感染症治療薬(エイズ治療薬)の価格を約55倍に引き上げた製薬会社が炎上


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by e-Magine Art(画像:Creative Commons)




エイズ治療薬、いきなり55倍に値上げ 製薬会社が大炎上

(2015/9/24、ハフィントンポスト)

批判を受けているのは、元ヘッジファンドマネージャーが運営するスタートアップ製薬会社「チューリング・ファーマシューティカルズ」。同社は8月に権利を買い取った「ダラプリム」という62年前に開発された感染症治療薬の価格を、1錠13.50ドル(約1620円)から、750ドル(約9万円)に値上げするとした。

エイズやがんなどで免疫力が低下している人の治療に使われる「ダラプリム」という薬の価格を、約55倍も値上げし、それを軽い口調で話したことで批判を受けているそうです。

この話題を見て思い出したのは、映画「ダラスバイヤーズクラブ」です。

1987年に世界初のHIV治療薬「AZT」を開発したのは日本人の満屋裕明さんという方で、この薬は人の命を救う薬なのだからタダ同然で売るようにという考えだったそうですが、アメリカの製薬会社が特許をとってしまい、高価格で売られてしまったそうです。

ダラス・バイヤーズクラブ(字幕版)

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エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明 (文春文庫)

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今回のケースでは、値上げ理由を次のように説明しています。

値上げで得た収益は、より副作用の少ない薬の開発に使うと話した。

確かに継続してより良い薬を作るためには収益を上げる必要はあります。

気になるのは、次の3点。

  • そもそもの薬の価格が安すぎたのか、適正価格だったのか?
  • 値上げ幅は適正だったのか?
  • 本当に副作用の少ない薬の開発に使われるのか?

きちんと説明することによって、理解を得る努力が必要なのではないでしょうか。

【追記(2016/9/25)】

AIDS治療薬の販売価格を50倍に値上げした製薬会社、社会的反発を受けて値上げを撤回

(2015/9/23、businessnewsline)

AIDS治療薬「Daraprim」の権利を他社から取得した上で、販売価格をこれまでの13.5ドルから750ドルに、いきなり55倍もの大幅な値上げを断行した製薬会社のTuring Pharmaceuticalsが、社会的な反発を受けて、値上げを撤回したことが22日、明らかとなった。

【社説】値上げ非難の感染症治療薬、99セントの薬に敗北

(2015/10/25、WSJ)

インプリミス・ファーマスーティカルズは22日、ダラプリムと同じ有効成分を使った独自の併用療法を発表した。薬の価格は100錠入りのボトル1本で99ドル、つまり1錠99セントだ。