかに強い影響を受けるそうです。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」には、より効果的に性感染症を防ぐためには、どうしたらよいかということも書かれています。

セーフセックスのキャンペーンを展開する場合、コミュニティの全メンバーに平等にメッセージを送るよりも、性行動の活発なメンバー(ネットワークの中核部、すなわちハブ)に直接伝えれば最も効果があがるという結論も得られた。

人々がリスクにさらされるかどうかは、その人がどんな人であるかより、誰と知り合いであるかで決まるのだ。

今回の調査結果を元に(更に詳しく調査し)、ネットワークの全体図を描き、社会的ネットワークのハブを見つけ出し、そのハブであるメンバーに対して、メッセージを伝えるというのが最も効果的なのだそうです。

 

P.S.

「睾丸に超音波」、新たな避妊法の可能性 米研究

(2012/2/1、AFPBB)

ラットの睾丸に超音波を当てて精子の数を減らすことができたとする論文が、28日の英医学誌「Reproductive Biology and Endocrinology(生殖生物学・内分泌学)」に発表された。将来的に、安価で信頼性が高く、可逆的な(元に戻せる)男性向け避妊法として活用できる可能性があるという。

もしかすると、こうした方向に進んでいくかもしれません。

 

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