by NWABR(画像:Creative Commons)
■DeNA、製薬企業(旭化成ファーマ・塩野義製薬)の化合物データを活用したAI創薬に関する共同研究を2018年1月よりスタート
製薬企業の化合物データを活用したAI創薬に関する共同研究等を実施
(2018/1/10、DeNA)
製薬企業では、創薬プロセスの生産性向上が強く望まれており、AI技術に大きな期待が寄せられています。現在、低分子化合物の創薬プロセスの初期段階では、IT技術を利用しつつ経験と勘を活かしながら医薬品候補となる化合物を設計・合成し、効果・安全性等を測定してバランスの良い化合物を選択しています。一方、このプロセスを通過するための化合物は、1プロジェクト当たり平均4263個※となり、一つずつ検証するため、3年以上の歳月と10億円単位の研究開発費がかかっています。
DeNAおよびDeNAライフサイエンスは、旭化成ファーマと塩野義製薬という製薬企業の持つ化合物データを活用したAI創薬の実現の可能性を技術的に検証する共同研究を2018年1月よりスタートするそうです。
■なぜAI技術を活用した創薬事業に注目が集まっているの?
AI技術を活用した創薬事業に注目が集まっているのは、現在はIT技術を用いながらも経験と勘に頼って化合物の選択を行なっており、創薬プロセスの検証には時間とお金がかかっているため、創薬プロセスの生産性向上が求められているためです。
製薬業界の丸ごとAI化を目指す取り組みが日本でスタート – VINAS Users Conference 2017
(2017/10/13、マイナビニュース)
実際に、どういったAIの開発を進めていくのかというと、医薬品の開発は、病気の原因となるターゲットたんぱくなどを探索した後、それに対して効果のある化合物を探索。それが実際に効果を発揮することを細胞や動物実験などを経て、人間への臨床試験、副作用の評価などを行い、そこでも問題ないとなって、価格なども含めた形で承認がおり、その後、ようやく一般の患者のもとに届けられるという流れで、実際の開発には1000億円以上の開発費と10年ほどの研究期間が必要となり、この開発コストと期間を削減したいという考えのもと、「業界丸ごとAI化」をキーワードに、開発プロセスの全域をカバーするAIの開発を進めているという。
ゲノム解析が一般的なものになった時、AIが過去の文献や医学論文、データベースを探索するようになる!?によれば、現在では、抗がん剤を使用する前に、ゲノム情報を活用してどのような薬が効くのかを事前に調べて投与する「Precision Medicine」に注目が集まっていますが、製薬業界の丸ごとAI化を目指す取り組みが日本でスタート – VINAS Users Conference 2017(2017/10/13、マイナビニュース)で紹介されているスライドを参考にすると、あらゆる場面でAIが使われる可能性がありそうです。
病気Aに対して「ターゲット探索AI(どんな疾患の薬を開発すればよい?)」
→「リード探索AI(病気Aの原因タンパク質は?)」→標的タンパク質X
→「リード最適化AI(標的たんぱくXに効く薬物候補化合物は?)」→候補化合物Y
→「バイオアッセイAI(化合物Yの薬効は?副作用はないか?安定な物性か?)」→有望な医薬品候補Z
→「前臨床試験AI(医薬品候補Zは患者に安全に効くのか?)」→医薬品候補Zを製品化してよい
→「臨床試験AI(治験に合格するには?治験方法は?)」→患者群P 治療方針T
→「承認」
→「市販後の副作用の危険性は?費用対効果は?」安全に効く患者群S→薬価はWが妥当
薬物治療
今回のニュースはAI創薬について取り上げましたが、もしかすると、製薬業界丸ごとAI化という未来もありうるのかもしれません。
製薬業界の花形職種に冬到来、大手で希望退職に400人殺到(2018/1/17、ダイヤモンド・オンライン)にあるように、銀行に続いて製薬業界にもリストラの嵐が吹き荒れるという噂もあることから、製薬業界の未来は大きく変わっていきそうですね。
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