身体活動量、喫煙、飲酒、及び震災時の自宅被害は、メタボリックシンドロームと有意な関連がある|東日本大震災の被災地の健康状態のコホート調査|東北大・岩手医科大

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by Fort Rucker(画像:Creative Commons)

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震災被災地の健康状態―地域住民コホート調査より―

(2017/2/1、日本医療研究開発機構)

1.身体活動量、喫煙、飲酒、及び震災時の自宅被害は、メタボリック症候群と有意な関連が認められた。

2.内陸部に対して沿岸部では、心理的苦痛、抑うつ症状、不眠、およびPTSRのオッズ比が高かった。

3.高血圧等の治療中断率が、内陸部と比べ沿岸部で高かった。また、高血圧治療中断者の収縮期血圧は、通院中の者に比べて高かった。

4.胃がんリスクについては、ヘリコバクター・ピロリ菌感染・胃粘膜の萎縮で評価される胃がんリスク高値者(ピロリ菌感染、胃粘膜萎縮のいずれかがある者)の割合は年齢層が上がる程有意に高かった。

東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホート調査に、2013年~2015年度に参加した63,002人分について分析した調査結果によれば、以上のことが明らかになったそうです。




■身体活動量、喫煙、飲酒、及び震災時の自宅被害は、メタボリック症候群と有意な関連が認められた。

メタボリック症候群に該当する割合は男性24.8%、女性8.2%でした。

<中略>

男性は自宅被害なしの者に比べ、自宅が全壊した者は1.29(1.16~1.44)、大規模半壊した者は1.26(1.06~1.48)とリスクが高くなりました。

また非喫煙者に比べ、喫煙者(1日20本以上)で男性1.13(1.02~1.25)、女性1.98(1.50~2.63)とリスクが高くなりました。

また、非飲酒者に比べ、1日3合以上の者は男性1.12(1.002~1.24)、女性1.67(1.12~2.48)と有意に高くなりました。

逆に身体活動量が高い者は1標準偏差上昇あたり男性は0.85(0.82~0.88)、女性は0.88(0.85~0.92)と有意にメタボリック症候群のリスクが低くなりました。

喫煙や飲酒、身体活動量の低さがメタボリックシンドロームのリスクと関連していることはわかっています。

●喫煙

若い喫煙者は「アディポネクチン」の血中濃度が低く、糖尿病の指標となるHbA1cの血中濃度は高い|青森保健大教授が調査で紹介した青森県立保健大の渡部一郎教授の調査によれば、若い喫煙者は、同年代の非喫煙者よりも生活習慣病を防ぐとされるホルモン「アディポネクチン」の血中濃度が低く、糖尿病の指標となるHbA1cの血中濃度は高いことがわかったそうです。

アディポネクチン濃度が低い人は体重、腹囲、体脂肪率、体格指数(BMI)が高い値を示す一方、動脈硬化を防ぐとされる「善玉コレステロール」、がん細胞を攻撃するとされるナチュラルキラー(NK)細胞活性の数値は低かったそうです。

●アルコール

中性脂肪とアルコールの関係|なぜアルコールが中性脂肪値を高める原因になるの?によれば、中性脂肪は、エネルギー源で、余分な中性脂肪は、肝臓などに蓄えられます。

中性脂肪は、糖質・脂質が多く含まれている食事の食べ過ぎやお酒の飲み過ぎで必要以上のエネルギーが体に入り、また運動不足でエネルギーが消費されないと、エネルギーが余り、その余ったエネルギーが中性脂肪となることで、中性脂肪の値が高くなります。

また、アルコールは、中性脂肪を分解する酵素の働きを低下させるため、中性脂肪値を高める原因となります。

肝臓にはアルコールの分解を行う機能がありますが、アルコールの量が多かったり、肝機能が低下していると、代謝がうまくいかなくなり、肝臓に中性脂肪がたまっていきます。

この状態をアルコール性肝障害の初期段階である「アルコール性脂肪肝」といいます。

●身体活動量

「メタボウォッチ」|早稲田大学、RESEARCHKITでメタボリックシンドロームになりやすい生活習慣をチェックするアプリを開発によれば、加齢とともに骨格筋が減少し、筋力が大幅に低下するサルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)は身体活動量の減少と密接に関係しており、また不適切な食事習慣と合わさることで、内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積によるメタボリックシンドロームの発症を招いているそうです。

●震災時の自宅被害

一つの可能性としては、避難所の食事は糖尿病が悪化しやすい!?医療チームが糖尿病悪化を防ぐ指導|熊本地震によれば、避難所での食事は量が安定しておらず、炭水化物の割合が多くなりがちであるため、血糖値が上下動しやすいことが考えられます。

また、睡眠障害のある患者は、糖尿病・高血圧・動脈硬化になりやすい?によれば、睡眠障害が、動脈硬化高血圧、血糖値の上昇につながる可能性があるそうです。

メタボリックシンドローム予防には睡眠の改善が必要で紹介した日大医学部の兼坂佳孝講師が2万2000人を対象に睡眠時間とメタボの関係を調べた調査によれば、睡眠7~8時間の人のメタボリスクが最も低く、これを超えても未満でも、糖尿病のリスクが3~5倍に上がったそうです。

今回の調査では睡眠の状態までは調べられていないようですが、自宅とそうでないところでは睡眠の質も違うと仮定すると、睡眠障害によってメタボリックシンドロームのリスクが高くなるとは考えられないでしょうか?

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今後被害の程度とメタボリックシンドロームの関連について研究が進むと思います。







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