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ハプティクスが医学を飛躍的に進歩させる?|「見えないものを感じる」触覚技術により腫瘍を手で感じられるCTスキャンが実現する日も近い!?

MF317: Figure 8.24

by Rosenfeld Media(画像:Creative Commons)




参考画像:WIRED

腫瘍を手で感じられるCTスキャンが実現する日:「見えないものを感じる」触覚ホログラム技術、英ブリストル大学が開発

(2014/12/18、WIRED)

ブリストル大学の研究者チームはこのほど、目に見えない三次元の触覚形状を、「焦点を定めた超音波を使って空中で」作成する方法を発見したと発表した。触覚技術は最近、急速に成長を続けており、近年のビッグビジネスとなっている。

この研究は、12月はじめに『ACM Transactions on Graphics(TOG)』誌に発表されたもので、数千個の微小なスピーカーから音圧波を発生させることによって機能する。

このシステムでは、人の手の位置を精密に追跡できるLeap Motion社製のセンサーを利用して、空中に触覚対象物を作製する位置を正確に特定する。

先日LED信号機の弱点(雪が溶けにくい)を解決するデザインとは?という記事の中で対向する超音波フェーズドアレイを用いた三次元非接触マニピュレーション(YouTube)を紹介しました。

落合陽一さんのチームが開発した超音波を組み合わせることで物体から水滴までを空中浮遊させ、自在に操ることができる技術が開発されているそうです。

今後いろいろな分野でこうした技術を目にする機会が増えていきそうなのですが、今回この記事に注目したのは、外科医が人体の内部を視覚で診察できるようになるかもしれないというところを目指しているということが書かれていたからでした。

Rendering Volumetric Haptic Shapes in Mid-Air using Ultrasound

Haptoclone

【参考リンク】

例えば腫瘍を手で感じられるような、触覚フィードバックのあるCTスキャンをつくれるかもしれない。

人間は見えないものを見えるようにしたことで新しい発見を次々としていっています。

顕微鏡が発明されたことで、医学が進歩したように。

天体望遠鏡が進歩されたことで、宇宙に新しい発見があったように。

そして、次は目に見えないものを感じられるようになるということによって、また次の新しい発見が生み出される可能性が高くなっているのです。

ところで、今回紹介したテクノロジーは「ハプティクス」と呼ばれるものです。

Haptics(ハプティクス)ーWikipedia

ハプティクスhaptics)とは、利用者に振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得るテクノロジーである。触覚技術: haptic technology)とも。そのような機械的刺激をコンピュータシミュレーション内で仮想オブジェクトを作る補助として使うことができ、仮想オブジェクトを制御したり、機械などの遠隔制御(テレロボティクス英語版)を強化したりできる。

<中略>

ハプティクスは今後、人間とテクノロジーの様々な領域での相互作用に関わっていくと考えられる。21世紀初頭の現在は、ホログラムや遠隔のオブジェクトとの触覚による相互作用に熟達することが研究の中心であり、それが成功すればゲーム・映画・製造業・医療をはじめとする様々な産業での応用が生まれる。医療業界では仮想手術や遠隔手術が可能になれば、医療の幅が広がる。衣料の小売業界では、インターネット経由で衣服に触ることができれば、インターネット販売の可能性が広がる。ハプティクスが将来発展すれば、従来は現実的でなかった新産業が生まれるかもしれない。

ハプティクスは今の私達にはよくわからない技術ですが、近い将来当たり前のように使われるようになるテクノロジーとなるのではないでしょうか。

触感覚を仮想的に再現できるシステムで医療が進歩する?でも書きましたが、遠隔地医療でどうしても簡単に診察できない人に対して、視覚と聴覚ではどうしても限界が出てきます。

ハプティクスが当たり前になれば、遠隔地での手術に用いられるようになり、医療がますます進歩していくことでしょう。

また、インターネットで伝えることができなかった「触れる」と言う感覚もハプティクスが入ってくれば、ネットショッピングで洋服を買う際に生地の肌触りも確かめられるようになっていきます。

ハプティクスについては今後も情報を追い続けていかないといけませんね。







【関連記事】

P.S.

ブリストル大学の研究チームはUltrahaptics社を立ち上げているそうですが、この「Haptic」と言う言葉を見て以前見た本を思い出しました。

「なぜデザインなのか 原研哉 阿部雅世 対談」で紹介されていたのですが、Haptic(ハプティック)というのは、触覚に関する共通言語のような感じです。

触覚に関する共通言語・感覚があれば、世界中の人に伝わりやすいですよね。

なぜデザインなのか。

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【追記(2015/7/9)】

■仮想力覚提示デバイス「Traxion」

ARの次は『拡張人間』 東大 暦本純一教授の世界

(2015/7/3、Sensors)

「Traxion」は、すごい力で押されたり、引っ張られたりするような「力」を体験できる装置なのだそうです。

他人の「触覚」を伝達することができることによって、医学に活用されるようになるかもしれません。