2018年6月9日放送(再放送6月12日)の「岡田武史とレジェンドたちが斬るFIFAワールドカップ」(NHKBS)では、サッカー好きだけでなく、スポーツの監督・コーチ、企業経営者(世の中の社長さん)にとっても興味深い話が多かったように感じます。
【目次】
■なぜ2010年のW杯直前で戦術変更を行なったのか?
by mill56(画像:Creative Commons)
岡田さんが選手たちに勝つために必要なものとして挙げていたのは3つ。
1.球際の強さ
2.一人1キロ多く走る
3.中長距離パスの精度を上げる
球際の強さや走力に関してはレベルが上がっていたものの、中長距離パスの精度を上げるということに関してはW杯の半年前になっても満足いくレベルに達していなかったそうです。
このままのスタイルで試合をしてもパスミスをしてカウンターを受けてしまうと考えており、韓国戦では悪い試合ではないものの結果は悪く、このことを「サイン」として戦術変更を行なったそうです。
この話のポイントだと感じたのは、悪い試合をしていないのに勝てないことを「サイン」と捉えたこと。
上手くいっている時にはどんな手を打っても成功するものであり、悪い時にはどんな手を打っても悪手となってしまうもの。
ただ、悪い時には改善や対策をやりやすいものです。
すでに悪いわけですから、周りからの批判も起こりづらい。
しかし、問題なのは悪くないのになぜかうまくいかないというときです。
周りからすると、また選手の中でも、悪くないのに変える必要がないという人もいるでしょう。
このことをどうとらえるかは人それぞれだと思いますが、岡田さんは「悪くないのになぜかうまくいかない」ことを「サイン」と捉えて戦術変更を決断したのです。
スポーツの監督・コーチだけでなく、企業経営者にとってもこのことは考えさせられるのではないでしょうか?
【参考リンク】
- 岡田武史がW杯直前の暗闘を激白!あの「突然の戦術変更」までの苦悩。(2010/9/16、Number)
■自由と規律
サッカーには「遊び」が必要だという人がいます。
しかし、サッカーには「規律(ディシプリン)」が必要だという人もいます。
正解は「遊び」も「規律」も必要だということなのですが、この話でポイントとなるのは日本人選手の場合、「遊び」「自由」が大事だというと「規律」がおろそかになり、「規律」が大事だというと「遊び」がなくなってしまうということです。
NHK奇跡のレッスン 世界の最強コーチと子どもたち サッカー指導編でフットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴが少年サッカーチームを一週間指導していた中で言っていたのは、型にはまったトレーニングで、子どもが考えないこと。
自分たちで考えることなく、コーチが「遊び」「自由」が大事というならそれだけになり、「規律」が大事というならそれだけをするようになっているのではないでしょうか?
■松井大輔選手をメンバーとして選んだ理由は「戦える選手」だったから
松井大輔選手がなぜ自分をメンバーとして選んだのかを岡田さんに尋ねたのですが、その答えは「戦える選手を選びたかった」というものでした。
戦える選手というのは、チームのために働く、ハードワーク(相手チームよりも走る)をする、ボールを取られたら取り返すということをまとめた言葉だと思います。
きっと監督の立場から考えると、いかに後悔のない決断をするかと考える中で「戦える選手」という答えが出たのではないでしょうか。
#サッカー アーセナル育成コーチが感じる日本人選手の3つの弱点とは?|基礎の反復練習を嫌いトラップやパスの正確性に欠ける・パワー不足・ミスを恐れる傾向があるで紹介したアーセナルのコーチ陣によれば、日本人選手のプレーをみているとミスを恐れる傾向があるように感じるです。
NHK奇跡のレッスン 世界の最強コーチと子どもたち サッカー指導編に出演していたフットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴさんが指摘していたのは、アーセナルのコーチ陣と同様のことでしたが、ポイントは「中は危険。外側から。安全第一」というコーチの考え方がチームの考え方になってしまっていることです。
もしそれが「戦える選手」であれば、「ミスはつきもの。ボールを取られたら取り返す!」と考えるのではないでしょうか?
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■日本らしいサッカーとは
(2016/5/23、電通報)
日本人やアジア人が世界で勝つためには、育成段階から「型(カタ)」を意識すべきという考え方だと聞いています。
岡田:「守破離」という言葉があります。型をまずきちんと覚える。で、それを破って離れていく過程が、育成の中で必要なんだと思います。自由なところからは自由な発想は出ない。まずはしっかりした型を身につけて、それを破ることで驚くような発想が出てくるんじゃないかと。その意味では、サッカー以外のところでも当てはまる部分があるかもしれません。
先ほどの「自由」や「遊び心」と「規律」の話に通じるものがありますが、岡田さんはまず「型ありき」で、子供の時にしっかりと型を覚えさせて、次第にその型を破る中で自由な発想が生まれるという育成方法に取り組んでいるそうです。
番組の中でアイスランドの代表チームの取り組みが紹介されていましたが、その中で「私たちのサッカーはスペインやブラジルのようにセクシーではないかもしれない。でもWC予選では毎試合ゴールしている。小さなブラジル、小さなスペインになっても仕方ない」とコメントしており、自分たちのサッカーを作り上げているように感じます。
自分たちのサッカー、日本らしいサッカーとよく言いますが、実際にはそのサッカーに対する考え方を共有できてはないのではないでしょうか?
岡田さんの考え方があっているのかどうかはこの育成で育った選手がどういう活躍を見せるかでわかるのでしばらくかかるでしょうが、それがサッカーにおける歴史を積み上げるということなのでしょう。
ポーランド戦を観ていた人には様々な思いを持つ人が多かった。ただ以前のw杯のパラグアイ戦のPK戦ほど辛いものはない。選手たちは悔しさを抱えながらも新しい歴史を刻みたいのだ。
岡田武史とレジェンドたちが斬るFIFAワールドカップを観た人ならわかってくれるはず。https://t.co/BWZntblalk— ハクライドウ@長崎島原手延えごまそば (@hakuraidou) 2018年6月29日
岡田さんはヨハン・クライフ選手の言葉を引用しています。
「醜く勝つなら美しく負けたほうがいい」
しかし、クライフはこの言葉を負けたときに言っていたそうです。
悔しくて負けず嫌いで言ったのでしょう。
勝つためには死に物狂いでやらないといけないという気持ちが伝わってきます。 pic.twitter.com/sev5etGVNm— ハクライドウ@長崎島原手延えごまそば (@hakuraidou) 2018年6月30日
「"vis"というのはサッカーのルールを極限まで引っ張ってみて、自分の有利になるように解釈すること。」https://t.co/1ntNAtyS9J
ルールを最大限に生かすことは試合の中だけなのか、それともグループリーグの戦い方も含めてなのか、ハリルホジッチとベンゲルがどう感じたのか、聞いてみたいです。 pic.twitter.com/dnX38WiUAF
— ハクライドウ@長崎島原手延えごまそば (@hakuraidou) 2018年6月30日
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